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一般市の市議選の供託金30万円、没収ラインは何票なのか計算してみた

通帳の残高を、もう三回見直した。

30万円。数字にすればたった六桁なのに、いざ供託所に預けると思うと、通帳を持つ手のあたりが少し重くなる。会社員をしながら、休みの日に買う缶コーヒーを一本我慢するみたいにして、こつこつ貯めてきたお金だ。

それを「供託金」という、この歳になるまで一度も口にしたことのない名前の箱に入れる。

返ってくるのか。返ってこないのか。

調べても、いまいち「自分の場合」がわからない。

30万円を、誰にも相談できないまま抱えている

出馬を決めてから、お金の話がいちばん心細い。

政策のことなら、夜中に一人でノートに書き出せる。辻立ちの場所も、地図とにらめっこすれば見当がつく。でも供託金だけは、机の上で考えても答えが出ない。

「一定の票を取れないと没収される」

どこかで聞いたその一言だけが頭に残っていて、じゃあ一定って何票なんだ、と検索窓に打ち込む。でも出てくるのは「市議会議員は30万円です」で話が終わってしまう。

金額はわかった。知りたいのは、そこじゃない。

自分の市で、何票取れば供託金が戻ってくるのか。

現職の先輩に聞けばいいのかもしれない。でも「供託金って、ちゃんと返ってきますか?」なんて、これから同じ議会を目指す相手に聞くのは、なんだか自分の覚悟の浅さを見せているようで、口に出せない。

応援してくれている人たちにも言えない。

「最悪、30万円は戻ってこないかもしれません」

なんて、支えてくれる人の前で言えるはずがない。

家でも同じだ。「供託金っていうのがあってさ」と切り出したところで、金額の先を説明できない。返還の条件を、自分がわかっていないからだ。わからないものを、家族に「大丈夫だよ」とは言えない。

結局、あいまいに濁して、夜中に一人でスマホをいじる。

そして厄介なことに、出ていくお金は供託金だけではないらしい、という気配だけがある。ポスター、ビラ、写真、事務所。名前は聞くけれど、総額がいくらで、そのうち何が公費負担の対象になり得るのかが、まるで霧の中だ。

30万円という一点だけがくっきり見えていて、その周りが全部ぼやけている。だから余計に、その30万円が実際以上に大きく見える。

思い当たる方も、多いはずだ。

お金が怖いというより、「いくらかかるのか、何をいつまでにすればいいのかがわからない」ことが怖い。

本当の問題は、30万円の重さではない

ここを、はっきりさせておきたい。

初挑戦のあなたが抱えている不安の正体は、30万円が高いことだけではない。いくら必要で、どういう条件で返ってきて、自分の市なら何票が分かれ目なのか。その数字を、誰もあなたに向けては教えてくれないことだ。

供託金の額も、没収ラインの計算式も、選挙にかかるお金の全体像も、当事者になってはじめて視界に入ってくる世界の話だ。しかも当事者同士は、互いに聞きにくい。

だから情報だけがぽっかり欠けたまま、感情だけが先に膨らむ。

見えないから、怖い。

裏を返せば、供託金まわりの不安は、その多くが「計算すれば見通せる」種類のものだ。

ぼんやりした霧に向かって身構えているだけで、式に数字を入れてしまえば、自分の分かれ目は一つの数字として目の前に出てくる。

完璧に選挙を理解する必要はない。まずは、供託金という箱の中身だけ、電卓ひとつで開けてみればいい。

センタイ──「一度きりの手続き」を期日で見張ってくれる道具

その前に、一つだけ紹介させてほしい。

供託や、公費負担に関する契約届のような「選挙で一度だけ発生する手続き」は、実はいちばん抜けやすいものです。

毎日やる辻立ちと違って、締切が一回きりだから、頭の片隅に置いたつもりで、そのまま忘れる。届出を一つ落とすと、使えるはずだった制度を利用できないことがある。

センタイは、地方議員・候補予定者のためのクラウド仕事場です。

「選挙準備の逆算」では、告示日と投票日を基準に、準備タスクを期限つきで並べ、進捗を管理できます。供託や公費負担の契約届など、選挙で一度だけ発生する手続きを、記憶ではなく一覧で追うための機能です。

なお、センタイは法的判断を行うものではありません。期限や必要書類、公費負担の対象は、必ず選挙管理委員会・供託所・専門家の案内で最終確認してください。

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とはいえ、道具に任せる前に、まずは自分の選挙の数字を自分の手で一度出しておくのがいちばん安心だ。

