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tibihime
「比べないことで、ようやく見えた私のかたち」
となりの誰かがまぶしく見える日があった。
誰かの成功、誰かの強さ、誰かの笑顔。
自分にはないものばかりが、目に映ってしまう。
置いていかれる気がして、追いつこうとするたび、
自分の形が歪んでいった。
「どうして私はこうなんだろう」
問いはいつも、自分を責めるためにあった。
「もっとこうなれたら」「あの人みたいに」
そんな言葉が頭の中を埋め尽くす。
いつしか、自分の足音が聞こえなくなっていた。
でもあるとき、ふと立ち止まった。
もう比べることに、疲れてしまった。
誰かと同じになろうとしても、
心は満たされなかったから。
比べるのをやめてみた。
すると、小さな輪郭が見えてきた。
不器用だけど、丁寧に日々を選んできた私の形。
誰にもなれなかった代わりに、
私は、私になっていた。
ニーチェの言葉が浮かぶ。
「他人と比べるな。昨日の自分と比べよ。」
私は、昨日より少し優しくなれただろうか。
昨日よりほんの少し、自分の声を聴けただろうか。
そう問いかけるようになってから、
誰かの影に、もう怯えなくなった。
おわりに
誰かと比べて落ち込んだ日々も、
私の感性が確かに生きていた証だと思う。
でも、これからは比べることで失うのではなく、
自分だけの感覚を見つけていきたい。
その形はまだ不確かだけど、
もう他人の型に押し込めなくていいと、やっと思えたから。
