真紅の花 《詩》

「真紅の花」
月明かりの代わりに詩を
ふたりの世界を照らす様に
君の目に映る景色
僕の目に映る景色 時を超え
僕等はスローなジャズ ミュージック
に合わせて踊った
銀のイヤリングが揺れている
彼女はショールを肩に巻いて
ヒールは脱いでしまっていた
情熱
と彼女は僕の目を見据えて
そう言った
そしてロングスカートを
たくし上げて
ストッキングに包まれた脚を
僕に見せ付けてきた
どこか猥褻で暴力的な仕草で
真紅の花が揺れる
私に辿り着きなさい 早く
そうしたいんでしょう
私は料理も作れるし
銀行だって襲えるわ
縫い物だって出来るし
カクテルだって作れるのよ
他に何か要求する事があれば
言ってごらんなさいよ
そう言って僕に身を寄せた
温かみを求める様に
手には最後の一本の
ボジョレーワイン
ラベンダーの香水の匂い
混じりけのないロマンス
悩殺的だ 彼女は世界の時間を
ストップさせるだけの
魅力を備えていた
この女となら死んでも構わない
ひと時でも
そんな事を本気で思った
情熱
今を呼び合う
彼女の言葉を その声を
今でも忘れずに覚えている
儚くとも鮮明な最初の言葉
君に抱かれたまま眠った夜
確かに僕等は永遠に触れた
月明かりの代わりに詩を
ふたりの世界を照らす様に
君の目に映る景色
僕の目に映る景色 時を超え
真紅の花が揺れている
踊る様に揺れている

