南関競馬数字研究レポート 第2回 1番人気切りの効果は?大井で回収率5倍、川崎ではなんと7倍に。回収率UPの謎に迫る。
4月7日から5月29日まで、南関ダート467レースを検証した。
第1回から、サンプルを288レース追加した拡大版である。
そして、前回の結論が覆った。
第1回で「全会場で最強」と見えていた「2番人気を軸にした馬連」のパターンが、467レースに拡大すると会場ごとに完全に分岐した。浦和は3番人気、川崎は2番人気、大井は3番人気、船橋は4番人気。会場が変われば、勝つ人気も変わる。
データサイエンスの世界では、サンプル数が増えると見え方が変わるのは珍しくない。本研究では、その変化が「会場別の運用」という実用的な結論に直結した。
第2回レポートでは、この発見を中心に、467レースが示した南関ダートの「会場別の壁」を報告する。
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検証スコープと方法
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検証期間は4月7日から5月29日まで、計54日間。対象は南関4場(大井・浦和・川崎・船橋)のダート競走で、開催された全レースから467レースを集計した。
集計項目は次の通り。
◾ 馬連配当の平均値
◾ 各種人気組合せの的中率と回収率
◾ 会場別・人気軸別のパターン抽出
本研究の最大の特徴は、検証ロジックにある。各パターンは「該当会場の全レースで、毎回機械的に同じ買い方を続ける」という前提で計算した。外れても買い続け、的中レースで配当を受け取る。長期で投資合計と回収合計を集計し、回収率を算出する。
具体例で示そう。「川崎・馬連2番人気と6番人気の1点買い、回収率238.0%」というパターンは、川崎の検証対象108レースの全レースで、2番人気と6番人気の馬連を毎回1点ずつ買い続けた結果である。投資合計10,800円(108レース×100円)に対し、的中したのは10レース、回収合計25,700円となり、回収率238.0%(純利益+14,900円)が成立した。
つまり本研究で示すパターンは、「的中時だけ買う後出し戦略」ではなく、「外れても機械的に買い続けて、長期で回収率がプラスになる組合せ」を抽出している。
回収率は「投資金額に対する回収金額の割合」を指す。100%なら投資と回収が等しく、それを超えれば利益が出る計算になる。地方競馬の控除率は約25%のため、無作為に買い続けると回収率は理論的に75%に収束する。「75%の壁」を超えるパターンを見つけることが、本研究の核心だ。
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1番人気切りの効果は会場別に大きく異なる
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第1回レポートで報告した「1番人気絡みの馬連は平均1,237円、絡まない馬連は6,033円、その差4.88倍」という構造は、467レースの検証でも基本的に維持された。
ただし、会場ごとに分解すると、効きの強さが大きく異なる事実が明らかになった。まず全体平均から始め、4会場の数字を順に見ていく。
◾ 全体平均
1番人気絡みの馬連 平均1,196円
1番人気が絡まない馬連 平均6,098円
単純に割ると、約5.1倍の歪み
◾ 浦和競馬
1番人気絡みの馬連 平均1,296円
1番人気が絡まない馬連 平均6,528円
単純に割ると、約5.0倍の歪み
◾ 川崎競馬
1番人気絡みの馬連 平均885円
1番人気が絡まない馬連 平均6,190円
単純に割ると、約7倍の歪み
◾ 大井競馬
1番人気絡みの馬連 平均1,223円
1番人気が絡まない馬連 平均6,562円
単純に割ると、約5.4倍の歪み
◾ 船橋競馬
1番人気絡みの馬連 平均1,446円
1番人気が絡まない馬連 平均3,526円
単純に割ると、約2.4倍の歪み
(ただしサンプル数の偏りもあり、参考値として捉えたい)
数字が示すのは、「1番人気を相手から外す勇気」が最も効くのは川崎、最も効きにくいのは船橋という事実だ。船橋では1番人気絡みでも比較的高配当が出る傾向があり、逆に1番人気が絡まなくても極端な高配当にはなりにくい。
第1回の結論「1番人気は買い目から外す価値がある」は依然として正しいが、その効果は会場によって2倍以上の差があることが見えてきた。
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会場別の最強軸。前回の結論が覆った
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第1回レポート(179レース)では、「2番人気を軸にして8番人気・11番人気に流す」というパターンが、全会場を通じて最も高い回収率を示していた。
467レースに拡大した本研究では、この結論が完全に覆った。会場ごとに「最強の軸となる人気順位」が異なることが判明したのである。
以下に挙げる各会場のパターンは、すべて「該当会場の全レースで、毎回機械的に同じ買い方を続けた」結果である。外れたレースも含めて投資し、的中時の配当合計で回収率が成立している。
浦和競馬。3番人気の軸が中心
浦和では、3番人気の馬を軸にしたパターンが圧倒的に強かった。最も回収率の高かった代表例は次の通りである。
◾ 3番人気の馬を軸にして、8番人気・11番人気に流す(馬連2点)
回収率178.2%
このパターンに限らず、3番人気の馬を軸にして中位人気(5番人気〜11番人気)の塊に流す組合せは、全体として高い回収率を示した。「中位人気の塊に流す」が浦和の回収の核と言える。
注目すべきは、これらのパターンが1番人気を相手から外している点である。第1回で指摘した「1番人気切りの勇気」が、浦和では3番人気軸という具体的な戦術と結びついて機能している。
