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白内障手術を極める「一流外科医の思考」【ドクターズ・インサイト】

医療の最前線で活躍するドクターたちの素顔と、その信念に迫る『ドクターズ・インサイト』。今回は東京都町田市の「中原眼科」中原将光院長にお話を伺いました。

大学病院の眼科医局、病院の眼科部長職を歴任した後、フリーランスの手術専門医として全国で依頼手術をこなし、その経験と技術を集約させる形で2021年に「中原眼科」を開院。

そこには、手術と真剣に向き合い続けてきた医師の姿がありました。

Q. 同じ白内障手術でも、医療機関によって差が出るのはなぜでしょうか

中原:保険診療であっても、術後の満足度には確かな差が生まれます。その要因は、大きく三つあります。

一つ目は「機器とレンズの選択」です。
同じ保険診療の枠内でも、乱視用レンズを使用するかどうかで術後の見え方は大きく変わります。乱視用レンズは医療機関側の負担となるため、あえて使用しない施設も少なくありません。

二つ目は「データの蓄積量」です。
手術件数が少ない場合、レンズ度数の予測にばらつきが生じやすくなります。一定の術者が継続的に症例を積み重ねることで、初めて精度の高い予測が可能になります。

そして三つ目が「外科医の技術力」です。
当然ですが、執刀する外科医の技量によって、結果は大きく左右されます。私はここに誰よりも心血を捧げてきたという自負があります。

ただ、白内障手術は「ある程度の技術があれば、一定の見え方までは到達してしまう」ということがあります。
しかし、患者さん主観で見え方を評価するしかないので「もっと見えるようになる機会」を失っていることもあるのです。

中原眼科_手術室

Q. 手術の「腕の差」はどこに表れるのでしょうか

中原:鍵になるのは「再現性」です。
同じ位置に、同じ切開で、同じポジションにレンズを挿入できるかどうか。

眼内レンズは、わずかな位置のずれでも度数に影響が出ます。
これは、メガネを目から離したときに見え方が変わるのと同じ原理です。

この再現性の高さが、そのまま術後の見え方の満足度に直結します。
再現性を高めるためには、手術を常に「難しいもの」として捉え続ける姿勢が欠かせません。

例えば、コンパスや定規を使わずフリーハンドで直径5センチの正円を描くような精度を、毎回の手術で追い求める感覚です。
簡単に書こうと思えば誰にでもでき、完璧を目指したらいくらでも難しくすることができるということです。

目標を120点に設定するからこそ、結果として100点を出し続けることができると考えています。

熟練した外科医の手術は、一見すると非常に簡単に見えます。
しかしその裏には、緻密な工程と瞬時の判断の積み重ねがあります。

もし「白内障手術は簡単だ」と語る医師がいるとすれば、その言葉は慎重に受け止める必要があると思います。

Q. 白内障の手術は、どのタイミングで受けるのがよいのでしょうか

中原:白内障は、年齢を重ねれば誰にでも起こり得るものです。だからこそ大切なのは「いつ手術を受けるか」という判断を先延ばしにしないことだと思います。

視力は少しずつ低下していくため、人はその変化に順応してしまいます。
「まだ見えているから大丈夫」と感じていても、実際には気づかないうちに見え方の質は落ちていることが少なくありません。

さらに、手術のタイミングが遅れるほど、水晶体が硬くなり、術後の炎症リスクが高まるなど、回復にも影響が出てきます。

また、白内障の点眼薬で経過を見ている方もいらっしゃいますが、白内障そのものが目薬で改善することはありません。
白内障は、あくまで手術によってのみ治療できる疾患です。

ある程度の年齢になった段階で、手術を行っている専門医にしっかりと診てもらうこと。それが、適切なタイミングを見極めるうえで最も確実な方法だと考えています。

JR・小田急町田駅から徒歩2分

Q. 多焦点レンズについて、お考えを教えてください

中原:多焦点レンズの存在をあえて説明しない医師もいますが、それは患者さんの「選択する機会」を奪ってしまうことにつながると考えています。

白内障手術は、裸眼での見え方を再設計できる、いわば一度きりの機会です。その時に選択肢を提示しないということは、本来得られたかもしれない見え方の可能性を閉じてしまうことにもなります。

もちろん、すべての方に多焦点レンズが適しているわけではありません。
日常的にメガネを使うことに抵抗がない方や、見たい距離が明確に決まっている方には、単焦点レンズの方が適している場合もあります。

大切なのはレンズの種類そのものではなく、その方の生活にとって最適な「見え方」を一緒に考えることです。

当院では、術前に実際の生活距離を測定しながら、患者さんと対話を重ねてレンズを選択していきます。手術を終えたときに、「自分で選んだ見え方を手に入れた」と感じていただけることを何より大切にしています。

Q. 術後のフォロー体制について教えてください

当院では、エキシマレーザーを備えています。
白内障手術後にわずかな度数のずれが生じた場合でも、追加の処置によって細かな誤差を修正することが可能です。

使用しているのは、厚生労働省の認可を受けたアルコン社の「WaveLight EX500」という機器で、現在国内で認可されている中でも新しい世代のレーザーです。

日本国内でメーカーによる正規の保守点検体制が維持されている施設は限られており、全国でもごくわずかです。(2025年1月時点で国内6施設のみ)
当院はその条件を満たしており、常に万全の状態で運用しています。

こうしたリカバリー手段と環境があるからこそ、多焦点レンズの手術も安心して提供できると考えています。

また、他院で手術を受けたものの、見え方に納得がいかず来院される方も少なくありません。レンズの選択、手術技術、事前説明など、背景にある理由はさまざまですが、どのケースであっても最後まで向き合うことが医療機関の責任だと思っています。

99人がうまくいったとしても、1人を取りこぼしてはいけない。
その1人に対してもきちんと結果を出し切る覚悟を持ち続けること。
それが、私の医療に対する信念になっています。

中原眼科_エントランス

Q. 読者にメッセージをお願いします

中原:白内障手術は、適切に行われれば非常に満足度の高い治療です。
ただし、その結果には医療機関や執刀医ごとの差が確実に存在します。

最近は、インターネットで多くの情報を集めてから来院される方が増えています。事前に知識を持つこと自体はとても大切です。

ただ、情報が多すぎることで不安だけが大きくなってしまうこともあります。

最終的にあなたの目を治すのは、ネット上の情報ではなく「目の前にいる医師」です。だからこそ、一度実際に足を運び、直接話を聞いてみてほしいと思います。

自分のために良い医師を探す。
その時間と手間を惜しまないことが、納得できる治療への一番の近道になるはずです。

中原眼科
院長 中原 将光

■編集後記

取材を通じて、ずっと注視していたことがありました。
「一流の外科医とは、何が違うのか」

その答えが「オーラ」だと気づいたのは、取材の終盤でした。
これは抽象的な雰囲気の話ではありません。

白内障手術の技術を語るときの鋭さと、患者さんとの向き合い方を語るときの温か笑顔。
専門的であり、ときにユーモアをもってこちらを笑顔にしてくれる。
厳格でありながら柔軟で、相手の状態に合わせて自在にアジャストする。

そうした両極を取ることを、中原先生は自由自在に行き来していました。

経験した手術数が多いことは、当たり前。
100人中100人の患者さんに満足してもらうことに妥協しないのも、当たり前。

そうした表面的なことを超越した、真のプロフェッショナルとしての外科医の姿が、そこにはありました。

数々の認定証、受賞証


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