流山市 近藤みほ議員に問う「幼保小連携」を語るなら、公立幼稚園の廃園問題にも同じ熱量を向けるべきでは?
流山市の幼児教育や小学校への接続について、近藤美保議員がnoteで「幼保小連携の日」の取り組みを紹介していました。
一見すると、前向きな取り組みの紹介です。
保育園・幼稚園・小学校の先生たちが互いの現場を知り、子どもたちが小学校生活にスムーズに入れるようにする。これはもちろん大切なことだと思います。
ただ、私はこの記事を読んで、率直に言ってかなり違和感を持ちました。
なぜなら、今の流山市では、公立幼稚園の廃園問題があり、幼児教育の質や、要配慮児の受け皿、地域の公的な幼児教育の役割について、多くの市民が不安や疑問を持っているからです。
その状況の中で、「幼保小連携が前進しました」「保育の質向上が進みました」と発信するのであれば、きれいな言葉だけではなく、実際に何がどう変わったのか、そして公立幼稚園廃園問題にどう向き合ったのかまで、きちんと説明してほしいと感じます。
活動報告としては分かる。でも、成果報告としては弱い
今回の記事では、「幼保小連携の日」が始まったこと、先生たちが互いの現場を見る機会ができたこと、顔の見える関係づくりが進んだことなどが書かれています。
それ自体は否定しません。
幼児期から小学校への接続は大事ですし、先生同士が互いの現場を知ることも必要です。
ただし、それを「成果」と言うのであれば、もう一段踏み込んだ説明が必要ではないでしょうか。
たとえば、次のような数字です。
何園、何校が参加したのか
何人の教職員が実際に相互訪問したのか
その後、どのようなカリキュラム改善につながったのか
小学校入学後の行き渋りは減ったのか
欠席、遅刻、不登校傾向、保健室登校などに変化はあったのか
保護者の不安は軽減されたのか
要配慮児への接続支援は改善されたのか
記事を読む限り、こうした成果指標は見えてきません。
「先生たちが見に行きました」
「よい変化がありました」
「顔の見える関係ができました」
もちろん、それは大切な一歩です。
しかし、それはまだ「実施しました」という段階であって、「子どもたちにどのような効果があったのか」を示す成果検証とは別の話です。
政策を評価するなら、感想ではなく、数字や検証が必要です。
「前進◎」と自己評価するには、少し甘くないか
近藤議員の記事では、今回の取り組みが自身のマニフェストの進捗として紹介されています。
ここに、私は少し引っかかりました。
議員が自分の活動を報告すること自体は当然です。
市民に対して、何を提案し、何が動いたのかを伝えることは大切です。
ただ、「前進◎」のように自己評価をつけるのであれば、そこには客観的な根拠が必要だと思います。
制度が始まったことは「前進」かもしれません。
でも、それが「保育の質向上」や「小1プロブレムの解消」にどれだけつながったのかは、まだ別問題です。
施策が始まったことと、課題が改善したことは同じではありません。
ここを混同してしまうと、行政や議員の発信は「政策検証」ではなく「活動PR」になってしまいます。
今回の記事は、まさにその境界があいまいに見えました。
幼児教育を語るなら、公立幼稚園廃園問題を避けて通れない
私が一番強く違和感を持ったのは、ここです。
流山市では、市内唯一の公立幼稚園である幼児教育支援センター附属幼稚園について、廃園方針が出されてきました。
市は、園児数の減少や運営費などを理由にしています。
市の資料では、園児数が5年間で54%減少したこと、令和5年度予算が約5,464万円、園児1人あたり約248万円という数字も示されています。
数字だけを見ると、市が「効率」の観点から問題視する理由は分かります。
しかし、公立幼稚園の役割は、単純に園児数や運営費だけで測れるものなのでしょうか。
特に附属幼稚園は、療育と並行して通う子どもや、特別な配慮を必要とする子どもたちの受け皿としても重要な役割を担ってきたはずです。
実際、附属幼稚園の自己評価資料では、在園児の45%が療育と並行通園していることも示されています。
これは非常に重い数字です。
つまり、この問題は単なる「定員割れの園をどうするか」という話ではありません。
要配慮児の受け皿、公的な幼児教育の役割、インクルーシブ教育、療育との接続、そして小学校への移行支援に関わる問題です。
それなのに、幼保小連携の重要性を語る一方で、公立幼稚園の廃園問題について十分に語らないのであれば、私はどうしても言葉が軽く見えてしまいます。
市民はすでに、多くの声を上げている
公立幼稚園廃園方針に対しては、市民から多くの意見が出ています。
パブリックコメントでは、239人から437件の意見が寄せられたとされています。
その中には、廃園反対、公立幼稚園の継続、認定こども園化、特別な配慮を要する園児の受け入れ機能を維持すべきという意見が含まれていました。
これは、単なる一部の反対意見ではありません。
幼児教育のあり方について、市民がかなり具体的に疑問を投げかけているということです。
