天国の浜辺 《詩》

「天国の浜辺」
どす黒い霧雨の中をサンダルで
駆け抜けていたあの娘
空を見上げても青空はない
見なければいけないものだけを
見ればいい
聞かなくてはいけない言葉だけを
聞けばいい
僕等はきっと見なくてもいい
ものを見過ぎて
聞かなくてもいい言葉を
聞き過ぎて来たんだ
そんなものばかりで
すり減っていく生命
殺れるもんなら殺ってみな!
そう叫びながら
僕はあの娘の手を引いて走り続けた
辿り着いた場所 わからない
此処が何処なのか わからない
楽園なのだろうか
嘘だとわかっていても
優しい言葉や光景を求めて彷徨う
偽善民主主義の光が平等と
言う名のもとに照らす
屈折してねじ曲がった光
反吐が出そうな血塗れの地獄
瞳を閉じて見えるもの
僕等は世界の終わりを
眺めながらキスをした
強く抱きしめて深いキスを
意識の中の波打ち際に何かが光る
それは世界の片隅にある
名もなき浜辺
静かに輝く貝殻をひとつ拾った
それを僕はポケットに入れた
理由なんてないさ
とても綺麗なピンク色だったから
天国の浜辺
いいだろうそう呼んだって
全ては狂った僕の仮説なんだから
やがて海は割れて空が落ちてくる
朽ち果てた処刑台の下
小さな花が風に揺れていた
僕等が今 目にしているものは
世界の終わりなんかじゃない
新しい世界の始まりなんだ
理由なんてないさ
とても綺麗なピンク色だったから
やがて新しい
夜明けの空気に染まり
その色は色彩を増すだろう

