父を亡くして学んだ「食べること」の意味|専門学校入学から管理栄養士になるまで
百貨店社員を経て専門学校に入学し、病院勤務を経て管理栄養士資格を取得するまでの実体験記。
父を亡くした経験から「食べることの意味」を学び、臨床現場での葛藤や努力を乗り越えてきたリアルなストーリーです。
これから栄養士や管理栄養士を目指す方、食と健康に関心のある方にも届く内容を目指しました。
1. 専門学校での学びの日々
社会人を経て入学した専門学校では、戸惑いと新鮮さが同居していました。
10代の同級生に囲まれながら私服で授業を受ける日々は、少し場違いに感じることもありました。
けれど、白衣に袖を通し、初めて「栄養士」という肩書きに近づいた実感を覚えたとき、胸の奥が少し熱くなったのを今でも覚えています。
授業では、解剖学や栄養学など、基礎の基礎からの学び。
「人が生きるために必要な栄養素」を頭に入れる作業は決して簡単ではなく、何度もつまずきました。
それでも、調理実習や給食管理実習を通して、食事が人に届くまでの過程を学んでいくことは、以前の自分にはなかった発見の連続でした。

2. 卒業、そして病院へ
卒業後、療養型病院に就職しました。
初めての臨床現場で私を待っていたのは、想像していた以上に地道で現実的な仕事でした。
配膳・下膳、厨房での仕込みや調理員さんとの連携、大量調理のサポート…。
「栄養士=栄養指導」と思い描いていた私には、正直、ギャップもありました。
けれど、病院の食事を滞りなく届けることが、患者さんの毎日に直結していることを知り、責任の重さを肌で感じる日々でした。
その一方で、病室から食べられずに戻ってくる食器を見るたびに胸が痛みました。
「なぜ食べられないのだろう」
「どうすれば、もう一口でも食べてもらえるのだろう」
答えがわからないまま、もどかしさだけが積み重なっていきました。

3. 管理栄養士を目指して
そんな日々の中で、「もっとできることがあるのでは」と思うようになりました。
厨房業務は大切。けれどそれだけでは、患者さんの「食べられない」に寄り添うには限界がある。
その壁を越えるためには、より深い知識と臨床の視点が必要だと感じました。
そして、管理栄養士の資格を目指すことを決意しました。
ただし、試験を受けるには実務経験が3年以上必要です。
それからは、日中は病院で働き、夜や休日に少しずつ勉強を積み重ねる生活が続きました。
参考書は分厚く、覚えることは膨大。疲れて机に突っ伏してしまう夜もありました。
それでも続けられたのは、患者さんの姿が常に背中を押してくれたからだと思います。

4. 合格までの日々
試験当日は、緊張で手が震えました。問題文がなかなか頭に入らず、焦る気持ちを抑えるのに必死でした。
最後までやり切ったものの、合否が出るまでは不安で落ち着かない日々。
そして、合格通知が届いた瞬間。
ようやく胸の奥にあった重たい石が外れたような気がしました。
父に何もできなかった後悔は消えないけれど、あの日の気持ちが、ひとつの形になったのだと感じました。

5. 管理栄養士として、ここからが始まり
けれど、合格はゴールではありませんでした。
むしろそこからが、険しい道のスタートラインでした。
管理栄養士として求められるのは、知識を伝えるだけではありません。
病気を抱える患者さんに寄り添い、食事を工夫し、医師や看護師と連携しながら支えていく総合的な力。
現場に出てみて、まだまだ自分に足りないことばかりだと痛感しました。
——合格は、やっとスタート地点に立っただけ。
それでも、あの頃「なにもできなかった」と悔やんでいた自分より、少しは前に進めていると感じました。
スタート地点から10年以上経った今もなお、迷いながら、学びながら、食べることの意味を探し続けています。

おわりに
専門学校での学び、病院での経験、そして管理栄養士試験。
振り返れば、すべてが今の自分につながっています。
この記事が、これから栄養士や管理栄養士を目指す方の背中を、少しでも押せたら嬉しいです。
そして、自分自身もまた「ここからだ」と気持ちを新たにしています。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

あとに急性期病院へ転職する記事も書く予定です。
