年金取りこぼしゼロへ!「老齢・加給・振替・遺族・生活者支援給付金」ガイドブック
あなたの年金、しっかり受け取れていますか?
今日は年金のお話をさせてください。
「年金制度って複雑でよくわからない…」
「自分がどれくらいもらえるのか、いまいちピンとこない」
そんな風に感じている方、とても多いと思います。
実は、年金制度にはたくさんの種類があって、知らないと受け取れないお金がたくさん存在するんです。
この記事では、年金を「取りこぼしゼロ」で受け取るために知っておきたいことを、できるだけわかりやすくお伝えします。
むずかしい言葉はなるべく使わず、理解しやすいようにまとめてありますので、安心して読み進めてくださいね。
この記事で取り上げる5つの年金制度
老齢年金:65歳から受け取れる基本の年金
加給年金:家族がいる方への「家族手当」のような年金
振替加算:配偶者が65歳になったときにもらえる年金
遺族年金:家族が亡くなったときに遺族が受け取れる年金
年金生活者支援給付金:収入の少ない年金受給者への追加支援
それでは、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。
第1章:老齢年金の基礎知識

老齢年金って何?
老齢年金は、65歳になったら受け取れる「基本の年金」です。学生時代や働いている間にコツコツ納めてきた年金保険料が、老後の生活を支えてくれる仕組みです。
老齢年金は2種類あります
老齢基礎年金
20歳から60歳まで国民年金保険料を納めた人が受け取れます
会社員でも自営業でも、みんなが共通でもらえる年金です
40年間(480か月)しっかり納めた場合、年額約816,000円(2024年度)受け取れます
月額に換算すると約68,000円です
老齢厚生年金
会社員や公務員として働いた期間がある人が、基礎年金に上乗せしてもらえる年金です
もらえる金額は、働いていた期間の長さとお給料の額で決まります
平均的な会社員の場合、基礎年金と合わせて月額15万円前後になることが多いです
受給資格を得るための条件
年金を受け取るには、最低限の条件があります。
最低加入期間(受給資格期間)
10年間(120か月)以上、年金保険料を納めた期間や免除された期間があること
2017年8月より前は25年間必要でしたが、今は10年に短縮されています
この変更で、多くの方が年金を受け取れるようになりました
受給資格期間に含まれるもの
保険料を実際に納めた期間
保険料の免除や猶予を受けた期間
学生納付特例を受けた期間
会社員として厚生年金に加入していた期間
第3号被保険者(専業主婦・主夫)だった期間
年金額を増やすための基礎知識
もらえる年金を少しでも増やしたい、というのは誰もが思うことですよね。
基礎年金を満額に近づける方法
納付期間が40年に満たない場合、60歳以降も任意加入できます
65歳まで任意加入が可能です(条件を満たせば70歳まで可能)
1か月加入するごとに、年金額が約1,700円増えます
免除期間がある方は、10年以内なら追納して年金額を増やせます
厚生年金を増やす方法
70歳まで働いて厚生年金に加入し続けることができます
パートやアルバイトでも、条件を満たせば厚生年金に加入できます
働いた分だけ、確実に年金額が増えていきます
第2章:繰上げ・繰下げ受給の戦略
年金は、65歳より早く受け取ったり、遅く受け取ったりすることもできます。どちらを選ぶかで、生涯で受け取る金額が大きく変わることがあります。
繰上げ受給とは?
「65歳より前に年金をもらい始める」選択肢です。
繰上げ受給の仕組み
60歳から65歳になる前まで、1か月単位で早く受け取れます
例:62歳から受け取り始める、63歳6か月から受け取り始める、など自由に選べます
減額率について
1か月早めるごとに、0.4%ずつ年金が減ります(2022年4月以降に60歳になる方)
この減額は一生続きます(元に戻りません)
例えば、60歳(65歳より60か月早い)から受け取ると、24%減額されます
繰上げ受給を選ぶメリット
早くからお金を受け取れるので、60代前半の生活費に充てられます
病気などで長生きが難しいと感じる場合、早めに受け取る選択もあります
仕事を辞めて収入が減った場合の生活費になります
繰上げ受給のデメリット(注意点)
減額された金額が一生続くため、長生きするほど総受取額が少なくなります
一度繰上げすると、取り消しができません
障害年金や寡婦年金が受け取れなくなる場合があります
遺族厚生年金を受け取っている場合、65歳までの間は併給できません
繰上げ受給の損益分岐点
約77歳が分岐点です
77歳より長生きすれば、65歳から普通に受け取ったほうが総額で得になります
77歳より前に亡くなった場合は、繰上げ受給のほうが総額は多くなります
繰下げ受給とは?
「65歳より後に年金をもらい始める」選択肢です。
繰下げ受給の仕組み
66歳から75歳になる前まで、1か月単位で遅らせられます
例:70歳から受け取り始める、72歳3か月から受け取り始める、など自由に選べます
2022年4月から、上限が70歳から75歳に引き上げられました
増額率について
1か月遅らせるごとに、0.7%ずつ年金が増えます
この増額も一生続きます
例えば、70歳(65歳より60か月遅い)から受け取ると、42%増額されます
最大の75歳(65歳より120か月遅い)から受け取ると、84%増額されます
繰下げ受給を選ぶメリット
年金額が大幅に増えるので、長生きするほど得をします
65歳以降も働いて収入がある場合、年金を受け取らずに済みます
増えた年金額は税金計算のベースにもなるので、控除枠を有効活用できます
繰下げ受給のデメリット(注意点)
繰下げ待機中に亡くなった場合、遺族は増額されない年金しか受け取れません
75歳から受け取る場合、損益分岐点は約87歳です(それより長生きしないと損)
加給年金は繰下げ待機中、支給停止になります(これは大きな注意点)
健康状態によっては、増額を待つ間に受け取れる期間が短くなるリスクがあります
繰下げ受給の損益分岐点
70歳から受け取る場合:約82歳が分岐点
75歳から受け取る場合:約87歳が分岐点
日本人の平均寿命(男性81歳、女性87歳)を考えると、女性の方が繰下げのメリットが大きいです
どちらを選ぶべき?判断のポイント
繰上げ受給を検討してよい場合
60代前半で収入がなく、生活費に困っている
健康状態に不安があり、長生きが難しいと感じる
他に十分な資産や収入があり、早めに年金を楽しみたい
65歳以降の加給年金の対象者がいない(加給年金を失うデメリットがない)
繰下げ受給を検討してよい場合
65歳以降も働いて収入がある
健康で、長生きする自信がある
他に生活資金があり、年金を受け取らなくても困らない
配偶者が若く、自分が亡くなった後の遺族年金を増やしたい
どちらも選ばず、65歳から普通に受け取るのがよい場合
加給年金や振替加算の対象になる(これらは繰下げの対象外なので、受け取らないと損)
健康状態や家計状況が不透明で、判断が難しい
無理に得をしようとせず、安定した受給を望む
一番大切なこと
どの選択肢も「正解」はありません
ご自身の健康状態、家計状況、家族構成によって最適な選択は変わります
迷ったら、年金事務所で相談するのがおすすめです(無料で親身に相談に乗ってくれます)
第3章:加給年金・振替加算の完全活用

加給年金とは?
