【 レビュー 】 持ち運べるウェーブテーブル・シンセ + 4tr ルーパー ▶︎ SONICWARE ELZ_1 play V2
日本の電子楽器メーカーSONICWARE(ソニックウェア)が2025年10月24日に
ポータブル・シンセサイザー + ルーパー
ELZ_1 play ( エルザ ワン プレイ )
version 2 ファームウェア
をリリースしました。
今回のアップデートには筆者も微力ながら参加させていただき、公式プリセット2種とwavetable1種が収録されています。
NicaFeltさん、素敵なプリセットをありがとうございました!🙏🙏 https://t.co/VpdnhJAvfG
— Yu Endo@SONICWARE/遠藤祐 (@yu_endo) October 26, 2025
この記事では、ELZ_1 play V2 の機能や魅力についてご紹介していきます。
内容は筆者の主観によるものですので、あらかじめご了承ください。
ワルツのリズムでジャムセッションしてみました。
▼ 4トラックルーパー+シーケンサーを活用した解説記事はこちら
【 目次 】
・ELZ_1 play の概要
・ELZ_1 play V2 の魅力
・筆者のプリセット
・ELZ_1 が生まれた背景
・開封の様子
【 ELZ_1 play の概要 】

ELZ_1 play は、2019年3月にSONICWAREが発売したコンパクト・シンセサイザー「ELZ_1」の後継機です。
開発は同社CEO・遠藤 祐 氏の個人的プロジェクト「Dr's Journey」の第一弾として、2023年に行われ(同年12月出荷)、ELZ_1をアップグレードする形で生まれました。
なお「ELZ_1」の名前の由来は、Digilandの遠藤氏へのインタビューで次のように語られています。
「ELZ_1」は「クイーンエリザベス号(有名なクルーズ客船)」にちなんでいます。開発中ずっと「エリザベス」と呼んでいたせいか、それがすっかり気に入っちゃって最終的に製品名も「ELZ_1」になりました。
【 ELZ_1 play V2 の魅力 】
ELZ_1 play V2には非常に多くの機能が搭載されています。そのため、
制作するジャンルや
使い手の発想によって、
まったく異なる表現ができる
シンセサイザーです。
機能の詳細についてはSONICWARE公式サイトを見ていただくとして、ここでは筆者がとくに魅力的に思う点をご紹介します。
▶︎ 18種類のシンセエンジン
・wavetable、物理モデル、グラニュラー・シンセシス、FM、ドラムマシンなど独自のシンセエンジンを含む18種類のシンセエンジンを搭載し、最大3つのオシレーターをレイヤー可能。

各レイヤーごとにPITCH/DETUNE/LEVEL(音量)/
DELAY(エフェクトではなく音が鳴り始めるまでの遅延)を設定可能
・Waldorf社の伝説のPPGとMicrowaveから厳選された16種類のウェーブテーブルを内蔵。

▶︎ ウェーブテーブル・インポート
Xfer Records社「Serum」のウェーブテーブル・ファイルのインポートにも対応。自分で作成したウェーブテーブルを使用可能。(SDカードからインポート)これは音作りにおいて非常に魅力的な点です。(機材を長く使い続けることができます)

▶︎ 最大同時発音数20
※シンセエンジンにより異なる
▶︎ 計48種類のエフェクト
・DRIVE/MOD、MODULATION、DELAY/REVERB、REVERB/MASTERの4つを同時使用可。
例:各1種ずつ計4つのエフェクトを同時使用可
・DRIVE/MOD → Rack Comp
・MODULATION → Stereo Chorus
・DELAY/REVERB → Grain FX
・REVERB/MASTER → Ambient Hall
・グラニュラーエフェクト4種搭載:
Grain FX/Grain Pad/Grain Particle/Grain Shift Down
▶︎ 128ステップ1トラックシーケンサーと
4トラック・ルーパー搭載

