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もずくの4月読書まとめ(2026.4)

5月6日(水)
五月雨と書くと5月の雨のようですが、これは旧暦の五月のことなので五月雨は新暦の六月の梅雨のことを指しています。でもすでにどんよりと曇った日が多いような気がして梅雨も近いのを感じています。
でも雨の日の方が私は読書はすすむ気がします。落ち着いて集中できる感じがするのです、何故だか。
さて2026年4月の読書まとめです。
4月は7冊の本を読みました。割と充実の読書生活。
今回も私の読書がみなさんの読書とどこかで繋がりますように。


★★★

1. ハンチバック(市川沙央)

読んでみて初めて何が描かれているか分かるこの装丁デザイン

本屋で買ってカフェで読んで家に持ち帰る前に読み終えてしまった。
そのくらいの集中力で文字を追って脳に吸収したという感じ。
私自身は障害者ではなく、かと言って健常者でもない曖昧なポジションで生きづらを感じながら生きてきたけれど、まあどちらかと言えばこの小説は障害者の側の気持ちに寄って読んでいた気がするので、きっとこれ読んで衝撃を受けたって人ほど障害者を知らないし重度障害者がセックスできるともまして妊娠できるとも思っていやしないだろうからそれは衝撃だろうなと思う。ただずっとそれぞれ永遠に分かり合えないんだってことがわかってしまいそのまま最後まで読み終える。
作者はきっとこの作品を通して何かを啓蒙したいわけでも障害者の不遇を伝えたいわけでもない。ある一人の障害者という生き物の日常をひたすら書き出したということだろう。たぶんね。

2. デミアン(ヘルマン・ヘッセ)

うん。多分デミアンってこんな感じ。

ヘルマン・ヘッセは全く読んだことがなくもっと若い頃、それこそ十代の頃にこの本に出会っていたら良かったなと読みながら思っていたが、いやある程度年齢を重ねて人生を達観できる位になった今だから心に沁みたのだろうなと思っている。
まるで人生を学び直したような読後感だった。たくさんの付箋を心に貼った。
好きなところを一つ挙げると
「あるものをぜひとも必要とする人が、この必要なものを見いだしたとすれば、それを彼に与えるのは偶然ではなくて、彼自身、彼自身の願望、必然が彼を導くのである。」というところ。
ただの偶然と思えることでもそれは自分の行動が引き寄せたものであってそれはもはや必然であるし、それが自分にとって都合の悪い偶然であったとしても自分が生きていくための必然だったと思えば前を向ける気がする、そんな言葉だ。ヘッセの他の作品も読んでみたいと思う。

3. 東京都同情塔(九段理江)

これ読んでる時の窓からの景色がちょどこんな感じだった。

人が永遠に捨てることの出来ないのが言葉と建築。
人は言葉を話すことで(又は書くことで)自分たちの存在を定義し堅牢な砦を建築をすることで種族を守り覇権を貫いてきた。それが歴史。
でも言葉も建築もそれを滅ぼそうと試みるのもまた人であり、昨日今日出て来たAIとやらにその創造と破壊の営みを易々と奪われるとは思えないなと思ったのがこの本の感想。
あと多様性が乱用され過ぎて平等とか公平とかがもはや息苦しさしか生まなくなった社会へのアンチテーゼなのかなこの話は、と思ったりもしたがどうなんだろう。チャッピーに聞いてみるか。

4. 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないA Lollypop or A Bullet(桜庭一樹)

かなりの積読期間を経てようやく読みました。

若い頃なら誰でもかかる思春期病の話なのかと思えば懐かしくもあるけど、割と結構残酷な物語。
実弾を込めて大人を撃っているつもりが本当はみんな砂糖菓子の弾丸で大人を撃ってる。大人は金や地位や名誉という実弾を持っているから砂糖菓子の弾丸では敵わない。大人の実弾に対抗するには実弾しかないから、わたしは実弾を手に入れたいと思うのだ。でも込めているのはやっぱり砂糖菓子。それでも手をべとべとにしながらわたしは砂糖菓子の弾丸で撃つ。ブルーハーツの「見えない自由がほしくて見えない銃を撃ちまくる」という歌詞を思い出した。
かつての私たちの中にも確かにあったリアル。まだSNSもチャットGPTもなかった頃の青春物語。