加給年金は、厚生年金に長く加入していた方が、65歳になったときに家族がいる場合にもらえる「家族手当」のような年金です。
これ、実は知らない方がとても多いんです。自動的にもらえるわけではなく、申請が必要な場合もあるので、注意が必要です。
加給年金の対象になる人
厚生年金の加入期間が20年以上ある方
65歳になったときに、生計を維持している家族がいる方
「生計を維持している家族」とは?
配偶者:65歳未満で、年収850万円未満(または所得655万5千円未満)
子ども:18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子
加給年金の金額(2024年度)
配偶者:年額234,800円(月額約19,567円)
子ども1人目・2人目:各234,800円
子ども3人目以降:各78,300円
特別加算について
受給者の生年月日によって、配偶者分に特別加算が上乗せされます
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日生まれ:33,800円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日生まれ:67,600円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日生まれ:101,300円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日生まれ:135,100円
昭和18年4月2日以降生まれ:168,800円
つまり、昭和18年4月2日以降生まれの方は、配偶者分だけで年額403,600円(234,800円+168,800円)ももらえるんです!
加給年金の申請方法
申請が必要なケース
65歳になる前に会社を退職していた場合
配偶者が別の年金制度に加入している場合
配偶者と別居している場合
申請に必要な書類
老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
戸籍謄本または戸籍抄本(受給者と配偶者・子の身分関係がわかるもの)
世帯全員の住民票(続柄・筆頭者が記載されたもの)
配偶者の収入が確認できる書類(所得証明書、源泉徴収票など)
申請先
お近くの年金事務所、または街角の年金相談センター
もし申請を忘れていたら?
5年前までさかのぼって受け取ることができます
気づいたときにすぐ申請してください
5年より前の分は時効で受け取れなくなってしまいます
加給年金が停止される場合
次のような場合、加給年金は支給停止されます。
配偶者が該当する場合
配偶者が65歳になったとき(この後、振替加算に切り替わります)
配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や障害年金を受け取るようになったとき
離婚したとき
配偶者が亡くなったとき
子どもが該当する場合
18歳到達年度の末日を過ぎたとき
結婚したとき
養子縁組で他の方の養子になったとき
離縁して子でなくなったとき
子が亡くなったとき
振替加算とは?
振替加算は、加給年金をもらっていた方の配偶者が65歳になったときに、配偶者自身の年金に上乗せされるお金です。
加給年金が「夫(妻)の年金に家族手当」だとすると、振替加算は「妻(夫)自身の年金に加算される手当」というイメージです。
振替加算の対象になる人
大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれの方
配偶者が老齢厚生年金の加給年金の対象になっていた方
厚生年金の加入期間が20年未満の方
振替加算の金額(生年月日によって異なります)
大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれ:年額234,100円
昭和2年4月2日~昭和3年4月1日生まれ:年額227,900円
昭和3年4月2日~昭和4年4月1日生まれ:年額221,800円
(中略)
昭和36年4月2日~昭和41年4月1日生まれ:年額15,732円
年齢が若くなるほど金額が減り、昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算がありません。
振替加算の申請方法
多くの場合、自動的に加算されます
ただし、配偶者の年金加入記録と関連づけが必要なので、書類提出が求められることがあります
もし65歳になっても加算されていない場合は、年金事務所に相談してください
申請を忘れていた場合
5年前までさかのぼって受け取れます
必ず申請してください
加給年金・振替加算で損をしないためのチェックポイント
✓ 65歳の誕生日が近づいたら年金事務所に確認
自分が加給年金の対象になるか、事前に確認しましょう
必要な書類を準備して、スムーズに申請できるようにしましょう
✓ 配偶者の年金加入記録を確認
配偶者が厚生年金に20年以上加入している場合、加給年金がもらえないことがあります
事前に確認しておくことで、期待していたのにもらえなかった、という失望を避けられます
✓ 年金の繰下げを検討している場合は要注意
加給年金は繰下げの対象外です
繰下げ待機中は加給年金が支給停止されてしまいます
加給年金が多額の場合、繰下げはかえって損になることがあります
✓ 振替加算の対象かどうか確認
昭和41年4月1日以前生まれの配偶者がいる場合、振替加算の対象です
65歳になったら、きちんと加算されているか年金額を確認しましょう
✓ わからなければ年金事務所へ
加給年金・振替加算は複雑な制度です
少しでも疑問があれば、年金事務所で相談しましょう(無料です)
「年金ネット」でも、ある程度の情報を確認できます
第4章:遺族年金の取りこぼし防止
遺族年金は、家族の大黒柱が亡くなったときに、遺族の生活を支えるための年金です。悲しみの中で手続きを進めるのは大変ですが、受け取る権利があるお金を取りこぼさないように、基本を知っておきましょう。
遺族年金は2種類あります
遺族基礎年金
国民年金に加入していた方が亡くなったときに、子のいる配偶者または子が受け取れます
「子」とは、18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子を指します
遺族厚生年金
厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、遺族が受け取れます
