V6 《詩》

「V6」
俺はアクセルを踏み続ける
ヘッドライトで切り取られる闇は
一瞬静止してから次に恐ろしい
速さで後ろに飛んでいく
反応の無い植物的な街を抜け出す
身体の筋肉が覚え込んでいる事を
勝手に演じる様に
跳ね上がる回転計に合わせて
シフトを上げる
古いV6エンジンが唸りを上げる
その音はどこか官能的で
楽器の様に心地よい音だった
獰猛さと優雅さを併せ持つ咆哮
暴力的な心臓の音
お前の抱える地獄に付き合うよ
拾い集めたガラクタ 映し出す月光
望んだものと手にしたもの
街のネオン 汚れた手を伸ばす
その先にある夢
奴等の借り物の刃なんかで
切り裂かれる訳にはいかない
絵に描いた様な美談を
瞳に焼き付けて
全ての出逢いと別れ
天よりの光差し込む母なる
海に抱かれ波騒ぐ神の声聞きて
安らかに眠りに就かれんことを
俺達の描いた花
最後には微笑んでみせるさ
必ず咲かせてみせるさ
愛想の無い街
春の夜の雷鳴を伴う雨垂れ
海が泣いている
俺はアクセルを踏み続ける
ヘッドライトで切り取られる闇は
一瞬静止してから次に恐ろしい
速さで後ろに飛んでいく
お前の抱える地獄に付き合うよ

