【あなたに会えて幸せ】/第4章第18話「西日の憂いとひとことお礼」
それから3日後、トモキは退院した。
病院からトモキのアパートまで、私とお義母さまが付き添った。
私は、買ったばかりの車椅子。
外出は、今日で2回目。
電車・バスを乗り継ぎ、トモキのアパートに到着した頃には、太陽が西に傾きかけていた。
私は、西日が嫌い。
なんだかソワソワして切なくなる。
憂うつになる。
あからさまに言えば、
《西日を見ると、死にたくなる》
それが、変わったのは、平塚海岸だった。
トモキの胸に顔をうずめて泣いたあの日。
目覚めたら、西日になっていた。
でも、安心感に満たされていた。
だって、愛するトモキに抱かれているんだもん。
トモキのアパートの玄関は、リモコンで開ける。
大家さんに許可を取って、改造したのだった。
玄関に、紳士靴が2足と婦人靴が1足。
「あれ?」
トモキと私は、顔を見合せた。
玄関には、車椅子2台を置くスペースが無い。
私が先に上がり、車椅子をお義母さまが、
外の玄関脇に置いて、チェーン・ロックをかけてくれた。
トモキは、室内用車椅子に乗り換えて、
私は、《手をついて》ナックルウォークのように歩いて部屋に入った。
部屋に入ると、
「退院おめでとう~☺️」
クラッカーが、パン! パ、パパン!
「お父さん! 玄関に靴出しっぱなし!
展開が読めるって!
ありがとうございます🙇」
「いや~失敗失敗。
ささ。3人も席について」
「トモキ、私のお父さんお母さん」
途端に真顔になるトモキ。
「はじめまして🙇
車椅子に座ったまま、失礼します。
今回の事故、大変申し訳ありませんでした」
「そうか。
君には、ひと言言わないと、気が済まないんだ❗」
驚いて間に入るミク。
「ちょっとお父さん、辞めてよ」
「うるさい! お前は、黙ってろ!
私のひとり娘をよくも!
よくも、、、よくも、、、」
――父の大きな目から、大粒の涙がボロボロと溢れ、カサカサの頬を濡らした。父はわなわなと唇を震わせながら、トモキの肩をがしっと 掴んだ。
「よくも幸せにしてくれたな!
しかも、孫まで!
ありがとう」
「お父さん、《ひと言》ってそれ?」
「そうだ! ひと言お礼を言わないと☺️」
ホッとするミク。
「お父さん、お願いがあるの。
私に《未来》って最高の名前をくれたみたいに、今度生まれてくるこの子の名前も、お父さんが付けてね💓」
「えっ!?」
「トモキもいいよね?」
「もちろんだよ。お義父さん、お願いいたします🙇」
「ささ。
それじゃ、トモキとミクさんの退院を祝して、乾杯!」
「かんぱ~い❗」
第19話に続く
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