奥浜名日記⑦ 『ギジギジスッパを食べた話』 さやのもゆ
久しぶりの土曜休みがやってきた。
明日の天気予報が芳しくないからーと、いうわけで、母とふたりで晴れているうちに、散歩に出かけた。
駐車場に車を置いて歩道に出ると、後ろから不意に母がこう言うのが聞こえた。
「あっ、ギジギジスッパがある!」
私には、確かにそう聞こえたのだがーいち度では確証がもてなかったからー振り返って聞き返した。
「お母さん、今なんて言ったの?」
母の答えは同じだったー「だから、ギジギジスッパだよ。」

図々しく伸び放題の、
ギジギジスッパ。
「何それ?」と、母の指さす方に正体を確かめるとー。
果たして、歩道わきの植え込みのすき間で1メートル近くも伸びている雑草の姿があった。
茎を抱くように、青々と葉っぱを茂らせた上には、赤い星形の花が、ひとすじの穂を繋げていたのだがー。
それよりも気になるのは、母が口にした「ギジギジスッパ」のつづきである。
たしか、「お母さんは、子供のときに食べたんだよね。」と、言ったのではなかったか?
さっそく聞き直してみると、「小さい頃、表で遊んでるときに、おやつ代わりに食べたんだよ。茎をとって、皮のスジを向いてから食べたんだけどね、スッパかったよ。」
雑草だから、苦いのかと思ったがー酸っぱかったとは意外だった。
「それで〝ギジギジスッパ〟っていうのかねぇ?」
私が聞くと、母は「昔からそう呼んでたけど、ホントは何だか知らないんだよ」と、苦笑した。
後で名前を調べたら、ただの「スイバ」にすぎなくてーちょっとガッカリ。
やっぱり、ギジギジスッパの方が、ずっといいと思った。

花が意外とチャーミング