遺族の範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母です(優先順位があります)
遺族基礎年金の詳細
受給できる遺族
死亡した方に生計を維持されていた「子のいる配偶者」または「子」
「子」の定義
18歳到達年度の末日(高校卒業時期)を経過していない子
20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子
婚姻していない子
支給要件(亡くなった方の条件)
国民年金の被保険者である間に亡くなった
国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方が日本国内に住んでいる間に亡くなった
老齢基礎年金の受給権者であった
老齢基礎年金の受給資格を満たしていた
※ただし、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が、加入期間の3分の2以上あることが必要です。
遺族基礎年金の金額(2024年度)
基本額:年額816,000円
子の加算:1人目・2人目は各234,800円、3人目以降は各78,300円
例えば、配偶者と子ども2人の場合: 816,000円 + 234,800円 + 234,800円 = 1,285,600円(年額) 月額にすると約107,133円です。
遺族厚生年金の詳細
受給できる遺族(優先順位順)
配偶者または子
父母
孫
祖父母
※先順位の方がいる場合、後順位の方は受け取れません。
配偶者の年齢による違い
夫が亡くなった場合、妻は年齢に関係なく受け取れます
妻が亡くなった場合、夫は55歳以上でないと受け取れません(60歳から支給開始)
支給要件(亡くなった方の条件)
厚生年金の被保険者である間に亡くなった
厚生年金の被保険者期間中に初診日がある傷病で、初診日から5年以内に亡くなった
1級・2級の障害厚生年金を受けている方が亡くなった
老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている方が亡くなった
遺族厚生年金の金額
亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
被保険者期間が25年(300月)未満の場合は、25年として計算されます(若くして亡くなった場合の救済措置)
例えば、夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)が年額120万円だった場合: 120万円 × 3/4 = 90万円(年額) 月額にすると75,000円です。
中高齢寡婦加算
次の条件を満たす妻には、40歳から65歳になるまで「中高齢寡婦加算」が加算されます
夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達したため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき
金額:年額596,300円(2024年度)
これはかなり大きな金額なので、該当する方は必ず確認してください
経過的寡婦加算
昭和31年4月1日以前生まれの妻が65歳になると、中高齢寡婦加算に代わって「経過的寡婦加算」が加算されます
金額は生年月日によって異なります
遺族年金の申請方法
申請先
遺族基礎年金:市区町村役場または年金事務所
遺族厚生年金:年金事務所
必要な書類(一般的なもの)
年金請求書(遺族給付)
亡くなった方の年金手帳または基礎年金番号通知書
戸籍謄本(死亡の事実、請求者との続柄がわかるもの)
世帯全員の住民票の写し
請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、源泉徴収票など)
死亡診断書のコピー
振込先口座の通帳(請求者名義)
印鑑
※状況によって追加書類が必要になることがあります。
申請の期限
遺族年金には「5年の時効」があります
亡くなってから5年以内に請求しないと、受け取る権利が消滅してしまいます
できるだけ早く申請しましょう
遺族年金でよくある「取りこぼし」パターン
パターン1:子どもがいることを知らせていない
遺族厚生年金だけ申請して、子の加算を申請し忘れるケースがあります
子どもがいる場合、遺族基礎年金も受け取れる可能性があります
必ず子どもの情報も伝えましょう
パターン2:中高齢寡婦加算を知らない
40歳以上65歳未満の妻は、年額約60万円の加算が受けられるのに、知らずに請求していないケースがあります
該当する方は必ず確認してください
パターン3:再婚しても受給資格があることを知らない
再婚すると遺族年金は失権しますが、再婚前の分を請求し忘れているケースがあります
離婚した場合、遺族年金は復活しません
パターン4:遺族厚生年金と自分の年金の選択を間違える
自分の老齢年金と遺族年金の両方を受け取る権利がある場合、選択や組み合わせ方法を間違えると損をします
65歳前と65歳後で選択ルールが変わるので、年金事務所でしっかり相談しましょう
遺族年金で損をしないためのチェックポイント
✓ 亡くなったらすぐに年金事務所へ相談
悲しみの中で大変ですが、できるだけ早く相談に行きましょう
専門家が親身に対応してくれます
✓ 必要な書類を確認して準備
戸籍謄本や住民票は、発行に時間がかかることがあります
早めに準備を始めましょう
✓ 子どもの年齢を正確に伝える
18歳到達年度の末日(3月31日)を過ぎると、子の加算がなくなります
正確な生年月日を伝えて、受け取れる期間を確認しましょう
✓ 中高齢寡婦加算の対象か確認
40歳以上65歳未満の妻は、ほぼ対象になります
自動的に加算されますが、念のため確認しましょう
✓ 自分の年金との兼ね合いを相談
遺族年金と自分の老齢年金、どちらが有利か専門家に相談しましょう
組み合わせ方法もあるので、しっかり確認してください
✓ 5年の時効に注意
申請を先延ばしにすると、受け取れるお金が減ってしまいます
気づいたときにすぐ行動しましょう
第5章:年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、年金だけでは生活が苦しい方を支援するための給付金です。2019年10月から始まった比較的新しい制度なので、まだ知らない方も多いかもしれません。
年金生活者支援給付金とは?
