保留音のサティ
「よく頼むお寿司屋さんに電話した時の、“お待ちください”の保留音で流れてたんです」
今回の生徒さんが、曲を選んだきっかけを話してくれました。
めちゃくちゃいい出会い方。
「なんかこの曲好きだな」
と思って楽譜を探して、
今回チャレンジすることになりました。
サティの《ジュ・トゥ・ヴ》です。
でも。
これが、
思った以上に弾きにくい。
聴いてるだけだと
すごく自然で耳に馴染む曲なんですよ。
軽やかで、
おしゃれで、
ふわっと流れていく。
だから、
“なんとなく弾けそう”
に聞こえる。
でも実際に弾くと、
かなり難しい。
何が難しいかというと、
まずこの曲、
実は3声でできているんですよね。
上にメロディー。
下にベースライン。
そしてその真ん中に、
ずっとバッキング(和音の刻み)が入っている。
これを、
• メロディーは歌わせる
• ベースは流れを作る
• 真ん中は軽く刻む
と、
ちゃんと弾き分けないといけない。
しかも、
3拍子の軽やかさを保ったまま。
ここが本当に難しい。
どこか1つでも力むと、
急に重たくなる。
さらに左手は、
オクターブ移動も多い。
そして、
右手のメロディーはペダルなしだと音が途切れがちになる。
だからペダルも必要なんですが、
踏みすぎると今度は3声が濁る。
この加減も、なかなか難しい。
だから練習は、
1声部ずつ横の流れを確認するところから。
メロディーだけ、ベースだけ、内声だけ
それぞれの”歌”を把握してから合わせていく。
だから、
「音は合ってるのに、
なんか重い」
とか、
「弾けてるのに、
気持ちよく流れない」
が起きやすい曲なんです。
今回のレッスンでも、
「思ったより全然難しかったです…」
と、生徒さん苦笑い。
でも、
こういう”見た目より難しい曲”って、
大人ピアノには結構あります。
そして不思議と、
そういう曲ほどハマる。
お寿司屋さんも、
まさかそんな出会いを作るとは思ってなかっただろうな。
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