【書籍紹介】「2030年代、ICTはビジネスをどう変えるのか」——NRIが総力を挙げた予測の書『ITナビゲーター2026年版』📚
「生成AIは本当にビジネスを変えるのか?」
「テレコム・メディア・コンテンツ産業はどこへ向かうのか?」
「AIデータガバナンスという新しいリスクに、企業はどう備えるべきか?」
2026年を生きるビジネスパーソンが直面するこれらの問いに、日本最大級のシンクタンク・野村総合研究所(NRI)が正面から答えた一冊があります。
『ITナビゲーター2026年版』
(野村総合研究所 ICT・コンテンツ産業コンサルティング部 著、東洋経済新報社)
本書はNRIが2000年から毎年刊行してきた「ITナビゲーター」シリーズの最新版です。テレコム、メディアビジネス、コンテンツビジネス、エマージングテクノロジー、AI・データガバナンスという5分野にわたって「ICT産業の2030年代に向けた展望」を17分野で徹底予測しています。
今回は半導体Timesとして、特に「AI・データガバナンス」「エマージングテクノロジー」に注目しながら本書を読み解きます💡
書籍の基本情報

著者について:野村総合研究所(NRI)とは
野村総合研究所は、日本最大級のシンクタンク・コンサルティングファームです。国内外の企業・政府機関への調査・コンサルティングを手掛ける中で培った独自のデータと分析力が、このシリーズの最大の強みです。
「ITナビゲーター」は2000年から毎年発行されており、ICT業界のビジネスパーソンやデジタル戦略を考える経営者の間では「業界の羅針盤」として定評があります。
予測精度の高さと市場データの網羅性は、他の追随を許しません。
本書の構成:5章・17分野を徹底予測
本書は5章構成で、ICT産業の主要17分野を幅広くカバーしています。
第1章 テレコムの未来に向けて
電気通信分野は現在、「競争」「消費者保護」「サステナビリティ」「経済安全保障」という4つの政策において重要な転換点にあります。スマートフォンの普及率がほぼ100%に達し、通信速度の差別化も困難になる中で、各通信キャリアの競争は料金・金融・ポイント経済圏へと移行しています。
日本の通信事業者は現在、根本的な競争構造の転換点にあり、5G投資をどう回収し、次のビジネスモデルをどこに見出すのかを解き明かします。
第2章 メディアビジネスの未来に向けて
テレビ・新聞・出版といった伝統的メディアが、動画配信・ソーシャルメディアの台頭にどう対応するかを分析。広告市場のデジタルシフトが加速する中で、メディア企業が生き残るための戦略を示します。
第3章 コンテンツビジネスの未来に向けて
ゲーム・音楽・映像・電子書籍など、コンテンツ産業全体の市場予測を詳述。特に生成AIがコンテンツ制作の現場をどう変えるかという視点は、クリエイターからプラットフォーム企業まで幅広い読者に刺さります。
第4章 エマージングテクノロジーの未来に向けて
半導体Timesの読者に特に注目していただきたい章です。 AIアクセラレーター・量子コンピューター・フィジカルAI(ロボット・自動運転)など、今まさに「研究」から「社会実装」へ移行しつつある技術群を詳細に分析しています。
本書の刊行時期(2025年12月)は、NVIDIAのBlackwell世代が市場を席巻し始めた時期であり、「AIアクセラレーターが半導体産業全体の構造を変える」という分析は、今日の市場動向を後追いで確認するためにも価値があります。
第5章 AI・データガバナンスの未来に向けて
生成AIの普及が進む中で、「AIをどう使うか」という技術論から「AIをどう管理するか」というガバナンス論へと企業の関心が移行しつつあります。EUのAI規制・日本政府のAI戦略・企業の自主規制——これらが経営にどう影響するかを解説します。

半導体Timesが注目するポイント
① AIデータセンター投資の市場予測が「生きた数字」として使える
生成AIをはじめとする技術革新は、社会に正負両面の大きな変化をもたらしており、ますますその動向を捉えることの重要性が高まっています。
本書にはNRIが独自に集計した国内外のIT市場規模予測データが豊富に掲載されており、ビジネス提案・社内説明資料・業界分析の「根拠データ」として活用できます。
② 「エマージングテクノロジー」の章が今最も読みごたえあり
量子コンピューターから自動運転・人型ロボットまで、技術の成熟度(Technology Readiness Level)と市場化タイムラインを整理した分析は、「どの技術に今投資すべきか」を考えるうえで実用的な羅針盤になります。
③ 日本市場に特化した視点が希少
海外のIT市場予測レポート(Gartner・IDCなど)は英語かつ海外市場中心ですが、本書は日本市場に軸を置き、日本語で読める点が大きな強みです。日本企業の経営者・マネージャー・IT部門リーダーにとって、外部環境分析の「一次資料」として機能します。

こんな方に特におすすめ
✅ ICT業界のビジネスパーソン 自社の事業が向かう先を「市場全体の文脈」で把握したい方に。競合他社の動向分析や新規事業企画のベースライン情報として。
✅ デジタル戦略を考える経営者・役員 「AIでどのビジネスを変えるべきか」「データガバナンスにどの程度コストをかけるべきか」という意思決定の根拠として。
✅ 半導体・AI・テクノロジー投資家 市場規模予測と技術トレンドの組み合わせは、投資テーマを考える上でのフレームワークになります。本書の「エマージングテクノロジー」章と、半導体Timesの日々の技術解説を組み合わせることで、より立体的な理解が得られます。
✅ 就活・転職でICT業界を研究する方 業界研究に最も役立つ「公的な市場データ」が一冊にまとまっています。NRI作成という信頼性も面接の場で活きます。

まとめ
『ITナビゲーター2026年版』は「AIが変える社会」を俯瞰で理解するための、信頼できる業界地図です。
NVIDIAの決算やHBM4の動向、ラピダスの技術開発といった「木」を追い続ける半導体Timesの記事と並行して、「森」全体を見渡すために本書を手元に置いておくことを強くおすすめします。
テレコム・メディア・コンテンツ・エマージングテクノロジー・AI——これらすべてが「半導体」というインフラの上に乗っています。
その全体像を年に一度、NRIの視点でアップデートする習慣は、ビジネスパーソンとしての価値を確実に高めてくれます。
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