【あなたに会えて幸せ】/第2章第10話「もうあなた無しでは生きられない」
翌朝、空が明るくなってきた頃、私たちは眠りについた。
トモキの胸にしっかり抱かれて、幸せいっぱいだ。
いつまでも、この幸せが続きますように。
1時間くらい眠っただろうか?
トモキが、「カジュウ」と言ったので、目が覚めた。
「おはようトモキ。まだ寝てようよ。
眠いよ。果汁がどうしたの?
オレンジ・ジュース?」
「カジュウ、、、オレンジ・ジュースじゃなく」
「じゃ、グレープフルーツの果汁?
冷蔵庫にあるかなぁ?」
トモキが目を開けた。
「あれ? カジュウ、、、」
「トモキ、何か変!」
「あれ? トートバッグの荷重テストをしなくちゃ、、。あれれ?」
「トートバッグの果汁テスト?
オレンジ? グレープフルーツ?」
「いや、その果汁じゃなく、、、
あ! 夢、観てました。
トートバッグがどれくらいの重さに耐えられるか、荷重テストしてる夢」
「プッ! あはははー🎵
トモキは、面白いね🎵
凄く真面目なビジョンを語り、
夢の中でも仕事?」
「あはは。ゴメンねー!」
思わず、トモキのアゴを2回撫でた。
「トイレ行くね。30分くらいかかるけどゴメン」
「大丈夫よ」
30分?
ウン○だとしても長いわね。
謎に思いながらも、部屋に備え付けのポットでお湯を沸かし、トモキが帰ってくる頃を見計らってコーヒーを淹れた。
ベッドサイドで、ふたりでコーヒー。
飲みながら、私は尋ねた。
「毎朝?」
「そうなんだ。毎朝の摘便。もう、6年になる。
あ、コーヒー飲んでるのにゴメン、、、」
私は、静かにコーヒーをテーブルに置いた。
トモキも同じようにした。
トモキの背中に抱きついた。
トモキの胸に両手を伸ばし、囁いた。
「トモキ、怒らないで聴いてくれる?
毎朝のうんち。私がやってあげたい」
その言葉で、トモキは私の手に自分の手を重ねた。
声を圧し殺して泣いているのがわかった。
そんな会話をしているうちに、チェックアウトの時刻が近づいたので、帰り支度を始めた。
「ミク?
明日、買い物に付き合って欲しいんだ」
「ウン、いいよ🎵 何買うの?」
「明日話すよ。10時に横浜駅でいいかな?」「10時に横浜駅ね」
ホテルを出る。
「俺、行く所あるから、ここで」
私たちは、いつもの手話を交わした。
【あなたに会えて幸せ】
去って行くトモキの後ろ姿が、霞んで見えた。私の涙だった。
(トモキ、もうあなた無しでは生きられない)
第11話に続く
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