離職・パワハラ・うつ予防×助け合いvol18 ~正しさという凶器〜
子どもの様子を見ていて、直したほうがいいことがあれば、私はその場で伝えてきました。
強く成長してほしい。
そのためには、できていないところを端的に教えることが大切だと思っていたからです。
ある日、いつものように名前を呼ぶと、「チッ」と舌打ちが返ってきました。
正直、ショックでした。
でも、その表情を見て、初めて気づきました。
子どもにとって私は、名前を呼ばれると何か注意される、そんな存在になっていたのかもしれません。
思えば、できていないことはよく見ていたのに、できていることには、ほとんど触れていませんでした。
遅刻ぎりぎりでも学校へ行く。
暑い日も寒い日も、野球部を辞めずに続ける。
楽しそうに部活の話をしてくれる。
毎日、お風呂に入る。
そして今日も、無事に生きて帰ってきてくれる。
本当は、それだけで十分ありがたいことでした。
正しさは、人を育てることもあります。
でも、正しさばかりでは、心を遠ざけてしまうこともあります。
それから私は、朝の見送りにハイタッチをするようになりました。
夜遅く帰ってきたときは、玄関まで迎えに行きます。
「直すこと」より先に、
「今日もいてくれて、ありがとう」を伝えるために。
凶器を、少しだけ小さくするために。
