動いていないレリーフから動きを感じるために
時間軸としては、前の記事の少し前なのですが、南インドのマハーバリプラムにある、世界最大級のレリーフと言われる「アルジュナの苦行」(または「ガンガーの降下」)を見ていました。大半の南インド旅行記で言及される、有名なスポット。

作られたのは何と7世紀頃、1300年以上前。時が経ちすぎて、一体何を表したレリーフなのか「諸説あります」状態らしいのですが、何にせよ、中央に昔は滝のように水を流していたと思しき窪み、そこに蛇身の神が彫られ、中央向かって左やや上に、片足立ちで手を挙げ続ける苦行をする苦行者、その周囲を神や半神、動物たちが取り巻くモチーフです。
と言いつつ、私はこういう彫刻やレリーフへの感受性が低いのか、見ても正直イマイチわからんなと思ってたんですよね。
そうしたらガイドの方が、「周囲にいる動物と半神は踊っているところだ」と説明してくれまして……。

……。
あれこれなんか見覚えあるな。
そうだ、あれだ、そんなにたくさん観た訳じゃないから完全に雰囲気発言だけど、インドムービーの宣材ショットだ。唐突に始まる歌と踊り!「ラジュー出世する」の懐かしい宣伝文句! RRRは観てないから知らんけどきっとこんな感じ!
そうかー、7世紀には映画なかったもんな。ストーリーのいいとこでみんなが盛り上がって歌って踊ってるシーンを表現しようと思ったら、こういう形になるよな!
そう気づいた瞬間に、このレリーフの周囲に賑やかなインド音楽が脳内再生され、見事に揃った手振りで踊り狂うダンサーが、音の切れ目でピタッと静止してこっちにキメ顔を見せてるのが、感じられたのでした。
インドって本当に賑やかで躍動感!て感じの空気に満ちているのですが、動かないものでいかにその動きを表現するかというハードルと、ずっと向かい合ってきた芸術文化なんだなぁ……と勝手に納得した次第です。
おまけ。

このレリーフの感想を書いている人の大半が言及する、苦行者に感動して自分も苦行ポーズを取ってしまったという猫。猫の人気は世界共通。
