夢飾り 《詩》

「夢飾り」
長い直線の道路を上がりきると
海が見えた
岬の先には白い灯台
その先には小さな島が見えた
春を含んだ晩冬の太陽が
水平線を映し出し
雲がゆっくりと流れている
強い磁石の様に予感は周囲のものを
引き寄せて実体を作り始める
自分が最も欲しいものが
何かわかってない奴は
欲しいものを手に入れる事が
絶対に出来ない
傷つくのを恐れて
作ってきた逃げ道
無数の言い訳と免罪符
地図を失くした俺達は
名前を持たない街の中で立ち止まる
顔のない人々は集団心理の
アスファルトの上を足速に通り過ぎ
俺達を追い越していく
ふと或るメロディを思い出す
沈黙する孤独が詩を呼ぶ
無限に続く回廊 出口は見えず
降り積もり積み重なる後悔が
視界を奪う
疑問符だらけの言葉
呂律回すだけの盲目的な朗読
本物は何処にある
ありもしない風景に身を委ねる
全ての美しいものに出会う
そう 綺麗なだけが
美しい訳じゃない
誓った言葉 お前と見た夢 夢飾り
葉の先から一滴落ちる雫
見えるだろう
焼けたコンクリートが雨で
冷やされる匂い 夕暮れの匂い
二人だけで歌を歌い
月明かりを頼りに歩き続ける
躊躇いながら戸惑いなから
歩き続ける
坂道は夕暮れの斜光で
オレンジ色に染まっていた
忘れないよ
強い磁石の様に予感は周囲のものを
引き寄せて実体を作り始める
自分が最も欲しいものが
何かわかってない奴は
欲しいものを手に入れる事が
絶対に出来ない
一粒の雨の雫が水溜まりに映った
夕焼け空を揺らした
失われた現実が音もなく
静かに揺れた
長い直線の道路を上がりきると
海が見える
書き残された詩
お前の眠る あの海が見える

