見出し画像

ライターとして障害のある人の声を届けたい。翼祈(たすき)さんの使命

長年書き続けてきた言葉が、今、インタビューライターとしての武器になっている。
障害や病気と向き合いながら、2,000本を超える記事を世に送り出してきた翼祈さんに、書くことへの思いと、これから目指す姿についてお聞きしました。


翼祈(たすき)さん|プロフィール

翼祈(たすき)さん

福岡県在住のウェブライター・インタビューライター。
就労継続支援A型事業所「TANOSHIKA CREATIVE」に所属し、障害×働くをテーマにしたウェブメディア「AKARI」で精力的に記事を発信している。
自身も12の障害・疾患を持つ当事者として、障害のある人へのインタビューを得意とし、プロの取材ライターを目指す日々を過ごしている。

note:https://note.com/akariwriter3
X(Twitter):https://x.com/tasuki1011AKARI

書くことと歩んできた20年

書くことはいつ頃から始めたのですか?

翼祈さん:
文章を書き始めてから、今年で20年になります。最初は2006年頃、ネット掲示板にコメントを書いたのがきっかけでした。
その後、掲示板仲間に招待されてmixiを始め、コミュニティへの書き込みが増えていきました。

2009年からブログを書き始め、最初はエンタメのイベントレポートなどを投稿していました。
よく驚かれるのですが、2021年の秋までガラケーで書いていたんです。

2023年の春頃、ライターとして社会問題や医療などの記事を書くようになってから、エンタメブログとの内容の乖離が大きくなったため、ブログを休止しました。
ブログをずっと続けていたことで身についたリサーチ力は、今の取材活動に活かせています。

本や漫画がお好きなのですか?

翼祈さん:
子どもの頃は、小学校の図書館で偉人の伝記や絵本などを読んでいました。マンガが大好きで、20歳頃には家に2,000〜3,000冊あったこともあります。
りぼん・なかよし・ちゃおなどの少女漫画はもちろん、少年漫画も広く読んでいました。
捨てられない性格なので、「これ以上本を増やすと家が傾く」と思い、あまり買わなくなってしまいました(笑)。
ただ、読むことで培われた文章への感覚は、ライターとしての土台になっています。

スマートフォンで文章を書くのが得意だそうですね。

翼祈さん:
ガラケー時代から文章を打ち続けていたからか、スマホでもかなりのスピードで書けるようになりました。
試しに2,000字書いてみたら1時間半で書けて、そこからどんどん文字数を伸ばしていって、今はスマホで9,000字以上のSEO記事も書けるとわかりました。

坐骨神経痛とすべり症があって体を起こしているのがつらいので、横になりながら書けるスマホはとても助かっています。
長時間座っていられなくても、スマホでのタイピングが得意なおかげでライターとして活動できます。

TANOSHIKAとAKARIで積み上げてきたもの

TANOSHIKAに入職したきっかけを教えてください。

翼祈さん:
ある日、前の職場にTANOSHIKAの担当者の方が営業に来られていて、お昼の時間にたまたまその方と目が合ったんです。
「うちはパソコンを使って文章を書く仕事があります」とひと言声をかけてもらった瞬間、「ここで働きたい」と直感しました。

当時はWebライターという言葉も知らなかったのですが、それ以前に10年以上ブログを書き続けていたこともあって、「パソコンで文章を書く仕事」という響きに自然と引きつけられたのだと思います。
後日、会社名を調べて、さらに働きたい気持ちが強くなりました。

2021年10月に入社し、TANOSHIKAが運営しているWebメディア、AKARIでのライター活動が始まりました。

🔽AKARI|翼祈さんプロフィールページ

AKARIではどのような記事を書いてきましたか?

翼祈さん:
入社当初は自分の持つ疾患の体験談が中心で、そこから社会問題・医療・障害福祉など幅広いジャンルのニュース記事を書いていました。
1日4時間、平均3・4記事、多い日で7記事というペースで書き続け、累計で2,000本を超えています。

2025年10月からはメディアの方針が「障害×働く」の体験談・インタビューに特化したため、ニュース記事ではなくインタビューライターに転向しました。
書けるジャンルは変わりましたが、その分、自分が実際に体験した検査や医療の様子を一次情報として記録しておく習慣が身につきました。

2026年中に、TANOSHIKAを卒業して、プロのライターになりたいと考えています。

今の職場でライターとして活躍されているなら、このままTANOSHIKAで働き続けることもできるのではないでしょうか?