さらに、廃園方針の見直しを求める陳情についても、議会で議論されています。
近藤議員自身も、この件についてまったく関係がないわけではありません。
少なくとも、市民がこの問題に強い関心を持ち、議会でも重要な論点になっていたことは明らかです。
だからこそ、幼保小連携を「前進」として発信するなら、公立幼稚園廃園問題についても同じ熱量で説明してほしいのです。
「連携」という言葉だけでは、子どもは守れない
幼保小連携。
架け橋期。
子ども主体の遊び。
顔の見える関係。
円滑な接続。
どれも大切な言葉です。
しかし、こうした言葉は、実態が伴わなければ単なるスローガンになってしまいます。
本当に幼保小連携を大切にするなら、次のことを説明してほしいです。
附属幼稚園が担ってきた役割は、どこに引き継がれるのか。
療育と並行通園していた子どもたちの受け皿は、実際に確保されたのか。
特別な配慮を必要とする子どもたちの小学校接続は、廃園後も同じ質で保障されるのか。
附属幼稚園に蓄積されてきた実践知は、どのように市内の園や小学校に共有されるのか。
保護者の不安は、具体的にどう解消されたのか。
ここを語らずに、「幼保小連携が進みました」と言われても、私は素直に受け取ることができません。
むしろ、今まさに問われているのは、そうした言葉を公立幼稚園廃園問題にどう適用するのかではないでしょうか。
必要なのは、きれいな報告ではなく、検証できる説明
私は、今回の「幼保小連携の日」の取り組み自体を否定したいわけではありません。
むしろ、園と小学校が互いに学び合うことは重要です。
小学校入学後の子どもたちの不安を減らすためにも、現場同士の連携は必要です。
ただ、それを政治家が自分の成果として語るのであれば、きちんと検証できる形で示してほしいのです。
「実施した」だけでは足りません。
「よかった」という感想だけでも足りません。
「前進◎」という自己評価だけでは、市民には判断できません。
市民が知りたいのは、実際に子どもたちに何が起きたのかです。
行き渋りは減ったのか。
保護者の不安は減ったのか。
要配慮児への支援は厚くなったのか。
公立幼稚園が担ってきた役割は守られたのか。
廃園によって失われるものは本当にないのか。
こうした問いに答えないまま、幼保小連携の前進だけを語るのは、あまりにも都合がよく見えてしまいます。
流山市政を見ている一市民として
流山市は、子育て世代に選ばれてきた街です。
だからこそ、子どもに関する政策については、言葉だけでなく中身を厳しく見ていく必要があると思います。
「子どものため」
「保育の質向上」
「幼保小連携」
「小1プロブレムの解消」
これらの言葉は、誰も反対しにくい言葉です。
だからこそ、その言葉の裏に、具体的な数字、現場の実態、失われる機能への説明があるかどうかを見なければいけません。
今回の記事は、活動報告としては理解できます。
けれど、政策検証としては不十分です。
そして、公立幼稚園廃園問題がある中で読むと、どうしても自画自賛的な発信に見えてしまいます。
幼保小連携を語るなら、まず今回の公立幼稚園廃園問題について、真正面から説明してほしい。
附属幼稚園が担ってきた役割をどう評価したのか。
廃園によって何が失われ、何が代替されるのか。
要配慮児や保護者にとって、本当に不利益はないのか。
そして、その判断に議員としてどう関わったのか。
そこまで語って初めて、「保育の質向上」や「幼保小連携」という言葉に説得力が出るのではないでしょうか。
私は、流山市の子どもたちのために必要なのは、きれいな成果報告ではなく、検証できる説明だと思います。
主な資料・出典
近藤美保議員 note「幼保小連携の日」に関する記事
https://note.com/mihokondoh/n/na95df9a31f40
近藤美保議員 マニフェストページ
https://mihokondoh.net/manifest/
流山市「流山市幼児教育支援センター附属幼稚園の廃園方針」
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/043/780/3haienhousin.pdf
流山市「附属幼稚園の廃園方針に関するパブリックコメント結果」
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/information/1008466/1008474/1044677.html
流山市「附属幼稚園 学校評価/自己評価資料」
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/220/7hyouka.pdf
流山市教育委員会「幼保小連携・架け橋期カリキュラム関連資料」
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/section/1010073/1010076/1010079/1010083.html
