食べ物の恨み?
以前公開した記事を改稿しました。
私が小学生の頃の話だ。
子ども向けふれあい動物園で羊にエサをあげる体験をした。
私は子どもらしく?エサをあげるふりをして、羊が食べる直前で引っ込めるという意地悪をして、からかっていた。
「ほら、食べる?」
「あげないよ〜!」
そう言いながら手を上げたり下げたりして、エサを欲しがる羊を焦らしていたのである。
数回繰り返した。
すると羊は、諦めたかのように、すっと二、三歩後ろへ下がった。
「あれ?」
と思った次の瞬間、助走をつけて勢いよく頭突きをしてきた。しかも一度では終わらない。二回、三回と繰り返された記憶がある。
あの時は動物の本能のようなものを感じ、恐ろしかった。そして身をもって学んだ。
食べ物の恨みは深い。
そして意地悪は、自分に返ってくる。
立派な教訓となった。
それから何十年も経ち、長男がまだ小さかった頃、同じようにヤギにエサをあげる機会があった。
私は過去の失敗を踏まえ、「絶対に意地悪をしちゃだめだよ」と念入りに言い聞かせた。
その頃の長男は素直だったので、もちろんそんなことはしない。
……しないのだが、ヤギが怖くて、なかなか手を前へ出せない。
エサは持っている。
あげたい気持ちもある。
でも怖い。
差し出しては、近づいてくるヤギが怖くて引っ込める。
その戸惑いが、ヤギから見れば焦らされているように映ったのだろうか。
長男もまた、見事に頭突きを食らったのだ。
悪意があっても頭突き。
悪意がなくても頭突き。
ヤギは、人間の事情までは考慮してくれない。
善意でも、伝わり方を間違えれば、相手には別のものとして受け取られることがある。
そんなことまで、動物たちに教えられた気がする。
ちなみに、その時の長男の何とも言えない恐怖の表情は写真に残っている。
本人はもう覚えていないだろうが、私はときどき、その写真を見返して、「エサの恨みは親子二代にわたって受け継がれたな」と思い返している。
ただ、最近になって調べてみると、ヤギは遊びや力比べのような感覚で頭突きをすることもあるらしい。私は勝手に教訓を見いだしたけれど、あの羊やヤギが本当は何を思っていたのかは、結局わからないままである。