消費税が10%に引き上げられたとき、年金収入が少ない方の生活を支援するために作られた制度です。
3種類の給付金があります
老齢年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金
受給できる方の条件(すべて満たす必要があります)
65歳以上で老齢基礎年金を受け取っている
同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が、909,000円以下である(2025年度)
給付金の金額(2025年度)
月額5,450円が基準額です
ただし、保険料納付済期間に応じて計算されます
計算方法
保険料納付済期間に基づく額 = 5,450円 × 保険料納付済期間 / 480月
保険料免除期間に基づく額 = 11,166円 × 保険料免除期間 / 480月
例えば、40年間(480月)すべて保険料を納めた方: 5,450円 × 480月 / 480月 = 5,450円(月額) 年額にすると65,400円です。
保険料を20年間(240月)納めて、20年間(240月)全額免除だった方: (5,450円 × 240月 / 480月)+ (11,166円 × 240月 / 480月) = 2,725円 + 5,583円 = 8,308円(月額) 年額にすると99,696円です。
補足給付金(所得額が一定以下の方)
前年の年金収入とその他所得の合計が809,000円以下の方は、補足的に給付金が加算されます
さらに生活が厳しい方への追加支援です
障害年金生活者支援給付金
受給できる方の条件(すべて満たす必要があります)
障害基礎年金を受け取っている
前年の所得額が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円」以下である
給付金の金額(2025年度)
障害等級1級:月額6,638円(年額79,656円)
障害等級2級:月額5,310円(年額63,720円)
遺族年金生活者支援給付金
受給できる方の条件(すべて満たす必要があります)
遺族基礎年金を受け取っている
前年の所得額が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円」以下である
給付金の金額(2025年度)
月額5,450円(年額65,400円)
申請方法
初めて年金を受け取る方
年金の請求手続きと一緒に、給付金の申請も行います
年金事務所や市区町村役場で案内があります
すでに年金を受け取っている方
対象になる可能性がある方には、日本年金機構から申請書が送られてきます
申請書に記入して返送するだけで、手続き完了です
申請先
年金事務所または市区町村役場
必要な書類
年金生活者支援給付金請求書(送られてきた書類)
世帯全員の住民票の写し(市町村民税非課税であることが確認できるもの)
前年の所得がわかる書類(所得証明書など)
給付金で損をしないためのチェックポイント
✓ 申請書が届いたら必ず提出
対象になる方には、日本年金機構から申請書が送られてきます
放置せず、すぐに記入して返送しましょう
✓ 自分が対象かどうか確認
年金額が少ない方、世帯全員が非課税の方は対象の可能性が高いです
年金事務所や市区町村役場に相談してみましょう
✓ 所得が基準を超えていないか確認
パートや働いて収入がある場合、基準を超えてしまうことがあります
ただし、基準は「公的年金等の収入+その他所得」なので、給与収入の場合は給与所得控除後の金額で判定されます
✓ 毎年度、所得状況を確認
この給付金は、前年の所得によって毎年判定されます
所得が基準以下になったら、対象になる可能性があります
逆に、所得が基準を超えると、給付金が止まります
✓ 申請を忘れていても、さかのぼれる
申請が遅れても、受給権が発生した月までさかのぼって受け取れます
ただし、時効は2年なので、2年以上前の分は受け取れません
気づいたらすぐに申請しましょう
✓ 世帯分離している場合は要確認
世帯全員が非課税であることが条件です
同居していても世帯分離している場合、別世帯として扱われます
世帯の考え方がわからない場合は、市区町村役場に相談しましょう
第6章:未納期間への対応
年金保険料を納めていない期間がある方、意外と多いのではないでしょうか。「若いころ、お金がなくて払えなかった」「学生時代、年金のことなんて知らなかった」そんな方も、まだ間に合う方法があります。
なぜ未納期間があると困るのか?
受け取れる年金額が減ります
老齢基礎年金は、40年間(480月)保険料を納めて満額の年額816,000円です
1か月納めていないと、年額約1,700円減ります
例えば、5年間(60か月)未納だと、年額約102,000円も減ってしまいます
最悪の場合、年金が受け取れないことも
年金を受け取るには、最低10年間(120か月)の受給資格期間が必要です
未納期間が多すぎると、この10年に満たず、年金が1円ももらえないこともあります
未納期間を解消する方法
年金保険料を後から納める方法は、大きく分けて2つあります。
方法1:通常の納付(2年以内の未納分)
対象となる期間
納付期限から2年以内の未納分
納付方法
市区町村役場や年金事務所で納付書を発行してもらいます
コンビニ、銀行、郵便局で納付できます
クレジットカードや口座振替も利用できます
納付額
通常の保険料額(加算なし)
2024年度の保険料:月額16,980円
2025年度の保険料:月額17,510円(予定)
メリット
加算額がかからないので、お得です
手続きが簡単です
注意点
2年を過ぎると、時効で納付できなくなります
納め忘れに気づいたら、すぐに行動しましょう
方法2:追納制度(免除・猶予された期間)
対象となる期間
保険料の全額免除、一部免除、納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間
承認された月から10年以内であれば、追納できます
追納のメリット
免除・猶予の期間は、受給資格期間には算入されますが、年金額には一部しか反映されません
追納すると、満額に近づけることができます
追納の金額
承認から3年以内:当時の保険料額
承認から3年以降:当時の保険料額+加算額
例えば、2015年度に全額免除された期間を2025年に追納する場合: 2015年度の保険料は15,590円でしたが、加算額が上乗せされます。
追納の申請方法
年金事務所で「追納申込書」を提出します
承認されると、納付書が送られてきます
古い期間から順に納付します(古い期間を優先して納めることがルールです)
追納の注意点
追納は10年以内に限られます
10年を過ぎると、追納できなくなります
収入に余裕ができたら、早めに追納しましょう
後納制度(終了しました)
以前は「後納制度」といって、10年前までさかのぼって納付できる特例措置がありました。しかし、この制度は2018年9月30日で終了してしまいました。
今は、通常の納付(2年以内)と追納(免除・猶予から10年以内)だけが可能です。
免除・猶予制度の活用
「保険料を納めるお金がない」という場合、未納のまま放置するのではなく、免除・猶予制度を申請しましょう。
免除・猶予制度のメリット
受給資格期間に算入されます(年金がもらえないリスクを減らせます)
障害年金や遺族年金を受け取る権利が保護されます
10年以内なら追納できます(納付と同じ扱いにできます)
免除・猶予の種類
全額免除:保険料の全額が免除されます
一部免除:保険料の4分の3、半額、4分の1が免除されます
納付猶予:50歳未満の方が対象(収入が少ない場合)
学生納付特例:学生が対象
免除・猶予の申請方法
市区町村役場または年金事務所で申請します
毎年度、申請が必要です(7月に申請書が送られてきます)
免除・猶予と未納の違い
受給資格期間について
免除・猶予の場合:算入される
未納の場合:算入されない
年金額への反映について
免除・猶予の場合:一部反映される
未納の場合:まったく反映されない
障害年金・遺族年金について
免除・猶予の場合:受け取れる
未納の場合:受け取れない可能性あり
追納について
免除・猶予の場合:10年以内可能
未納の場合:2年以内のみ可能
つまり、お金がなくても、未納のまま放置せず、必ず免除・猶予の申請をすることが大切です。
未納期間で損をしないためのチェックポイント
✓ 納付書が届いたらすぐに納付
2年を過ぎると納付できなくなります
「あとで」と思っていると、時効になってしまいます
✓ 収入が少ない場合は免除・猶予を申請
未納のまま放置するより、免除・猶予のほうが絶対に得です
申請は無料で、そんなに難しくありません
✓ 学生時代の未納を確認
学生納付特例を申請していなかった場合、未納になっています
今からでも免除・猶予に切り替えられる場合があるので、年金事務所に相談してみましょう
✓ 追納できる期間を確認
免除・猶予から10年以内なら追納できます
収入に余裕ができたら、早めに追納しましょう
特に3年以内なら加算額がかからないので、お得です
✓ ねんきん定期便で未納期間をチェック
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」に、納付状況が記載されています
未納期間がある場合は、早めに対応しましょう
✓ わからなければ年金事務所へ
自分の納付状況がわからない、どうすればいいかわからない場合は、年金事務所に相談しましょう
無料で親身に対応してくれます
第7章:実践テクニック集

ここまで、年金制度の基本をお伝えしてきました。この章では、実際に年金を「取りこぼしゼロ」で受け取るための実践的なテクニックをご紹介します。
テクニック1:ねんきんネットを活用する
ねんきんネットとは?
