002|「看護師以外で稼ぐなんて無理」と諦めていた私が、最初の一歩で『59,948円』を稼いだ話。

「看護師を辞めたら、私には何が残るんだろう?」

退職届を出す直前、
私は毎晩のようにそんな不安に襲われていました。


国家資格という「守り」があり、
少ないながらも
毎月決まった日に振り込まれる安定した給料。

それを手放すことは、
荒波の中に裸で飛び込むような恐怖でした。


「私には看護師の経験しかない。
 外の世界では、
 何の役にも立たないんじゃないか……」

そう思い込んでいた私が、
個人事業主として独立して最初の一歩を踏み出し、
初めて手にした小さな報酬。

それは、看護師時代の月給とは
比べものにならないほど小さな、
でも私の人生を180度変える
「59,948円」
という数字でした。




私が「安定」を捨てた本当の理由


訪問看護の現場では、
どんなに難しい状況でも冷静に、
的確に処置ができる「プロ」でいられました。

けれど、子どもを保育園に迎えに行った瞬間から
発達障害を抱え、激しい癇癪(かんしゃく)を繰り返す
我が子と向き合う時間がスタートします。

「仕事では誰かの助けになれるのに、
 どうして自分の子どもの
 一番の理解者でいてあげられないんだろう」

夜中に響くオンコールの音と、
子供の泣き声。

その狭間で、
私の心はボロボロに擦り切れていました。


転機となったのは、
3歳になった下の子の
小学校入学を見据えたときのことです。

生後4ヶ月から預け、
親子で必死にしがみついてきた保育園。

そこを去り、
今の自分たちに本当に必要な環境を
一から作り直そう。

それは決して、
今の生活からの「逃げ」ではありませんでした。


「組織の都合に家族を合わせるのではなく、
 家族の幸せに働き方を合わせる」


私にとって退職は、
最愛の我が子の伴走者として生きるための、
攻めの決断だったのです。


「プライド」を捨てて、未経験の世界へ

退職した私は、
あえて失業保険をもらいませんでした。

どこかで「負けた気がする」という
意地があったのかもしれません。

とにかくがむしゃらに、
自分の力で1円でも稼ぐことを目指しました。

退職金としていただいた約40万円。
これを生活費に回すのではなく、
「これからの仕事のための投資」と決め、
まずは新しいパソコンを買いました。


選んだのは、看護師とは全く関係のない
「オンラインのカスタマーサポート」という仕事。

子どもの癇癪に寄り添い、
小学校への準備を見越した
環境作りを優先したかった私にとって、
「完全在宅・時間制限なし」という条件は
何よりも優先すべきものでした。

でも、現実はそれほど、甘くはありませんでした。


画面の前で冷や汗をかいた日々


病院の中では「ベテラン」として
テキパキ動けていたのに、
PCの前ではただの初心者。

チャットツールの使い方も、
ビジネスメールの作法も、
右も左もわからない。

画面の向こう側にいる相手に、
何度も間違いを謝り、
冷や汗をかきながらキーボードを叩く日々。

「あんなに命の現場で戦ってきたのに、
 メール一通送るのにこんなに時間がかかるなんて」


情けなくて、
何度も心が折れそうになりました。

でも、そのたびに
「子どものために、今の環境を変えるんだ」
という願いが
私を繋ぎ止めてくれました。


運命を変えた、初めての報酬の受け取り


業務をスタートしてから約二か月後。
個人事業主として初めての報酬日。

銀行口座に記帳された数字を見て、
私は震えました。

「59,948円」


看護師時代の給料と比べれば、
わずか数日分の夜勤手当にも
満たない金額かもしれません。

でも、その5万9千円には、
今までの人生で感じたことのない
「重み」がありました。

誰かに守られた「当たり前の給料」ではない。
病院という組織の看板を借りたお金でもない。

自分の手で、ゼロから、
一歩一歩積み上げて獲得した、
正真正銘「私自身の力」で稼いだお金。

この端数のついた生々しい数字を見た瞬間、
私の中にあった
「看護師以外で稼ぐなんて無理」という呪縛が、
パラパラと崩れ落ちていくのがわかりました。


「あ、私、看護師じゃなくても生きていけるんだ。」

それは、私が本当の意味で
「自由」への切符を手にした瞬間でした。


あなたも「小さな階段」からでいい


もし今、あなたが
「独立したいけれど、スキルがない」
と悩んでいるなら、
伝えたいことがあります。

最初から大きな事業を立ち上げる必要も、
完璧な準備をする必要もありません。

大切なのは、自分の職業の看板を一度置いて、
「自分の力で1円を稼ぐ」
という成功体験を
自分にプレゼントしてあげることです。

私が法人化して「社長」になれたのは、
この59,948円という小さな階段を登ったからです。

もちろん、この少額で生活していくのは不安ですよね。
実は、私がこの「たった5万円の報酬」で
「これはいける!」と確信できたのには、
もう一つ「お金の安全装置」があったからです。

次回は、私が独立する勇気を持てた最大の要因――。

看護師を辞める5年前から
コツコツと積み上げてきた
「投資信託」についてお話しします。



この連載のバックナンバーはこちらのマガジンにまとめています。



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