ルーパー:
・ステレオトラック × 4(1トラック:最長約 70 秒)/オーバーダブ対応
・UNDO/REDO機能
・Auto / Free / 小節数指定など可
・AUXやUSB入力からの録音にも対応
シーケンサー:
・最大128 ステップ(1トラック)
・128パターン
・ノート長 1/1 ~ 1/32
・ステップ/リアルタイム・レコーディング(MicroTimingによるノンクオンタイズ・レコーディング対応)
・ロングノート・タイ対応

ルーパーやAUX外部入力など一括して操作でき便利
▶︎ ベロシティ対応37鍵盤
鍵盤数は十分で、外付けMIDI打ち込み用にも使いやすい。程よい弾き心地が魅力。

▶︎ 高音質ステレオスピーカー内蔵
外付けのスピーカーを接続しなくても十分音作りができる(楽しくなる)ほど、立体的で音圧があり、綺麗で解像度の高い鳴りです。例えばLIVEN Ambient Øの内蔵スピーカーと比べると雲泥の差です。
(※初めて鳴らした瞬間、「えっ…こんなに良い音が出るの?」と衝撃でした)

▶︎ 見やすいディスプレイ
カラフルで操作しやすい大きめのディスプレイを搭載。wavetableの変化やエンベローブ、フィルターなどグラフィカルに表示されることで、音作りが非常にしやすいです。

筆者実測値 タテ:約5.5cm ヨコ:約4cm


ELZ_1 playのディスプレイ方がとても大きいことが分かります
▶︎ MIDI

ヘッドフォンを接続すると自動で内蔵スピーカーはOFFになります
・5-Pin DINタイプのMIDI IN/OUT端子搭載。
・ノート、プログラムチェンジ、コントロールチェンジ、クロック入出力対応
※3.5mm モノラルミニ・タイプSYNC IN/OUT端子も搭載
▶︎ オーディオ入出力端子

・ステレオ・ライン出力:1/4フォーン× 2
・ヘッドフォン端子:3.5mm ステレオミニ・タイプ
・AUX IN:3.5mm ステレオミニ・タイプ(ミキサー画面で調整可)
▶︎ USB
・USB Type-C
・USB オーディオ:USB 2.0、48kHz-16bit、入力:2 チャンネル、出力:2 チャンネル
例えば、演奏動画を撮影する際は、USB-Cケーブルでスマホと直接接続することで、ELZ_1 play の音声をそのまま録音することができます。
▶︎ 電源
・DC9V出力 電源アダプター
・単三乾電池 × 6本(駆動時間: 約4.5 時間)

▶︎ 本体 コンパクト軽量
ボディ素材はアルミの板材を曲げて整形する板金加工された頑丈な作りです。
・外形:399mm (W) x 131mm (D) x 50mm(H)
・重量:1.12kg
重量参考:
LIVEN Evoke:0.79 kg
Model:Cycle:0.80 kg
LIVEN Evoke とのサイズ比較

Model:Cycles とのサイズ比較


▶︎ 付属品
・32GB外部記録カード(プリセット・ウェーブテーブル収録)
・電源アダプター
・保証書
以上からもお分かりいただける通り、ワークステーション型で高スペックでありながら、モバイル性にも優れた機材だと思います。
個人的には、
カスタム・ウェーブテーブルの使用
同時発音数がある程度確保されている
自由度の高い4トラックルーパー
ベロシティ対応37鍵盤、
高音質スピーカー搭載
などが非常に魅力的に感じました。
公式サイトの表現
「持ち運べるウェーブテーブル・シンセ」
にも納得します。
【 筆者のプリセット 】
今回のアップデートにはありがたいことに筆者が作成したプリセット2種とwavetable1種が収録されています。
▶︎ プリセット2種
Dawn Strings (A-071)

シネマティックなストリングスの音色です。以下のレイヤーを3つ重ねて深みと厚みのある音に仕上げました。
Wavetable:Saw-Detune
SUPER OSC
WAVETABLE:Harmonic 2
エフェクトは以下の3つを使用。コーラスで左右の広がり、PLATEリバーブで奥行き、Grain FXで立体感を出しています。
STEREO CHORUS
Grain FX
PLATE
Chill GR BA (A-043)