川崎競馬。2番人気の軸が中心、そして驚くべき1点パターン
川崎では、2番人気の馬を軸にしたパターンが強かった。最も回収率の高かった代表例は次の通りである。
◾ 2番人気の馬を軸にして、5番人気・6番人気に流す(馬連2点)
回収率175.4%
加えて川崎では、特筆すべき1点買いパターンが発見された。
◾ 2番人気と6番人気の馬連、たった1点だけ
回収率238.0% 的中10レース 平均配当2,570円
10レースという的中数は決して大きくないが、108レース毎回1点ずつ買い続けて回収率238%は極めて強い数字である。川崎の「2番人気と6番人気で決着しやすい」という構造が、データに表れている可能性がある。
大井競馬。3番人気の軸、的中数が安定
大井では、3番人気軸のパターンが安定した的中数で機能していた。最も回収率の高かった代表例は次の通りである。
◾ 3番人気の馬を軸にして、4番人気・12番人気に流す(馬連2点)
回収率158.6%
加えて大井では、的中数が17〜18レースに達する3点流しパターンが、回収率128〜132%を維持していた。これは「偶然の高回収率」ではなく、構造として機能している可能性が高い。本研究では最も再現性が高い会場と言える。
船橋競馬。4番人気の軸
船橋では、軸の人気順位が他会場より一段下がる傾向が出た。
◾ 4番人気の馬を軸にして、2番人気・9番人気に流す(馬連2点)
回収率147.2%
的中数は他会場より少ないが、「4番人気を軸にする」という選択肢が見えてきたことは、戦術上の意味が大きい。
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再現性の高い堅実パターン
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的中数が20レース前後を超える、再現性の高いパターンを抽出した。これらは「偶然の高回収率」ではなく、構造として機能している可能性が高い。
◾ 全体・馬連3番人気と4番人気の1点買い
的中20レース 回収率109.1%
◾ 浦和・馬連1番人気と3番人気の1点買い
的中20レース 回収率104.5%
◾ 大井・3番人気軸から2番人気・4番人気・12番人気への馬連3点流し
的中18レース 回収率128.3%
◾ 大井・4番人気軸から2番人気・3番人気・10番人気への馬連3点流し
的中17レース 回収率132.5%
◾ 川崎・馬連2番人気と6番人気の1点買い
的中10レース 回収率238.0%
(的中数はやや少ないが、平均配当2,570円という事実は重い)
的中数が大きくなるほど回収率は100%前後に収束しやすいが、上記の大井3点流しパターンは18〜17レースの的中で130%前後を維持している。再現性と利益率の両立という観点で、最も実用的なパターン群である。
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「15倍の壁」と会場別軸の関係
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ここで、ダート王 砂城の覇者ver.が「絶対ルール」として掲げている「15倍の掟」を、本研究のデータに重ねてみたい。
「15倍の掟」とは、馬連オッズが15倍未満の組合せは、たとえ本命でも見送るというルールである。地方競馬の控除率約25%を踏まえると、低オッズの的中は的中率と配当の積が控除率を下回りやすく、長期的に資産が削られる構造があるためだ。
本研究で発見した会場別最強軸のパターンを、配当の観点から見直すと、興味深い事実が浮かび上がる。
◾ 川崎・2番人気と6番人気の馬連
平均配当2,570円。これは倍率に直すと25.7倍。
15倍を大きく超える組合せだからこそ、回収率238.0%が成立した
◾ 浦和・3番人気の馬を軸にして8番人気・11番人気に流す
組合せはすべて中位〜下位人気同士のため、平均配当は数千円規模
15倍の壁を超える組合せが中心となっている
つまり、本研究で発見した「会場別最強軸」のパターンは、結果として「15倍の壁を超える組合せ」を選ぶことになる構造を持っている。会場別の人気構造を読み解くことが、「15倍の壁」を実践的に守る具体的な手法と一致したのである。
「会場別の人気構造を理解する」「15倍未満は買わない」。この二つは、別々の発見ではなく、同じ事象を別の角度から見た結論だった可能性がある。
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結び。第3回と完全版へ
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467レースの検証で見えた「会場別の壁」は、第1回(179レース)で示した「人気の壁」を、より精密に分解した結果である。
南関4場で「最強の軸となる人気順位」が異なる事実、そして1番人気切りの効果が会場によって2倍以上違う事実。これらは、南関ダートを単一の市場として見るのではなく、4つの異なる市場の集合として捉え直す必要性を示している。
本研究は今後、次のスケジュールで深化させていく。
◾ 第3回レポート 6月14日(日)公開予定
500レース達成版 完全版告知
◾ 完全版(有料NOTE 980円) 6月21日(土)公開予定
500レース達成 会場別×月別×距離別×オッズ帯別の完全分析
第3回では、本研究の「会場別」軸に「距離別」「月別」を加えた多軸分析を予定している。完全版では、それらの軸に「オッズ帯別」を加えた、南関ダート市場の完全マップを提示する。
砂の上に刻まれた数字は嘘をつかない。
467レースの検証は、その第二章である。
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