ここからは、電卓ひとつでできる計算の話をする。

供託金は選挙の種類で決まっている──まず金額一覧

供託金の額は、あなたの人柄でも情勢でもなく、「どの選挙に出るか」によって法律で決まっています。

主なものを並べておく。

一つ補足を。

町村議会議員選挙は、以前は供託金がありませんでした。それが制度改正により、2020年から15万円が必要になっています。

「うちの親のときは要らなかった」という記憶が地域に残っていることもありますが、いまは町村議選でも供託が必要です。

あなたが目指すのが政令指定都市以外の一般市の市議会なら、供託金は30万円。

悩むところは、金額ではなく、次の「没収ライン」のほうだ。

没収ラインの計算式──自分の市の数字を出す

地方議会議員選挙で、供託金が没収されるかどうかの分かれ目は、次の式で決まります。

供託物没収点 = 有効投票総数 ÷ 議員定数 ÷ 10

ただし、これは主に落選した候補者についての基準です。当選者の供託金は返還対象となります。

落選した場合でも、得票が供託物没収点以上であれば、供託金は返還対象です。反対に、当選せず、得票がこの点に届かなければ、供託金は没収されます。

文章にすると難しく見えるので、実際に数字を入れてみる。

たとえば、議員定数24人、その選挙の有効投票総数が6万票だった市を考える。

  • 6万票 ÷ 24人 = 2,500票

  • 2,500票 ÷ 10 = 250票

この市なら、供託物没収点は250票です。

落選した場合でも、250票以上を得れば供託金は返還対象になります。

定数24人の市議選で、当選ラインが千票台になる規模を思えば、250票という数字は「当選には遠いが、没収を避けるだけならぐっと手前」にあります。

ここを知っているだけで、怖さの輪郭がずいぶん変わってくるはずだ。

自分の市で試すには、二つの数字を用意すればいい。

  • 議員定数

  • 前回の市議選の有効投票総数

どちらも、自治体の選挙管理委員会が公表している選挙結果で確認できます。

投票率が上がれば有効投票総数も増え、没収点も上がります。前回の数字で一度試算し、投票率が上振れした場合も想定して、少し余裕を持って見ておくと安心です。

なお、市長選のような首長選挙は式が違います。

供託物没収点 = 有効投票総数 ÷ 10

定数で割らない分、議会議員選挙よりもハードルは高くなります。

いつ払って、いつ返ってくるのか

順番はこうだ。

供託は、原則として供託所で行います。一般には法務局・地方法務局などが供託所です。

立候補届出書類を提出する相手は選挙管理委員会。供託金を預ける相手は供託所。

この二つは別の手続きだと分けて覚えておくと、当日あわてない。

供託は、現金のほか、法令で定められた有価証券で行うこともできます。具体的な方法や必要書類は、必ず選挙管理委員会の事前説明会資料と供託所に確認しておきたい。

立候補の届出時には、供託をしたことを証明する書面を添えて提出します。

つまり、告示日の窓口で「これから供託します」は通用しない。立候補届出に間に合うよう、事前に手続きを済ませておく必要がある。

そして返還。

供託金が返還対象となっても、自動で口座に戻ってくるわけではない。選挙後に、供託所へ取戻請求の手続きを行う必要がある。

地方選挙では、選挙日から14日を経過した後、選挙長の供託原因消滅証明書などを添えて請求します。

「勝手に戻る」と思っていると、供託したままになりかねない。選挙が終わったら、結果確認とあわせて、取戻しの手続きを確認するところまで予定に入れておきたい。

「票が読めない」という、本当の怖さ

数字で見れば、市議選の供託物没収点は、当選ラインよりかなり低いことが多い。

それでも、初挑戦では不安になる。

なぜか。

票が読めないからだ。

初挑戦だと、自分の支援がどれくらいの票になるのか、最後まで実感が持てない。

「応援します」と言ってくれた人の数と、実際に投票所に足を運んでくれる人の数は、悲しいくらい一致しない。

誰がどれだけ本気で応援してくれているかを記録していないと、選挙戦の最中も「いま自分は何票くらいなのか」が見えない。

手応えのないまま投票日を迎え、蓋を開けたら想定を大きく下回っていた。

そんな事態を避けるには、供託金の計算と同じくらい、出会った人を一人ずつ記録していく地味な作業が効いてくる。

分かれ目の数字を知り、その数字に向けて支援の広がりを見えるようにしておく。

ここが、30万円を守るための現実的な防波堤になる。

供託金の「外」で、告示前から出ていくお金

最後に、霧の中に残っていたもう一つの不安に触れておく。

供託金の30万円は、あくまで選挙の際に一時的に預けるお金だ。要件を満たせば返還される可能性がある。

むしろ気をつけたいのは、告示前から静かに出ていくお金のほうだったりする。

  • 政治活動で使う印刷物
    後援会リーフレット、名刺、政治活動用ポスターなど。告示前に「知ってもらう」ための活動で、先に費用が出ていく。

  • 写真代
    ポスターやチラシに使う顔写真。印象を左右する一枚なので、撮影やレタッチの費用を見込んでおきたい。

  • 届出まわりの実費
    戸籍抄本など、立候補に必要な書類の取得手数料。金額は小さくても、直前に必要になる。

一方で、選挙運動用のポスター、ビラ、選挙運動用自動車などは、自治体の条例により**選挙公営(公費負担)**の対象となる場合がある。

ただし、対象費目・上限額・契約届の期限・請求方法は自治体によって異なる。

さらに、供託物没収点に達しない場合には、公費負担が適用されず、候補者自身の負担となる経費がある。

「公費で出るらしい」と聞いただけで予算を組むのは危ない。

立候補予定者説明会の資料で、次の四つは必ず確認しておきたい。

  • 公費負担の対象費目

  • 上限額

  • 契約届の提出期限

  • 没収点未満の場合の自己負担範囲

供託、印刷物、公費負担の契約届。

お金にまつわる「一度きり」の手続きは、こうして並べるとそれなりの数がある。

一つずつ期日に落として、抜けないように管理する。

地味だが、これがいちばん、あなたの貯金を守ってくれる。

供託や公費負担の契約届のような「一度きりの手続き」を、記憶だけで抱えたくない方へ。

センタイでは、選挙準備のタスクを期限つきで整理し、名簿や日々の活動と同じ場所で管理できます。まずは次の選挙日程を登録して、自分の準備項目を見える化してみてください。

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公職選挙法や手続きの最終判断は、必ず選挙管理委員会・供託所・専門家へご確認ください。

出典・確認先

#地方議員 #議員活動 #市議会議員選挙 #供託金 #選挙準備

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