第2章:絵本から金融教育~「スマホばかり」が親子時間へ~
「スマホばかり」と子どもに言われた私は、少し反省した。
しばらくの間、意識的に画面から離れ、代わりに子どもと絵本を読む時間を増やすことにした。
そのとき手に取ったのが、「世界を巡る納豆の探検」という絵本だった。
納豆は日本の食べ物だと思っていた。
けれどその絵本には、想像していたよりもずっと広い世界が描かれていた。
日本だけではなく、アジア、そしてアフリカにも、納豆が存在しているという。
さらに、納豆の起源についても一つではない。
水戸で生まれたという説がよく知られている一方で、縄文時代にすでに存在していた可能性もあるという。
ただの朝食の一品だと思っていた納豆が、急に“歴史の話”として立ち上がってきた。
それだけではなかった。
納豆は、ただ「藁と納豆菌」でできている単純な食べ物ではなかった。
地域によっては、使われる素材も違う。
植物の種類が変われば、発酵の形も変わる。
同じ「納豆」という名前でも、その背景には違う文化と環境が存在していた。
そこから私は、発酵そのものにも興味を持つようになった。
麹菌、味噌、醤油。
それぞれは別の食品でありながら、見えない微生物の働きでつながっている。
目には見えないけれど、確かに“流れ”がある世界だった。
さらに調べていくと、納豆の製造は、思っていた以上に現代的だった。
温度管理や発酵の工程は経験だけに頼るものではなく、近年ではAIなどを活用して品質管理を行う工場もあるという。
一つの食品の裏側には、発酵の技術だけでなく、ITや製造業の技術も関わっていた。
そこから見え方が変わり始めた。
納豆は「食べ物」ではなくなっていった。
代わりに見えてきたのは、「たくさんの企業と技術が関わるひとつの仕組み」だった。
パッケージを作る企業があり、物流を担う企業があり、製造を支える企業がある。
それらが組み合わさって、ようやく一つの納豆が食卓に届いている。
私はその流れを、子どもと一緒に業界地図で見てみた。
小さな絵本の世界が、いつの間にか企業のつながりへと広がっていた。
さらに四季報を開くと、それぞれの企業の規模や事業内容、そして海外展開の有無まで見えてくる。
納豆という一つの食べ物が、世界の経済の入り口になっていた。
そのとき気づいた。
これは単なる知識ではなかった。
子どもと一緒に“世界の見方そのもの”が変わっていた。
納豆を通して見ていたのは、食べ物ではなく、世界のつながりだった。
そして同時に思った。
これはもしかすると、子どもへの金融教育でもあるのかもしれない。
お金の話を直接教えているわけではない。
けれど、目の前のものの裏側にある仕組みを一緒に考えている。
それは、確かに「学び」だった。
最近は、週刊子ども新聞を子どもと一緒に読みながら、
世の中の出来事や経済の話題に触れる時間を作っています。
情報収集と親子の時間を一つにすることで、
世界の大きな流れを知りながら、
子どもと向き合う時間も大切にできるようになりました。
第2章まとめ
納豆の絵本一冊から始まった体験は、
子どもと一緒に世界の構造を見る時間へと広がっていった。
「スマホばかり」と言われていた時間は、
いつの間にか子どもと一緒に世界を学ぶ時間へと変わっていた。
金融教育とは、お金の知識を教えることだけではない。
身近なものの背景にある仕組みを、
一緒に考える時間なのかもしれない。
