公務員からアメリカ、MBAから起業への道:遠回りの途中で、問いだけが残った
もし今、仕事のことで少し立ち止まっている人がいたら。
答えを渡すことはできないけれど、「考え続けている人間の一例」として、
少しだけ話してみたい。
まず最初に、まだ自分の輪郭がまだ定まっていなかった時期の話しから。
この時の苦しさを次の記事に書いた。水の中で溺れているような感覚だった。
社会人として最初に就いた、大阪市庁の教育委員会での仕事の日々は、あまりに静かすぎた。
ルールは明確で、仕事は滞りなく回る。
だからこそ、「自分がここにいる意味」が見えにくかった。
努力が足りないのかもしれない。
そう思って、工夫もしたし、真剣にも取り組んだ。
それでも、どうしても心が動かなかった。
ある日、派遣英語教師として来ていたアメリカ人の女性に
ふと弱音をこぼした。
彼女は笑って、軽やかに言った。
"Why don't you quit?"(辞めちゃえば?)
その瞬間、視界が開けた。
公務員なんか辞めてもいい、という発想自体が、
当時の私にはなかったから。
そこからの選択。
ニューヨーク大学MBA、シリコンバレー、コンサルティング、ニューヨーク。
こう書くと、一直線のキャリアのように見えるけれど、
実際は「正解を探して右往左往していた」だけだと思う。
90年代のシリコンバレーは、
今みたいに洗練された場所ではなかった。
山とハイウェイ、広い空。
野心と孤独が、同じ空気の中に漂っていた。
仕事は厳しく、日本での経験はほとんど役に立たない。
毎日、負け続けている感覚だった。
それでも、考えることだけはやめなかった。
安心なんて、どこにもない
その後、ニューヨーク本社に転勤。
2001年9月、出勤直後に耳をつんざく爆音。
ワールドトレードセンターへのテロ攻撃だった。
私はすぐ隣のファイナンシャルセンターで働いていたので、 ビルの外へ出ると、IMAX並みの光景が広がっていた。
黒煙、舞い落ちる紙片、そしてビルが崩れ落ちる衝撃。
「ここに永遠の安心なんてない」
そう体で理解した。
起業は、答えではなかった
その後、起業を考え始めた。
といっても、「志」や「ビジョン」があったわけではない。
当時は幼児の娘の育児中で、 肌が弱い娘にオーガニックコットンのベビー服を選びながら、 「もっと可愛いデザインがあったらいいのに」 と思ったのが出発点だった。違和感は、小さな問いとして残った。
オーガニックコットンで有名なエジプトに生地を買い付けに行き、 縫製工場を探した。 そしてカラフルなオーガニックコットンのベビー服ブランド 「スクーン」(Sckoon) を立ち上げた。
昼はコンサルティング会社、 夜は自宅でデザイン・発送作業。 深夜2時まで働き、6時には出勤する日々が続いた。エコブームの追い風もあり、 売り上げは右肩上がりに増えていった。
もうどうしてもこれ以上、両立はできないというところで、 会社を辞め、自分の事業に専業した。

問いは、続いていく
月経カップに出会ったのも、同じ流れの中だった。
アフリカの寄付の現場で知った
「生理用品がないことで、学校に行けない女の子たち」。
なぜこんな差があるのか。
なぜ語られてこなかったのか。
なぜ選択肢がこんなに少ないのか。
スクーンカップ 月経カップは、
答えとして生まれたのではない。
問いを抱え続けるための形だった。
こうして「スクーンカップ」の新しい旅が始まった。
⸻
アメリカで製造。今や世界36か国で販売。 日本で認可された最初の月経カップとして成長した。
当初は「日本では無理だ」と言われながら、 月経カップは、 今では国内だけでも30数社が参入するほどになった。
フェミニン+テクノロジーの造語である「フェムテック」という言葉も、 今や流行語だけやなく、 私たち一人一人に浸透し始めている。
ここまで書いてきたのは、 いわゆる成功ストーリーに見えるかもしれない。起業して、 ブランドを育てて、 世界36か国で販売。
数字で見たら、そうなる。
けれども、 私が本当に大事にしてきたのは、
成功ではなく、 問い続けてきたことだと思う。
このままでいいのか? 本当にやりたいことは何?
誰のために、何をするのか?
その問いが、 道を開いてきた。
私は今も、正解を出せているわけではないし、
完成したとも思っていない。
ただ、考え続ける姿勢だけは、手放さずにいたいと思っている。
これから、の姿勢
今、書く人として生きていきたいと思ってる。
情報を与えるより、 一緒に考え続ける人。
答えより、 問いを大切にする人。
スクーンカップは、 私が選んだ道だった。
けれども、 これから書いていく言葉は、
私が選ばれる道になるかもしれない。
もし今、
キャリアが揺れている人がいたら。
うまく言語化できない違和感を抱えているなら。
それは、失敗ではない。
次の肩書きの前兆でもない。
ただ、問いが生きている、というだけの話だ。
道は、まだ途中。
そして多分、これからも。
Life goes on.
⸻
気負いとあとがき(11.03.2023)
何か新しいことを始めたとき、 人は少々気負ってしまうことがある。
この記事を書き始めた時は、 自分もそんな風だった。1年半ほど経って読み返してみると、 ずいぶん肩に力が入っていると感じる。
本人にしてみれば、 起業や就職、出産など、
ちょっと大きなイベントには自ずと力が入ってしまうもので、
そこを過ぎると、ちょっと身体がラクになる。
そんな大したものではないことがわかってくる。
そんな風にしながら結構ダマシダマシ、 なんとかやっていくのもいいかもしれない。
⸻
これからも、問い続ける。
それが、私の仕事や(と、最後にここで大阪弁)。

https://amzn.to/3ISxbPB
=======================
以下の3冊を先月出版。レビューで応援していただけると嬉しいです。
Kindle読み放題サブスクされてる方は無料。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートは株式会社スクーンジャパンおよび米国スクーン社が乳がんのNPO団体(LBBC)に寄付する資金に利用させていただきます。