5. 何者(朝井リョウ)

朝井リョウブームが自分の中にいまさら来てる。

自分とは世代が違うし就活らしいことをしたことがない人生だったので読みきれないかと思ったがなんやかんや最後まで読み切った。そして面白かった。
拓人も光太郎も瑞月も理香も隆良もみんなが痛い。就活で共闘しているように見えて実はお互いの足を踏み合っているのがなんとも。
本音は言えない見せない、表と裏を使い分けているのはSNSがなかった時代も今も同じで実は大して変わらない。だけど「手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、本当に伝えたいことを伝えられなくなって」いるのだろう。その分痛みは増し傷は抉られる。結局みんな「何者」にもなれない。朝井リョウに鳩尾を殴られたみたいで結構痛いしちょっと苦しい。

6. 木曜日にはココアを(青山美智子)

いやいや、読んでからこの表紙見るとすごく楽しいのよ。あ、いる!みたいな。

いつも心がズキズキするような本ばかり読んでる私にとってはオアシスのような作品だった。
人の人生ってがっつりじゃなくてもどこかで誰かと繋がってたりダブっていたりする。それも目に見えないところでひっそりとそうなっていて気づかないうちに誰かに救われたり救ったりしてるのかも、なんて思いながら読んだ。
そうだとすると人が生きる意味ってきっとあるなあって肯定出来るし前を向ける。1秒先のココアさんとマコが幸せであること、願わなくてももうなんだかわかる気がする読後感。とてもいい。

7. 桜桃(太宰治)

角川の280円文庫というのですね。軽いので鞄に入れといて隙間で読めるのいい。

《ヴィヨンの妻》
どうしようもないダメ男の話。酒と女にだらしがなくて飲み屋の飲み代を踏み倒していつまでも払わない。そんなダメ男なのに何故だか誰もがとことんまでは追い詰めず寧ろ居場所を与えて飼い慣らしているような世界。優しいと言えば優しい。今の世の中より余程寛容。
それにしてもなんだかんだでいちばん明るいのはダメンズウォーカー妻さっちゃん。いるねこういう人。あんな奴別れなよって周りがいくら言ってもずっとくっついているの。愛なのかな、それってやっぱり。
《秋風記》
文章が美しくてつい何度も読み返してしまう小さな作品。
私とK。生まれて来なければよかったと思っている二人。この世の生と死の曖昧に漂う二人の濃密な時。そして静謐。美しい共依存関係とでも言おうか。恋人でも親友でもない深い絆。
なぜか芸者さんも入ってちっとも役に立たないもの遊びをするところは好き。
「どうしても死ななければならぬわけがあるのなら、打ち明けておくれ、私には、何もできないだろうけれど、二人で語ろう」と話すK。Kと私はこれからもこうして生きていくのだろう。
《皮膚と心》
ああ、なんかわかる。吹き出物ができただけで惨めだもの。私なんか小さい頃から傷に弱くてちょっと擦りむいただけで自分を蔑んで、もう死ぬ死ぬって思っていたから。そのくせ傷を作ると誰かが労ってくれるのは嫌いじゃなかったり。
最後のページ、夫に連れて来られた診療室で医者が私に「すぐ、なおりますよ、注射しましょう。」って言う。
なんだあんなに苦しんでいたのに、「なおっちゃった」みたいな終わりがちょっと可愛くて救われる。
《桜桃》
太宰治という作家の私生活を少しだけ垣間見せて
くれたような。「太宰治」という作家の苦しみ。道化を装って生きることの辛さ。子供達に圧倒される、体力奪われる。なんか太宰さんじゃなくてもあるあるな感じもして、なんか沁みる。

★4月のまとめ

今月の読了は7冊。
結構分厚い本もあったのに我ながらよく読んだと積み上げた本を見て思う。そう思うと桜を見ながら太宰治を読んでいたのが随分と昔のようです。
もうGWも終わりです。さあ、明日からまた電車で本を読もう。





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