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RJA Custom Crankbaits

はじめに

本レポートは、ハンドメイドバルサクランクベイトの世界で「知る人ぞ知る」存在として語られてきた、リチャード・エンジェル(Richard Angel)が主宰するRJA Custom Crankbaitsについて、英語圏の一次資料およびこれに準ずるオンライン資料をもとにまとめたものです。
ブランド公式サイトの現存は今回の調査では確認できず、Wayback Machineでも公式ページのアーカイブは確認できませんでした。

そのため、本レポートは断片的な出典を突き合わせて再構築した性格を強く帯びており、確度に濃淡があります。特に生年、正確な創業年、廃業ないし製作活動休止の時期については確認が取れない項目が多く、その点は各所で明記します。

なお、名称の綴りとして「Richard Angel」「Richard J. Angel」「R.J.A.」「RJA」が混在していますが、これは同一のビルダー(同一ブランド)を指すものと判断しています。(Bassmasterworthpoint.com

地域文化的背景:ノースカロライナ州とハンドメイドクランクベイト文化

RJA Custom Crankbaitsを理解する前提として、その拠点であったノースカロライナ州(North Carolina)が長らくバスフィッシングの重要な舞台であった点を押さえておく必要があります。

Kerr Lake(別名バグス・アイランド湖)、ハイ・ロック湖、シェアロン・ハリス湖などの大型リザーバー、そしてアパラチアン山系からピードモント地方にかけての多様な水系が広がっており、FLW(現Toyota Series)やBassmaster Openのレギュラー会場となってきました。

エンジェル自身も、Phoenix Bass Fishing LeagueのノースカロライナおよびPiedmont divisionにコアングラーとして継続的にエントリーしていた記録が残っています。(MLF.com

東テネシー〜オハイオリバーバレー〜ノースカロライナのアパラチアン沿いに脈々と続くバルサクランクベイト・ビルダーの系譜の出典として、何度も参照してきたOutdoor Lifeの記事や、BassmasterのBernie Schultzによる記事に登場してきた、両記事の系譜には名前は登場はしませんが、同じ地域の文化背景を持っていたことが推察されます。

創業者リチャード・エンジェルの人物像

エンジェルの生い立ちに関する一次資料は、今回の調査では見つかりませんでした。

確認できたのは、MLF(Major League Fishing)のアングラーデータベース上で、「Richard Angel — Jacksonville, NC(ジャクソンビル、ノースカロライナ州)」として登録されていた事実です。
キャリアのすべてがコアングラーとしてのエントリーとなっています。(MLF.com

コアングラーとしてのトーナメント活動

MLF公式のアングラー戦歴データベースによれば、エンジェルはFLW系(現Toyota Series、Phoenix Bass Fishing League)にコアングラーとして継続的に参戦していました。時系列で整理すると次のとおりです。

  • 2002年:Phoenix Bass Fishing League (6試合 $150獲得)

  • 2003年:Phoenix Bass Fishing League (3試合 $240獲得)
        :Toyota Series  (3試合 $4,150獲得)

  • 2004年:Toyota Series  (3試合 $250獲得)

  • 2005年:Toyota Series  (2試合 $1,000獲得)

  • 2006年:Toyota Series  (1試合)
        :Phoenix Bass Fishing League (2試合)

  • 2008年:Phoenix Bass Fishing League(2試合 $643獲得 )

  • 2011年:Phoenix Bass Fishing League (3試合 $177獲得)
    MLF.com

この戦歴で特筆すべきは、2005年6月1日にヴァージニア州とノースカロライナ州の州境にあるKerr Lakeで開催されたEverstart Series Northeast Divisionの初日です。エンジェルはブライアン・ペリーとタッグを組み、コアングラー部門でトップに立ちました。メインベイトはリザードとトップウォーターで、入ったエリアが良かったとした上で以下のように語っています。

I had an excellent day. It was one of those days where you just go out and have a blast,
(訳)「素晴らしい一日だった。ただ楽しむだけの、そんな日だった」

