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Connecting the dots 〜点と点を結ぶ〜

未来を見て、点を結ぶことはできない。
過去を振り返って点を結ぶだけだ。
だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない。
当然ながら、将来を見据えて、点と点を繋ぐことは不可能だった。
しかし10年後に振り返ってみると、その繋がりは、とても、とてもハッキリと見える。
将来を見据えて点と点を繋ぐことはできない。
後になって振り返ってみないことには、繋ぎようがない。
だから将来、どうにかして点と点が繋がると信じなければならない。
点と点がいつか繋がると信じているからこそ、自分の心に正直になれる。
たとえそれが常識外れの道だとしても、それが他の人との違いになる。

偉そうに書きましたが、これはスティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の卒業式で学生たちに語った言葉である。

色々な経験が、将来、結びついて役に立つことは明白だろう。しかし、何がどう役に立つと、将来を見据えて何かを学んだり経験することは難しい。

Connecting the dots、つまり点と点を結ぶとは、後から人生を振り返ると、結果的にいろいろなことが結びついて糧になっているのであって、将来のことを必要以上に心配してあれこれ悩んでも仕方がない。だから今やっていることに夢中であれ、一生懸命にやれ、今を必死に生きろ、というメッセージであるとわたしは解釈した。

私は、2011年東北地方太平洋沖地震を学部3年の3月に経験した。当時、私は地震学の研究室に仮配属されており、4月から地震に関連したテーマで卒業研究を始める予定だった。

大学院に進学するつもりではあったが、就職はどんなところにするか、あまり真剣には考えていなかった。学んだことを活かせるところがいいかなと漠然とは思っていたが、特別、やりたいことが決まっていたわけではない。

学部の3、4年、修士の1、2年で地震の研究をして、わたしは結果的に地盤調査会社に就職した。未曾有の大地震を、学生時代に地震学の研究室で経験した身にとって、地震防災に携わろうと決意したのは、今にして思えば当然とも感じる。

本来の研究テーマについて研究室では研究しながらも、家に帰ると趣味で津波シミュレーションのプログラムを自作していた。未曾有の大地震は、未曾有の大津波をもたらした。津波の研究も盛んに行われ、コンピュータの進化に伴って、ある程度規模の大きな計算も個人PCでできるレベルになってきた時期だった。

ある程度複雑で、ある程度役に立ちそうなプログラムを、自分でゼロから作ることができたのは、プログラミングに対する苦手意識を払拭してくれた。計算式さえわかっていればプログラムを作ることができる、計算式がわからなければ論文を読んで勉強すればよい、という、経験に裏打ちされた自信につながった。また、マシンのメモリが足りない場合には、プログラムのアルゴリズムを工夫したり、一部のデータを逃したり、さまざまな工夫を行うことで計算を実行できることも学んだ。

今、地盤や地震動の解析を行う部署に所属しているわたしだが、大規模な地震動の解析、またその図化、アニメーションの作成など、そうした作業にはこの時の経験が間違いなく役立っている。また、時間のかかる計算を早くするためには、アルゴリズムを工夫して早く終わらせたり、そうした工夫を行うことができるという経験も役立っている。

もちろん、津波のシミュレーションプログラムに一生懸命取り組んでいたのは、将来、仕事についた時にこれが役に立つと思って苦労してやっていたわけではない。結果的にそうなっただけである。

どんな経験も、必死に、貪欲に取り組むことで、将来の糧になるものは多いはずだ。でも逆に言えば、将来役に立ちそうだと思って興味がないことに手を出したとしても、いい加減にやっていたのでは、後になって生きることも少ないかもしれない。

そういう意味で、よく大人が「色々経験しておいた方がいい、将来のためになる」と言うのだろうが。個人的には、それは必死に取り組んだ場合に限るのであって、多くのことを片手間に、いい加減に経験していても、それはあまり記憶に残らないかもしれないし、役に立たないかもしれない。

苦労した経験は、妙に記憶に残る。おそらく、解決した時の喜びが大きいからだろう。それもこのことに一役買っているのかもしれない。

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