地獄からあなたへ
先天性に性格が良くて明るい奴のことを心底憎んでいるし、妬んでいる。僕は先天的にも後天的にも性格が悪くて暗い奴でしかないので、そういう人間とは相容れないことを21年間の人生で学習済みである。僕が中学、高校という人間のアイデンティティをほとんど形成する地獄で学んだことは、なにをどうしても「彼ら」には勝てないということと、生まれてきた時点で「僕ら」は負けているということと、そういうことは誰も教えてくれないし、誰でも分かっているということだけだった。
僕は生まれてきてからずっと、地獄にいる。地獄で生まれて、地獄で育って、地獄で死ぬ。地獄からこの文章を書いて、これまた地獄にいるあなたに叫んでいる。僕の勝手な解釈というか、希望的観測によると、おそらくあなたも同じ地獄にいる。同じ地獄で生まれて、同じ地獄で育って、同じ地獄で死ぬ。同じ地獄でこの文章を読んでいる。よく人それぞれ地獄があるとかいうけれど、そんなに地獄があってたまるかと思う。少なくとも「彼ら」には地獄なんてあるはずがないし、「僕ら」の地獄だってほとんど似たようなもので、あまりに広くて大きい地獄のなかに僕らは点々と存在しているだけだ。
地獄に生まれなかった友達が、いい会社に就職して幸せな人生を順調に歩む。医学部で勉強をして、人々を長生きさせてたくさんお金をもらう。大学院で有意義な研究をして、海外の学会で発表をする。それを恨めしく眺めながら僕は地獄で歌を歌ったり、短歌を書いたりしている。なんて面白可笑しいことだろう。ちゃんちゃらおかしいと、僕は思う。僕は笑う。僕は泣く。
ここまで何度も地獄についての愚痴を重ねてきたが、僕はもうすでに地獄で生き、死ぬことに覚悟ができている。最近ようやくその覚悟ができた。よって僕がするべきなのは、地獄で嘆くことではなく、地獄を生き抜くために必要なものを揃え、華々しく散るのみである。30歳で死ぬことを目論んでいる僕にはあまり時間が残されていないので、今日も死にたいと叫びながら地獄を走り抜けるしかない。もしも僕と同じ地獄に生まれ、抜け出し方が分からなくて苦しんでいるあなたがいるのならば、ともに地獄を歩んでいこうと手を差し伸べたい。あー、死にたい!