インターネットで、自分の年金記録や将来受け取れる年金額を確認できるサービスです
24時間いつでも、自宅から確認できます
無料で利用できます
ねんきんネットでできること
自分の年金加入記録の確認
将来受け取れる年金額の試算
繰上げ・繰下げした場合の年金額シミュレーション
電子版ねんきん定期便の閲覧
年金に関する通知書の確認
ねんきんネットの登録方法
日本年金機構のホームページから登録できます
マイナンバーカードがあれば、すぐに登録できます
マイナンバーカードがない場合は、アクセスキー(ねんきん定期便に記載)を使って登録します
活用のポイント
年に1回は必ず自分の記録を確認しましょう
加入記録に漏れや間違いがあったら、すぐに年金事務所に連絡しましょう
繰上げ・繰下げを検討している場合は、シミュレーション機能を使って試算しましょう
テクニック2:年金記録の「もれ」を見つける
年金記録に漏れがあると、受け取れる年金額が減ってしまいます。次のような場合、記録が漏れている可能性があります。
記録漏れのよくあるパターン
転職が多く、会社の記録が途切れている
結婚して姓が変わったとき、記録が統合されていない
若いころに短期間だけ働いた会社の記録がない
手書き時代の記録に誤りがある
記録を確認する方法
ねんきんネットで確認する
ねんきん定期便で確認する
年金事務所で「年金加入記録照会」を依頼する
記録漏れを見つけたら
すぐに年金事務所に連絡しましょう
当時の給与明細、雇用保険の記録、源泉徴収票などが証拠になります
証拠がなくても、年金事務所が調査してくれることがあります
テクニック3:家族の年金も確認する
年金の「取りこぼし」は、自分だけでなく家族にも起こります。
配偶者の年金を確認
加給年金や振替加算の対象になるか確認しましょう
配偶者の加入記録に漏れがないか確認しましょう
遺族年金の受給権があるか確認しましょう
親の年金を確認
高齢の親が年金をもらい忘れていないか確認しましょう
年金生活者支援給付金の対象になっていないか確認しましょう
未請求の年金は、5年前までさかのぼって請求できます
子どもの年金を確認
20歳になったら、国民年金に加入する義務があります
学生の場合、学生納付特例を申請しましょう
若いうちから年金の大切さを伝えましょう
テクニック4:年金事務所を味方につける
年金制度は複雑です。困ったときは、プロに相談するのが一番です。
年金事務所での相談
予約すれば、じっくり相談に乗ってもらえます
相談は無料です
自分の記録を見ながら、具体的なアドバイスがもらえます
相談するときのコツ
事前に質問をメモしておきましょう
ねんきん定期便や年金手帳を持参しましょう
わからないことは、遠慮せず何度でも聞きましょう
相談内容をメモして、帰宅後に見返しましょう
街角の年金相談センターも活用
年金事務所だけでなく、街角の年金相談センターでも相談できます
全国に設置されています
予約なしで相談できるセンターもあります
テクニック5:年金の請求は早めに
年金は、自動的にもらえるわけではありません。請求しないと、受け取れません。
請求のタイミング
受給開始年齢の3か月前に、年金請求書が送られてきます
書類が届いたら、すぐに準備を始めましょう
受給開始日より前に提出することができます
請求が遅れると…
年金の支給は、請求月の翌月分からです
請求が遅れると、その分もらえる月が減ります
ただし、受給権が発生してから5年以内であれば、さかのぼって受け取れます
必要な書類を早めに準備
戸籍謄本や住民票は、有効期限があります(通常、発行から6か月以内)
市区町村役場での取得に時間がかかる場合があるので、余裕をもって準備しましょう
テクニック6:税金も考慮する
年金は収入なので、税金がかかります。税金を考慮した上で、受取方法を検討しましょう。
年金にかかる税金
年金は「雑所得」として、所得税・住民税の対象になります
ただし、公的年金等控除があるので、全額が課税されるわけではありません
公的年金等控除(65歳以上の場合、2024年)
年金収入110万円以下:控除額110万円(税金ゼロ)
年金収入110万円超330万円以下:控除額110万円
年金収入330万円超410万円以下:控除額120万円
以降、段階的に控除額が増えます
繰下げ受給と税金
繰下げ受給で年金額が増えると、税金も増える可能性があります
ただし、控除枠を有効活用できるため、必ずしも損とは限りません
具体的な試算は、税理士や年金事務所に相談しましょう
加給年金と税金
加給年金は非課税です
税金がかからないので、確実に家計の助けになります
テクニック7:年金以外の収入とのバランスを考える
年金をもらいながら働く場合、在職老齢年金の仕組みに注意が必要です。
在職老齢年金とは?
