Claudeと12曲つくって、はじめて自分の楽器を手に取った話。
Claudeと一緒にどのように音楽制作に向き合っているのか。試行錯誤のプロセスをご紹介するこのnote、今日は13曲目をご紹介します。
実は、私のメイン楽器はベースです。
そして、ここまでの12曲で、ベースを一度も弾いていませんでした。
今回の曲について Resonance

今回は、コード進行から考え始めました。今まではサウンドや音色から入ることが多かったので、初めてのアプローチです。
EメジャーでClaudeと一緒に考えた進行が、Emaj7 → C#m9 → Abmaj7 → B7sus4。Abmaj7はEメジャーには本来出てこない借用和音(別のキーから一時的に借りてくる和音)で、解決しないまま漂う感じがいいなと思いました。
60BPMという、今まで作った中で一番遅いテンポ。エレピのコードにPadとStrings、リズム感のない環境音を重ねて、コードの一音一音がゆっくり空間に広がる曲になりました。
ただ、聴き返すたびに、何かが足りませんでした。
ベースを追加しないと、完成しない
足りなかったのは、音量でも音数でもありませんでした。この曲に必要なオリジナリティ、と言えばいいのか。コードも音色も気に入っている。でも、このままだと、きれいな曲で終わってしまう感じがありました。
そこで浮かんだのが、ベースでした。メイン楽器なので、フレーズの癖も、音の揺れも、リズムの前後のニュアンスも、身体に染みついたものがそのまま出ます。自分にしか出せない成分。それがこの曲にはまだ入っていない、と考えると、足りないものの正体がしっくりきました。ベースを弾かないと、この曲は完成しない。そういう感覚でした。
今回のAbletonでの制作では初めて、オーディオインターフェース(楽器やマイクをPCにつなぐための機材。MOTU M2を使っています)をつないで、録音の準備をしました。イヤホンからベースの音は聞こえるのに、Ableton側のメーターが動かない。Claudeに聞くと、入力デバイスの設定がまだでした。数分で解決。「弾きたい」と思ってから「弾ける」状態になるまでの距離が短いのは、こういう細かい詰まりをすぐ解消できるからだと思います。
音作りは、エンベロープフィルター(弾く強さに反応して音色が変わるエフェクト)にリバーブとディレイを重ねて、ディレイで音を左右に散らしました。輪郭のはっきりしたベースではなく、曲の空気に馴染む低音です。
12曲、ベースなしでつくってきた
ラップトップだけという制約から始まったので、結果的に、メイン楽器を一度も使わずに12曲をつくってきたことになります。
これは、よかったと思っています。最初からベースが手元にあったら、ベースから考える曲づくりになっていたはずです。ベースのない12曲があったから、空間や質感から考える耳ができた。そして13曲目で、自分の音が必要になった。
制約をいつ外すか。今回は、頭で計画して決めたというより、つくっている中で自然と決まった感じでした。
作ってみて
前回の記事で、オリジナリティは設計するものではなく、実験の積み重ねの中で後から見えてくる、と書きました。今回はそこに、もうひとつ加わりました。自分の体から出る音も、オリジナリティの成分になる、ということです。
AIと音楽をつくっていると、制作は画面の中だけで完結していきそうなものです。でも実際には、Claudeと12曲つくってきたことが、自分の楽器をまた弾くきっかけになりました。
この曲のベースは、うっすらとしか入っていません。でも、あるとないとでは全然違う——と自分では思っています。ぜひ聴いて確かめてみてください。
そしてこの後、過去の曲にもベースを重ねたくなってしまうのですが、それはまた別の記事で書きます。
今回つくった曲はこちらから聴けます。
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