世界で最初に紙幣を使ったのは、中国だった
私たちが毎日使っているお札。当たり前のように手の中にある紙切れが、実は人類の歴史の中でもかなり新しい発明だということをご存知でしょうか。
そしてその発明の地は、中国でした。
重すぎる鉄のお金が、紙幣を生んだ
中国の北宋時代(960年〜1127年)は、経済活動が活発化し、商業や都市文化が大きく発展した時代でした。
特に四川地方では塩や鉄の取引、茶葉の流通が盛んで、大量の銅銭が必要となっていました。しかし四川省には銅が産出されなかったため、鉄製の硬貨が使われていました。鉄のお金は重くて持ち運びに不便で、しかもサビやすい。そこで代わりとなる便利なお金として、紙幣が考案されたのです。
重すぎる鉄のお金という不便さが、世界初の紙幣を生み出しました。
商人の「預かり証」が、紙幣へと進化した

最初は商人たちの間で自然発生的に「預かり証」のようなものが使われるようになりました。
これが後の「交子(こうし)」につながる紙の信用証明の始まりです。はじめは四川の成都の富商組合が約束手形として発行し、1023年以降はそれを引き継いだ北宋の政府が正式に発行するようになりました。
民間の知恵が生んだ預かり証が、やがて国家が管理する公式の紙幣へと発展していく。この流れは、現代の金融システムの原型とも言えるものです。
世界初の紙幣には、すでに偽造防止策があった
11世紀初頭には中央政府が木版印刷を用いた偽造防止策を強化し、複雑な文字や図案、多色刷りなどを採用するようになりました。
1000年前の中国で、すでに偽造防止の発想が存在していた。現代の紙幣に施された精巧な偽造防止技術も、その原点は北宋時代にまでさかのぼるのかもしれません。
ヨーロッパ人には「錬金術」に見えた
13世紀に中国を訪れたイタリアの旅行家は、著書の中で「皇帝は最高の錬金術師だ」と記しています。当時のヨーロッパにはまだ紙幣が存在せず、紙切れがお金として流通している光景が、魔法にしか見えなかったのです。
それほどまでに、中国の金融技術は時代の先を行っていました。
そして、世界初の紙幣はインフレで崩壊した
しかし輝かしい発明の歴史は、その後に暗転します。
政府が財政難を補うために紙幣を刷り続けた結果、価値が急落しハイパーインフレが起きました。「価値があると皆が信じているから価値がある」という紙幣の本質的な脆さを、人類は発明から数十年も経たないうちに経験することになったのです。
この教訓は現代にも引き継がれています。紙幣を刷りすぎた国が経済的混乱に陥る事例は、歴史上何度も繰り返されてきました。
1000年前の発明が、今の世界を動かしている
重い鉄のお金に困った四川の商人たちが考えた「預かり証」が、世界の金融システムの原点になりました。
あなたが今財布の中に持っているお札は、1000年以上前の中国の商人たちのアイデアが形を変えて届いたものです。そう考えると、何気なく使っているお金の見え方が、少し変わってくるかもしれません。
諸説ござんす。
よろしければ「スキ」や「フォロー」もお願いします。
