【語学習得】外国語を磨きたければ、まず母語を磨け:大人だからこそできる“近道”がある
こんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
何歳からでも遅くない語学学習をサポートする、現役スペイン語翻訳・通訳・講師・コーチのアダっちゃんです。
今日もnoteを訪れてくださってありがとうございます。
本日のテーマはスタンドFMで6月9日(https://stand.fm/episodes/68488032be7d0ecba75b8083)に配信した「外国語を磨きたかったら母国語を強化しよう」について、内容を加筆、再構成してお届けしています。
タイトルロールで毎回申し上げているとおりですが、「何歳からでも遅くない」。そう、自信を持って私は言い切れます。
なぜなら、語学学習には“年齢による不利”以上に、“大人ならではの強み”があるからです。
そして、今日のテーマは、その強みの根幹でもある「母語を磨くことこそ、外国語習得の近道である」というお話をしてみたいと思います。
母語の力が外国語の土台を決める
このテーマは語学界隈ではよく語られる話ですが、実際に学習者の皆さんを見ていても、常に感じる真実があります。
それは、外国語学習において“母語の力”が反映されるということ。
つまり、英語でもスペイン語でも、いくら語彙やフレーズを覚えても、母語でその概念を深く理解できていないと、表現の運用は難しいということ。
たとえば、「sympathy」と「empathy」の違いを英語で覚えようとしても、日本語で「同情」、「共感」、「共鳴」といった感情の微細な違いが理解できていなければ、結局、使いこなせず、ネイティブレベルでは「そこは“empathy”なんだけどな」みたいなことが起こるんですね。
もっと言うと例えば日本語の敬語表現で尊敬ごとから謙譲語ってそもそも例えばですがスペイン語にはへりくだるという概念がないので、スペイン語話者が使い分けるのが至難の業です。
言い換えるなら、母語で表現できないことは、他の言語でも表現しづらいということですね。
子どもが何カ国語も話せるのはなぜ?
とはいえバイリンガルやマルチリンガルな人もいるわけで、反証になっているじゃないかという意見も出てくるかと思います。
確かに私が以前住んでいたメキシコでは、とある駐在員のご家庭の例です。もちろんご家庭では日本語ですが、ご子息は子どもたちが幼稚園の頃からスペイン語と英語のバイリンガル教育を受け、さらに小学校からは第2外国語フランス語を学ぶのに加えて”English Day"みたいな日もあるらしく、中学生になるころには計4か国語のマルチリンガルとして自在に話していました。
「やっぱり子どものうちに始めないと」
そう思う方も多いかもしれませんが、実はここに“落とし穴”があります。
確かに子どもの脳はバイリンガルやマルチリンガルな素質を付加するには大きなアドバンテージがあります。
そして日本で英語を本格的に学びだす中学校からでは正直そのアドバンテージはほぼ失われてしまうのが事実としてあります。
とはいえ、反対に大人担ってからでも十分に外交官や翻訳・通訳士の方は大勢いらっしゃるわけで、言語習得においてアドバンテージこそあれど、幼少期の習得がどうやら必須でもないようです。
結論から言いますが、言語の発達には“母語の基盤”が不可欠です。
実際、先程の駐在員のご子息たちもスペイン語の語彙力や文章力が伸びるにつれて、英語・フランス語での表現もぐんと豊かになっていました。
つまり、母語を育てることが、多言語運用の力を引き上げるということなんです。
「母語を超える外国語能力はない」──だからこそ大人は有利?
ここで興味深い研究があります。言語習得の分野では、**「母語の能力を超える第二言語能力は存在しない」**ということがほぼ定説となっています。
これは裏を返せば、大人がすでに持っている母語力が、外国語学習の最大の“武器”になるということです。
「もう歳だし…」と諦めるのは、実はとてももったいないこと。
なぜなら、大人はすでに
・抽象概念を理解する力
・論理的に物事を構成する力
・感情を多様に表現する力
を母語で持っているから。
つまり、外国語に訳せる“中身”があるんです。
これって、ものすごいアドバンテージだと思いませんか?
外国語は“翻訳の産物”ではなく、思いを伝えるツール
私自身、翻訳・通訳の仕事をしています。
現場で常に求められるのは、ただ言葉を置き換えることではなく、相手に意味が伝わること。
その際に求められるのが「母語の深い理解」です。
同じような表現や語彙を多用しないように類義語をしっかり抑える、今でもめちゃくちゃ手を焼きますが、外国語でのことわざや格言をそのまま訳すのではなく、上級者であれば似たようなそれらに置き換えるんですね。
これはかなりレベルの高い話にはなりますが語学は結局、“母語からどう世界を捉えているか”ということが大きな意味を持ちます。。
だから、語学の習熟度が上がるほど、自分の日本語力や思考力が問われるということが言えます。
もちろん私だって何度も何度も失敗して、今でも上手くいかないときのほうが多いぐらいですが、だからこそ気づけたこともたくさんあります。
脳は使えば使うほど若返る?──言語学習の“副産物”
近年、脳科学の分野でも注目されているのが、大人の語学学習が脳の活性化に寄与するという研究結果があります。
言語を学ぶというのは、記憶、集中、注意、論理、感情といった複数の脳領域を同時に使う複雑な作業。
加えて、母国語と外国語では活発になる脳のエリアも異なってきます。
つまりそちらが活性化することにより母語へもまたその恩恵が広がっていくということは簡単に想像できますよね。
言い換えると、学習すること自体イコール究極の“脳トレ”であると。
しかも、それが実用的な外国語なら、旅行や仕事、国際交流など日常にも直結するわけです。
人生にわたってその恩恵を受けれるだけでなく、海外へ行くことで自分の中の思考のブレイクスルーも起こることを考えるとめちゃくちゃコスパもタイパも外国語学習って良いのかもしれません。
「今からじゃ遅い」は思い込み。あなたの言葉は、今この瞬間から磨ける
語学に限らず、「今からじゃもう遅い」「若い頃にやっておけばよかった」という声をよく耳にします。
でも、本当にそうでしょうか?
私は、自分の言葉で思いを届けられるようになったのは、むしろ大人になってからだと感じています。
スタンドFMでの音声配信も、その一環です。
始めた当初は原稿をがっちり書いて、何度も撮り直して…という不器用なスタートでした。
でも、今は台本なしで、そのとき心にあることを、自分の言葉で話しています。
これはやはり無意識レベルで自分の考えをわかりやすく話すことというのは大人だからできる特権ともいえるんではないでしょうか。
最後に:語学は“自分を生かす”ためのツールである
外国語を学ぶことは、ただの趣味でも、スキルアップのためだけでもありません。
それは自分という存在を、より豊かに表現する手段を増やすこととも言えます。
言うなれば母語を丁寧に見つめ直すことが、必ずその先の言語を育てる土台になるのです。
大人だからこそ、言葉の背景や文脈、感情の機微も含めて、語学に取り組むことができます。
年齢ではなく、今、学び始めるかどうか。
それが、一番の“近道”なんじゃないかと思います。
今日も聞いて(読んで)くださってありがとうございました。
¡Gracias y hasta luego!