厚生年金に加入しながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が一定以上になると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みです
支給停止の基準(2025年度)
給与(標準報酬月額+標準賞与額÷12)と年金月額の合計が51万円を超えると、超えた分の2分の1が支給停止されます
例えば、給与が月40万円、年金月額が15万円の場合: 40万円 + 15万円 = 55万円(51万円を4万円超過) 支給停止額 = 4万円 × 1/2 = 2万円 実際に受け取れる年金 = 15万円 - 2万円 = 13万円
在職老齢年金の対策
給与を調整する(難しいですが…)
年金の繰下げ受給を検討する(繰下げ待機中は支給停止がないので、将来の増額に期待)
60歳台前半は支給停止でも、65歳以降の年金額は減らないので安心してください
テクニック8:社会保険料の負担も考える
年金をもらうと、健康保険料や介護保険料も支払う必要があります。
国民健康保険料
年金も「収入」として保険料の計算に含まれます
収入が増えると、保険料も増えます
後期高齢者医療制度の保険料
75歳以上になると、後期高齢者医療制度に加入します
年金収入に応じて保険料が決まります
介護保険料
65歳以上は、年金から天引きされます
収入が多いほど、保険料も高くなります
対策
繰下げ受給で年金額が増えると、保険料も増える可能性があります
トータルで考えて、最適な受取方法を選びましょう
第8章:ケーススタディ

実際の事例を見ながら、どのように年金を活用すればよいか、具体的に考えてみましょう。
ケース1:会社員の夫、専業主婦の妻(夫65歳、妻62歳)
状況
夫:厚生年金に40年加入、65歳で退職予定
妻:専業主婦(第3号被保険者)、国民年金のみ40年加入
夫の老齢厚生年金見込額:年額180万円(月額15万円)
妻の老齢基礎年金見込額:年額約82万円(月額約6.8万円)
活用できる制度
加給年金:夫が65歳になり、妻が65歳未満なので、加給年金が受け取れます
年額約40万円(月額約3.3万円)を3年間受け取れます
振替加算:妻が65歳になると、妻自身の年金に振替加算が上乗せされます
妻の生年月日によって金額が決まります(年額数万円~20万円程度)
最適な戦略
夫は65歳から年金を受け取る(加給年金を確実に受け取るため)
妻も65歳から年金を受け取る(振替加算を確実に受け取るため)
夫が亡くなった後、妻は遺族厚生年金を受け取れます(夫の厚生年金の4分の3)
注意点
夫が繰下げ受給を選ぶと、加給年金が支給停止されます
年額40万円×3年間 = 120万円を失う可能性があるので、慎重に判断しましょう
ケース2:自営業の夫婦(夫68歳、妻65歳)
状況
夫:国民年金のみ35年加入(5年間未納)
妻:国民年金のみ40年加入
夫の老齢基礎年金見込額:年額約71万円(月額約5.9万円)
妻の老齢基礎年金見込額:年額約82万円(月額約6.8万円)
世帯全員が市町村民税非課税
前年の年金収入とその他所得の合計:約150万円
活用できる制度
年金生活者支援給付金:世帯全員が非課税で、所得基準を満たしているため、受け取れる可能性があります
ただし、夫婦の年金収入が約153万円なので、個別に計算が必要です
妻は確実に受け取れます(年額約6.5万円)
夫も受け取れる可能性があります(年額約6.5万円)
最適な戦略
年金生活者支援給付金の申請を必ず行う
夫の未納期間について、免除・猶予の手続きができないか年金事務所に相談する
もし追納できる期間があれば、追納を検討する
注意点
年金生活者支援給付金は、毎年度所得状況で判定されます
働いて収入が増えると、給付金が止まる可能性があります
ケース3:夫が亡くなった妻(妻55歳、子ども18歳・15歳)
状況
夫が病気で亡くなった(厚生年金加入20年)
妻:パートで働いている(年収130万円)
子ども:高校生と中学生
夫の老齢厚生年金見込額(報酬比例部分):年額120万円
活用できる制度
遺族基礎年金:18歳到達年度の末日までの子がいるため、受け取れます
年額約128万円(月額約10.7万円)を、上の子が18歳到達年度末まで受け取れます
その後、下の子が18歳到達年度末まで年額約105万円(月額約8.8万円)受け取れます
遺族厚生年金:夫の厚生年金の4分の3を受け取れます
年額90万円(月額7.5万円)を一生受け取れます
中高齢寡婦加算:妻が40歳以上65歳未満で、子のない遺族厚生年金を受け取る場合に加算されます
上の子が18歳到達年度末を過ぎた時点から、妻が65歳になるまで年額約60万円(月額5万円)受け取れます
最適な戦略
すぐに年金事務所で遺族年金の手続きを行う
子が18歳到達年度末を過ぎると遺族基礎年金が止まりますが、中高齢寡婦加算が始まるので、忘れずに確認する
妻自身の老齢年金の加入記録も確認し、将来の年金を少しでも増やす努力をする
注意点
遺族年金の請求は5年の時効があります。早めに手続きしましょう
妻が65歳になると、自分の老齢年金と遺族厚生年金の組み合わせを選択できます
そのとき、どちらが有利か、年金事務所でしっかり相談しましょう
ケース4:繰下げ受給を検討している会社員(男性70歳、単身)
状況
厚生年金に40年加入、70歳まで継続して勤務
老齢厚生年金見込額:年額200万円(月額約16.7万円)
健康で、両親も90歳以上まで長生き
65歳以降の給与:月額30万円
貯蓄が十分にあり、年金を受け取らなくても生活できる
活用できる制度
繰下げ受給:70歳から受け取ると、42%増額されます
年額200万円 × 1.42 = 年額284万円(月額約23.7万円)
在職老齢年金の調整:70歳までは厚生年金に加入していたため、在職老齢年金の調整があった可能性があります
繰下げ待機中は支給停止がないので、将来の増額に期待できます
最適な戦略
70歳から繰下げ受給を開始する
増額された年金で、老後の生活をより豊かにする
健康で長生きする自信があるため、損益分岐点(約82歳)を超える可能性が高い
注意点
70歳から75歳の間に亡くなった場合、繰下げ待機中の年金は増額されずに遺族に支払われます
単身なので遺族はいませんが、相続人に未支給年金として支払われます
75歳まで繰下げると84%増額されますが、損益分岐点は約87歳になります
健康状態と相談して、最適なタイミングを選びましょう
第9章:よくある質問(FAQ)
Q1:年金をもらうには、何年間保険料を納める必要がありますか?