MLF.com

最終順位は12位、賞金$1,000を獲得しています。(MLF.com

RJA Custom Crankbaits創業の経緯と時期の推定

創業年を明示した一次資料は今回の調査では見つかりませんでしたが、エリートプロ、ダスティン・ウィルクス(Dustin Wilks)へのスポンサード状況から、2000年代後半にRJAブランドが表舞台に出てきたと推定できます。

2006年時点でBassmasterが公表したスポンサーリストには、RJAの名前はまだありませんでした。(Bassmaster

一方、ウィルクスが北カロライナSportsmanに寄稿した「Flipping your way to big April bass」記事の末尾には、ウィルクスは5回のBassmaster Classic出場者で、カルプリット、ダイワ、アウトキャストジグス、コスタデルマー、RJA Custom Crankbaits、スキーター、ヤマハ、キールシールドがスポンサーと記されています。(carolinasportsman.com

ウィルクスは計6回のClassicに出場しており、5回目のClassicに出場したのは2009年、6回目が2012年ですので、「5回のClassic出場」という表現から、この記事は2009年ないし2010年頃と推定されます。(Bassmaster

以上を総合すると、RJAブランドが「Bassmaster Elite Seriesレベルのプロにスポンサードできる規模」まで成立していたのは概ね2007〜2010年前後で、それに先立って製作活動そのものはスタートしていたと考えるのが自然です。

主要製品と設計上の特徴

確認できたRJAのラインアップは以下の通りです。
※商品詳細は、リセラーの商品説明を転記しているため、不正確な可能性があります。

Ernie(アーニー)

レングス:2 1/2インチ(約63.5mm)
ウェイト:3/8オンス(約10.6g)
潜行深度:3〜5フィート(約0.9〜1.5m)
厚み:1/2インチ(フラットサイド)
リップ:スクエアビル(基板リップ)
素材:バルサ材
アクション:ワイドウォブル

写真①】 【写真②】 【写真③】 【写真④】 【写真⑤ 

Bert(バート)

レングス:2 1/4インチ(約57.2mm)
ウェイト:3/8オンス(約10.6g)
潜行深度:3〜5フィート(約0.9〜1.5m)
厚み:3/8インチ(フラットサイド)
リップ:ラウンド(基板リップ)
素材:バルサ材
アクション:ミディアム
WEC H-Muttによく似ていると評されています。

写真①】 【写真②】 【写真③】 【写真④

Maverick(マーヴェリック)

レングス:2 3/8インチ(約60.3mm)
ウェイト:3/8オンス(約10.6g)
潜行深度:2〜4フィート(約0.6〜1.2m)
厚み:3/8インチ(フラットサイド)
リップ:スクエアビル(基板リップ)
素材:バルサ材
アクション:ミディアムウォブル

写真①

BigT(ビッグT)

レングス:3インチ(約76.2mm)
ウェイト:1/2オンス(約14.0g)
潜行深度:10〜12フィート(約3.0〜3.7m)
厚み:-
リップ:コフィンビル(基板リップ)
素材:バルサ材
アクション:タイト
WEC TAPPによく似ていると評されています。

写真①】 【写真②

Killer 2(キラー 2)

レングス:2 1/2インチ(約63.5mm)
ウェイト:3/8オンス(約10.6g)
潜行深度:3〜5フィート(約0.9〜1.5m)
厚み:-
リップ:スクエアビル(基板リップ)
素材:バルサ材
アクション:ワイドウォブル
名前の通りバグリーKiller B2がモデル。

写真①


🎣 実物を探す
▶ ebayの出品を探す(英語)
※リンク先は海外サイトです。
※アフィリエイトリンクではありません。


BBC Boardsのフォーラムでも、Jawjacker、Brian's Bees、Coulter(Clanks)と並んで、おすすめのシャロー用フラットサイドとして語られています。

RJA is another woodbait maker that makes a "bert" which is a little bigger than a mutt but similar action.
(訳)RJAもウッドベイトのメーカーの一つで、「Bert」というルアーを製造しています。これは「Mutt」よりも一回り大きいサイズですが、アクションは似ています。

bbcboards.net

Dustin Wilksとのパートナーシップ

前述のエリートプロ、ウィルクスは通算獲得賞金$555,148、Bassmaster Classic出場6回のキャリアを持ちます。(BassmasterMLF.com
1999年にプロ活動を開始し、最後のツアー活動は2012年とされ、以降はテレビ番組「Catching Bass with Dustin Wilks」のホストとしてキャリアを継続しています。(carolinacountry.com