チル系のジャンルをイメージしたシンセ・ベースです。以下のレイヤーを3つ重ねて厚みを出しています。
Wavetable:PMW-Phase
SUPER OSC
WAVETABLE:SAW-Detune
エフェクトは以下の2つを使用。マスターコンプで音をタイトにし、Grain PADで意外性を加えています。
Grain PAD
Master Comp
▶︎ カスタム・ウェーブテーブル1種
BELL + SIN

どこのウェーブテーブル鳴らすかを決めることが可能
Xfer Records「Serum 2」で作成したウェーブテーブルです。256フレーム構成で、ベル系のノイズとサイン波が入り混じりながら変化していくサウンドに仕上げました。
(ウェーブテーブルの音はあくまで素材。そのまま使うのではなく、ここから加工してイメージする音に加工していきます)

POS(ウェーブテーブルのフレーム位置)を0から256まで動かしていくと、波形が次第に変化していく様子がわかります。(画像左から右へ)

フレーム(POS値)ごとにまったく異なる波形
となっており、その変化の幅広さがウェーブテーブルならではの魅力です。
思いもよらない音の変化を生み出せる点に、ウェーブテーブル・シンセシスの面白さがあると思います。
【 ELZ_1 が生まれた背景 】

ELZ_1 play は全くタイプの異なるシンセエンジンを組み合わせて音作りを行い、さらに1台でパフォーマンスも可能です。
実験的要素とポータブル性が両立した、
音作りの深みを手軽に体験できる機材
だと思います。
ELZ_1 がどのように誕生したのかに興味をもち、調べたところ、遠藤氏のブログ「 Dr's Journey 」にプロジェクトの背景が詳しく紹介されていました。以下に引用します。
遠藤が個人的に支援を募って行う電子楽器開発プロジェクトや、Dr. Yu Endo限定モデル、グッズ、関連アクセサリ、サンプルパック・パッチなどの「ものづくりプロジェクト」です。
Dr's Journeyで作る製品は、主に、「遠藤の趣味嗜好が強い試み」や「実験的な試み」、「新しい試み」などがベースとなった製品なので、多品種で小ロットになることが予想されます。
そのため、企業であるSONICWAREでは苦手な分野であるため、遠藤が個人的に支援を募って作っていきます。
各Dr's Journeyごとにひとつのプロジェクトを扱います。
自分自身がワクワクするものをテーマに扱いますが、きっとあなたもワクワクするはず!
ELZ_1には、FMシンセエンジンのように一般に広く知られるエンジンばかりでなく、全く新しいユニークな音源がいくつか搭載されています。
そのため、ELZ_1は実験的な試みが強い製品といった側面も持ちます。
その中でも特にSiGrinderやDNA Explorer、SAND FLUTEなどのシンセエンジンは、遠藤のアイデアやコーディング実験から開発がスタートし、実験的なアプローチを経て、最終的に楽器として使えるレベルに仕上げています。
Dr’s Journeyの実験的な試みによって、斬新で実験的なシンセとしてのELZ_1を進化させる可能性があると信じております。
「ELZ_1 play」は、遠藤氏の趣味嗜好や実験的な試み、新しい挑戦がベースとなっており、それが強く反映されていることが分かります。
一般的な考えですが、企業としては売り上げや利益も考慮して製品をリリースする必要があるため、個人の嗜好や実験的要素と市場の需要とのバランスも重要だと思います。
しかし、
作り手や使い手が
どれだけワクワクできるかを
大切にする
ことで、結果として今までにない面白い製品が生まれ、共感や支持を得て、新しい音楽が生まれるのだと思います。

今回、ほんの少しですが ELZ_1 play V2 のプリセット制作に参加できたことを大変光栄に感じています。カスタム・ウェーブテーブル作成など自分の楽曲制作や音楽活動に、
新たな視点をもたらしてくれるきっかけ
にもなりました。
これからも ELZ_1 play で音作りの楽しさにハマりながら、楽曲制作を続けていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
▼ 4トラックルーパー+シーケンサーを活用した解説記事はこちら
【 開封の様子 】







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