A:最低10年間(120か月)です。
2017年8月より前は25年間必要でしたが、今は10年に短縮されました。ただし、10年ギリギリの場合、受け取れる年金額はかなり少なくなります。できるだけ長く納めることが大切です。
Q2:年金はいつから受け取れますか?
A:原則として65歳からです。
ただし、繰上げ受給を選べば60歳から、繰下げ受給を選べば66歳以降(最大75歳)から受け取ることができます。受取開始年齢によって、年金額が増減します。
Q3:年金を繰上げ受給すると、どれくらい減額されますか?
A:1か月早めるごとに0.4%減額され、一生その減額率が続きます。
例えば、60歳(65歳より5年早い)から受け取ると、24%減額されます。この減額は一生続き、元に戻ることはありません。
Q4:年金を繰下げ受給すると、どれくらい増額されますか?
A:1か月遅らせるごとに0.7%増額され、一生その増額率が続きます。
例えば、70歳(65歳より5年遅い)から受け取ると、42%増額されます。最大75歳(65歳より10年遅い)まで遅らせると、84%増額されます。
Q5:加給年金は自動的にもらえますか?
A:多くの場合は自動的に加算されますが、場合によっては申請が必要です。
65歳になる前に会社を退職していた場合や、配偶者と別居している場合などは、申請書類の提出が必要になることがあります。65歳の誕生日が近づいたら、年金事務所に確認しましょう。
Q6:加給年金を受け取りながら、年金を繰下げることはできますか?
A:できません。繰下げ待機中は、加給年金も支給停止されます。
加給年金は繰下げの対象外なので、繰下げ待機中は受け取れません。加給年金が多額の場合、繰下げ受給はかえって損になる可能性があります。
Q7:遺族年金は税金がかかりますか?
A:かかりません。遺族年金は非課税です。
遺族基礎年金も遺族厚生年金も、所得税・住民税の対象外です。ただし、自分の老齢年金は課税対象なので、両方受け取る場合は注意が必要です。
Q8:遺族年金をもらいながら、自分の老齢年金ももらえますか?
A:65歳以降は、組み合わせて受け取ることができます。
65歳前は、遺族年金と自分の老齢年金のどちらか一方しか受け取れません。65歳以降は、「自分の老齢基礎年金+遺族厚生年金」または「自分の老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金」などの組み合わせが可能です。どちらが有利か、年金事務所で相談しましょう。
Q9:年金生活者支援給付金は、申請しないともらえませんか?
A:はい、申請が必要です。
対象になる方には、日本年金機構から申請書が送られてきます。届いた申請書に記入して返送すれば、手続きは完了です。自分が対象かどうかわからない場合は、年金事務所に相談しましょう。
Q10:年金保険料を納めていない期間があります。今からでも納められますか?
A:2年以内の未納分は、通常の納付で後から納められます。
2年を過ぎると時効で納付できなくなります。ただし、免除・猶予の承認を受けた期間は、10年以内であれば追納できます。未納期間がある方は、早めに年金事務所に相談しましょう。
Q11:学生時代に年金を納めていませんでした。どうすればいいですか?
A:学生納付特例を申請していたか確認しましょう。
学生納付特例を申請していた場合、10年以内なら追納できます。申請していなかった場合は、未納期間として扱われ、2年以内の分しか納付できません。まずは、ねんきんネットや年金事務所で加入記録を確認しましょう。
Q12:年金の請求を忘れていました。さかのぼって受け取れますか?
A:5年前までさかのぼって受け取れます。
年金の時効は5年です。受給権が発生してから5年以内であれば、さかのぼって請求できます。5年を過ぎた分は、時効で受け取れなくなってしまうので、気づいたらすぐに年金事務所で手続きしましょう。
Q13:年金をもらいながら働くと、年金が減らされますか?
A:厚生年金に加入して働く場合、在職老齢年金の仕組みで調整されます。
給与と年金の合計が月額51万円(2025年度)を超えると、超えた分の2分の1が支給停止されます。国民年金のみの方(自営業など)は、働いても年金は減りません。
Q14:年金記録に漏れがあるかもしれません。どうすれば確認できますか?
A:ねんきんネットまたは年金事務所で確認できます。
ねんきんネットに登録すれば、いつでも自分の加入記録を確認できます。年金事務所でも、「年金加入記録照会」を依頼できます。記録漏れを見つけたら、すぐに年金事務所に連絡しましょう。
Q15:離婚したら、年金はどうなりますか?
A:離婚時の年金分割制度があります。
婚姻期間中の厚生年金記録を分割できます。離婚から2年以内に請求する必要があります。詳しくは、年金事務所で相談しましょう。
第10章:年金「取りこぼしゼロ」チェックリスト
最後に、年金を取りこぼさないためのチェックリストをお届けします。該当する項目があれば、すぐに行動しましょう!