ウィルクスは、Bassmasterの記事「Plastic or Balsa?」において、自身のクランクベイト論について以下のように語っています。

ウィルクスによると、バルサ製のクランクは、樹脂製より早く浮き上がり、水中を舞い上がろうとする性質があるので、フィネスな状況、魚が神経質になっている状況で使うと語っています。
プラスチックの方がアクションはやや遅いことやラトルの影響もあり、アグレッシブな魚に向きます。
魚の状態が攻撃的な状態では樹脂、神経質な状態ではバルサ、というのがウィルクスの基本的な選び方であるそうです。

RJAクランクベイトについて、Bassmaster誌は以下のように紹介しています。

today's balsa lures, like the RJA Custom Crankbaits he typically uses, are heavier than their predecessors, so castability has become less of an issue.
(訳)彼が普段愛用している「RJAカスタム・クランクベイト」のような現代のバルサ製ルアーは、かつてのモデルよりも重量があるため、キャスタビリティの問題は解消されています。

Bassmaster

同記事では、ラウンドビルとスクエアビルの使い分けや、ラインチョイス、リールのギヤ比についても述べています。(Bassmaster

リチャード・エンジェル その後の消息

木工愛好家のためのフォーラムコミュニティ、ランバージョックス(Lumberjocks)のハンドメイドクランクベイトスレッドで、2019年11月ある投稿者が、エンジェルのその後についてのコメントをしています。

I see he's now in Texas and selling baits on Ebay…
(訳)彼、今はテキサスにいて、eBayでルアーを売っているみたいですね……。

lumberjocks.com

この記述が事実であるかは分かりませんが、前述のworthpointのリセラーの商品説明には、「テキサス州ブラウンウッド湖周辺で数年前に一貫してよく釣れると評判で複数のトーナメント優勝に貢献した」と記述があることと併せて考えると、テキサスが活動の一部となっていたことは推察できます。(worthpoint.com
2026年8月現在 ebayにはRJAの出品はありませんでした。

エンジェル本人の現在について、今回の調査では見つかりませんでした。MLFのアングラープロファイルでは2011年を最後にトーナメントの出場はありません。(MLF.com

また、Wayback Machineで確認すると、ミシシッピ州のカスタムウッドベイト専門店「WOOD BAIT COUNTRY」のアーカイブには、2021年当時RJA Custom Crankbaitsの専用ページが確認できます。
2020年以前のアーカイブはないため、いつから商品が置かれていたのか不明ですが、ここでも「数年前、テキサス州のブラウンウッド湖周辺で・・・」と紹介されています。少なくとも2021年時点の紹介文が、既に『数年前』の実績として書かれている点は指摘できます。

まとめ

RJA Custom Crankbaitsは、ノースカロライナ州ジャクソンビルを拠点にリチャード・エンジェルが、ハンドメイドシャローバルサクランクベイトの小規模ブランドです。
テキサス州のブラウンウッド湖周辺でと評判であったとされます。(worthpoint.comwoodbaitcountry

エンジェル自身は2002〜2011年にFLWのコアングラー戦線を継続的に戦っており、2011年まで出場した記録が残っています。(MLF.com

ブランドはノースカロライナのプロアングラー、ダスティン・ウィルクスとのスポンサーシップにより2010年前後にBassmaster Elite Series層へリーチし認知を広げました。(Bassmastercarolinasportsman.com

エンジェル本人の現況、正確な創業年、廃業ないし休止の時期については、一次資料での裏付けが得られず、今回の調査では確認できませんでした。
少なくとも「1990〜2000年代ノースカロライナ発、Bassmaster Eliteレベルの実戦で使用されていたことは、複数の独立した資料で確認できます。


出典・参考(URLリンク)一覧

★★★(一次資料・公式データ・大手業界誌)

★★(釣り専門メディア・地元紙・準公式チャンネル)


★(コレクター向け二次資料・EC・SNS・フォーラム/注:本文中で二次利用扱いを明記した資料を含む)


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