翼祈さん:
就労継続支援A型事業所は、一般企業への就職を最終的なゴールとしている場所なんです。
大部分の方が入れ替わっていき、早い方だと2ヶ月で就職が決まることもあります。ずっといられる場所ではありません。

いくら今の職場でライターの経験を積んでいても、いずれは一般企業へ就職する必要があります。
障害者雇用は、事務職などでの採用が一般的で、TANOSHIKAの職員がライター職で企業に就職した例はこれまでにありませんでした。
ですが、せっかくTANOSHIKAでつかんだ、文章を書く仕事を諦めたくはありません。
そういった理由で、正社員のライター職を目指して、転職活動をしています。

インタビューライターとしての活躍と実績

社外の方へのインタビューはどのように始まったのですか?

翼祈さん:
2025年6月から、社外の方へのインタビューを始めることになり、私が主導となって企画を立ち上げました。
インタビュー対象者の方を探すときは、XやInstagramで当事者団体や支援者の方の発信をチェックして、声をかけさせていただいています。
2026年4月までに23名へのインタビュー掲載を目標に取り組んできました。

🔽AKARIで手がけているインタビュー記事

インタビューで心がけていることはありますか?

翼祈さん:
事前準備には、しっかりと時間をかけることを意識しています。
多いときは質問案を30問以上つくります。誰でも聞けるような質問ではなく、資料を読み込んで、これまでネット上には書かれていない「コアな質問」を考えています。

インタビュー中に違和感を覚えた点があれば、きちんと掘り下げるようにしています。
あるインタビューで、相手の方がご自身の活動の良い側面をお話してくださいました。ですが、以前その方の活動について調べた際に読んだ資料には、デメリットについての記述もありました。
その点を深掘りして聞いてみたところ、それまで出てこなかった苦労話をしてくださったんです。
インタビューが一気に深まり、やりがいと手応えを感じました。

取材相手の方から、「こんなに下調べをしてくれた方は初めてです」「深い質問ですね」と言っていただけることも多いんです。
インタビューの流れが想定以上にスムーズで、1時間の予定なのに20分余ってしまったときも、臨機応変に対応しています。
準備していた追加質問と、話を聞きながら浮かんだ気づきを重ねて、時間をしっかり使いきることができました。

これから目指すインタビューライターの姿

どんなインタビューライターになりたいですか?

翼祈さん:
障害のある方や当事者のご家族、支援者の方に取材するインタビューライターになりたいです。
自分自身が12の障害・疾患を持つ当事者なので、同じ立場の方の悩みや感覚を深く理解した上で話を聞けることが自分の強みだと思っています。

インタビューの場面で、相手が本当に聞いてほしいことを引き出せるのも、当事者としての経験があってこそだと感じます。
まだプロとは言えない段階ですが、社外の方へのインタビューを自分で企画して実現できていることで、少しずつ夢に近づいています。

インタビューの対象を広げていくことは考えていますか?

翼祈さん:
障害当事者の方だけでなく、支援者の方やご家族、専門医の方にも話を聞いてみたいという気持ちはあります。
障害や福祉に関わるテーマで取材ができれば、直接的ではなくても、間接的に障害のある方の助けになれるはずです。
まずは経験を積み重ねて、「翼祈さんに任せたい」と思ってもらえるライターになれるように努力します。

これからのキャリアについて、今どんなことを考えていますか?

翼祈さん:
企業の正社員のライター職になりたいと考えていますが、正直なところ簡単ではないと思っています。
ライターを正社員で雇っている企業自体が少ないですし、私の体調や通院に対応できる職場となると、さらに選択肢は狭まります。

それでも、障害者のために役に立つ情報を発信するライターになりたいという思いは変わりません。
真っ暗な道をひたすら走り続けているような感覚もありますが、それでも一点の光に向かって進んでいます。
どうすれば夢を叶えられるか、今もいろんな方に相談しながら模索しています。

インタビューを終えて

翼祈さんとお話しして印象的だったのは、「読者に届けたい」という使命感を強く持っていること。
記事で情報を発信することで、誰かの生活を豊かにすることができる。その信念が、2,000本を超える記事の背景にあります。

取材相手の話に丁寧に耳を傾け、資料を読み込み、相手が話したいことを引き出す。
その姿勢は、20年かけて培った読み書きの蓄積からきていると感じました。

プロになるための道はまだ途中でも、翼祈さんはすでに、インタビューを通じて誰かの人生に真摯に向き合っています。
今後のご活躍を応援しています。


👉️翼祈(たすき)さんの今後の発信はこちらから

note:https://note.com/akariwriter3
X(Twitter):https://x.com/tasuki1011AKARI

シーアのプロフィールはこちら


いいなと思ったら応援しよう!

湯浅邦枝|インタビュー・ブックライター 気に入っていただけたら、SNSでシェアしていただけると励みになります!