【全世代共通】基本チェックリスト
□ ねんきんネットに登録している □ 毎年届く「ねんきん定期便」を確認している □ 自分の年金加入記録に漏れや間違いがないか確認した □ 未納期間がある場合、2年以内に納付する予定を立てた □ 免除・猶予の承認を受けた期間がある場合、10年以内に追納を検討した □ 学生時代の学生納付特例を申請したか確認した □ 転職が多い場合、すべての会社の記録が残っているか確認した □ 結婚して姓が変わった場合、記録が統合されているか確認した
【60~64歳の方】繰上げ受給検討チェックリスト
□ 繰上げ受給のメリット・デメリットを理解した □ 減額率(1か月0.4%)を計算した □ 損益分岐点(約77歳)を確認した □ 障害年金や寡婦年金への影響を理解した □ 遺族厚生年金との併給制限を理解した □ 加給年金の対象にならないことを確認した □ 自分の健康状態と家計状況を総合的に判断した □ 年金事務所で相談した
【65歳前後の方】受給開始チェックリスト
□ 65歳の3か月前に届く年金請求書を確認した □ 必要な書類(戸籍謄本、住民票など)を準備した □ 年金請求書を期限内に提出した □ 加給年金の対象になる家族がいるか確認した □ 加給年金の申請に必要な書類を準備した □ 振替加算の対象になる配偶者がいるか確認した □ 年金生活者支援給付金の対象になるか確認した □ 自分の年金額が想定通りか、最初の振込で確認した
【65歳以上の方】繰下げ受給検討チェックリスト
□ 繰下げ受給のメリット・デメリットを理解した □ 増額率(1か月0.7%)を計算した □ 損益分岐点(70歳繰下げで約82歳、75歳繰下げで約87歳)を確認した □ 加給年金が支給停止されることを理解した □ 加給年金の額と繰下げ増額を比較した □ 自分の健康状態と平均余命を考慮した □ 65歳以降も働いて収入があるか確認した □ 繰下げ待機中に亡くなった場合の影響を理解した □ 年金事務所で試算してもらった
【配偶者・家族がいる方】加給年金・振替加算チェックリスト
□ 厚生年金の加入期間が20年以上あるか確認した □ 配偶者が65歳未満で、年収850万円未満か確認した □ 18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子がいるか確認した □ 加給年金の金額(配偶者年額約40万円、子各約23万円)を確認した □ 加給年金の申請に必要な書類を準備した □ 配偶者が65歳になったときに振替加算に切り替わることを理解した □ 振替加算の金額(生年月日による)を確認した □ 配偶者が厚生年金に20年以上加入している場合、加給年金がもらえないことを理解した
【遺族の方】遺族年金チェックリスト
□ 遺族基礎年金の受給資格があるか確認した □ 遺族厚生年金の受給資格があるか確認した □ 中高齢寡婦加算の対象になるか確認した □ 遺族年金の金額を試算した □ 必要な書類(戸籍謄本、住民票、死亡診断書など)を準備した □ 年金事務所で手続きを行った □ 5年の時効に注意して、早めに申請した □ 子どもの年齢を正確に伝えた □ 自分の老齢年金との兼ね合いを相談した
【年金収入が少ない方】年金生活者支援給付金チェックリスト
□ 自分が老齢・障害・遺族のどの給付金の対象か確認した □ 世帯全員が市町村民税非課税か確認した □ 前年の公的年金収入とその他所得の合計が基準以下か確認した □ 日本年金機構から送られてきた申請書を確認した □ 申請書に必要事項を記入して返送した □ 申請していない場合、2年以内にさかのぼって申請した □ 毎年度、所得状況を確認して、対象から外れていないか確認した
【未納期間がある方】追納・納付チェックリスト
□ 自分の納付状況を、ねんきんネットまたはねんきん定期便で確認した □ 未納期間がある場合、2年以内の分は通常納付できることを理解した □ 免除・猶予の承認を受けた期間は、10年以内に追納できることを理解した □ 追納の優先順位(古い期間から)を理解した □ 3年以内の追納は加算額がかからないことを理解した □ 収入に余裕ができたら、早めに追納する計画を立てた □ 収入が少ない場合、未納ではなく免除・猶予を申請した
【家族・周囲の方】サポートチェックリスト
□ 高齢の親の年金が適切に受け取れているか確認した □ 親が年金生活者支援給付金の対象になっていないか確認した □ 配偶者の年金加入記録に漏れがないか確認した □ 20歳の子どもが国民年金に加入したか確認した □ 学生の子どもが学生納付特例を申請したか確認した □ 家族で年金の話をする機会を作った □ 困ったときは、年金事務所に一緒に相談に行く準備ができている
おわりに:年金は「取りこぼさない」ことが何より大切

ここまで長い記事を読んでくださって、本当にありがとうございます。
年金制度は複雑で、正直なところ、すべてを完璧に理解するのは難しいです。でも、**「知らないと受け取れないお金がある」**ということだけは、ぜひ覚えておいてください。
加給年金を知らずに繰下げ受給を選んで、数百万円を失う方
遺族年金の申請を忘れて、5年の時効が過ぎてしまう方
年金生活者支援給付金を知らずに、毎年6万円以上もらい損ねている方
未納期間を放置して、年金額が大きく減ってしまう方
こういった「取りこぼし」は、本当に多いんです。
でも、大丈夫です。
この記事を読んでくださったあなたは、もう「知っている」人です。あとは、行動するだけです。
わからないことがあれば、年金事務所に相談してください(無料で親身に対応してくれます)
ねんきんネットに登録して、自分の記録を確認してください
65歳の誕生日が近づいたら、年金請求書をきちんと提出してください
家族にも、この記事の内容を伝えてあげてください
年金は、私たちが長年コツコツ納めてきた大切なお金です。しっかり受け取る権利があります。
「取りこぼしゼロ」で、あなたとご家族の老後を守りましょう。
この記事が、あなたの年金生活のお役に立てれば幸いです。
参考情報・お問い合わせ先
年金に関する相談窓口
日本年金機構
ねんきんダイヤル:0570-05-1165
受付時間:月曜日 8:30~19:00、火~金曜日 8:30~17:15、第2土曜日 9:30~16:00
ホームページ:https://www.nenkin.go.jp/
年金事務所
全国各地にあります
予約すれば、じっくり相談できます
お近くの年金事務所は、日本年金機構のホームページで検索できます
街角の年金相談センター
全国に設置されています
予約なしで相談できるセンターもあります
便利なウェブサービス
ねんきんネット
自分の年金記録や見込額を確認できます
繰上げ・繰下げのシミュレーションもできます
24時間いつでも利用可能
年金見込額試算
ねんきんネット内で利用できます
将来受け取れる年金額をシミュレーションできます
その他の参考情報
厚生労働省
年金制度全般の情報が掲載されています
ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/
市区町村役場
国民年金の加入手続きや免除・猶予の申請ができます
年金生活者支援給付金の相談もできます
この記事が、あなたの「年金取りこぼしゼロ」の第一歩になりますように。
いつまでも、健康で豊かな老後をお過ごしください。
