#181 新潮新人賞挑戦記〜親愛なるお月様🌙
新年度が始まりましたね! 無事、昨日3月31日締切の、第57回新潮新人賞に5本目の小説を投稿しました! 今日は今回の挑戦で気づいたこと、想ったことをまとめます。また note に戻ってきて、とても清々しい気持ちです。
どうしても好きな場所、好きな人たち
昨年の6月に初めて小説を書いて以来、同じ場所と同じ登場人物にこだわってきました。全く違う場所や人物をモデルとした小説を書くのではなく、あくまで同じ場所と同じ人たちの物語を描きたい、その思いは日々強くなってきています。おそらく、今後数年間書くであろう小説も、同じ世界を舞台にすると思います。
自分の描く物語で登場する場所や人物にはほぼ実在のモデルが存在しますが、5本も書いていると現実と創作の境界線が曖昧になってきました。これこそ、物語の喜びではないかと思っています。
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父はなぜか「お月様」と言った
昔から月が好きでした。おそらくことの始まりは、父です。父は北海道出身で神戸にやってきて、どちらかというと言葉遣いが丁寧な方ではありませんでした。しかしなぜか、夜空の月を見上げると「月」ではなく「お月様」と言うのです。なぜ父が、月を丁寧な呼び方で呼ぶのか、子供の頃から疑問でした。
それでも父が、「お月様」と言うのを聞くととてもしあわせな気持ちになったのを覚えています。新潮新人賞に投稿した作品でも、「お月様」というセリフに重要な意味を持たせました。
ツキヨミの黄色いお守り
日本神話では、日本の最高神アマテラスの弟とされるツキヨミは、月の神であると同時に「時の神」とされます。ギリシャ神話でも、月の神は「時の神」と同じクロノスです。理由も同じで、昔は月の満ち欠けを記録することが「時を記録すること」であり、月は暦の象徴だったからです。
昔の職業の英語教師に戻ると、chrono- で始まる一連の単語……chronometer(時計)、chronograph(ストップウォッチ)、chronicle(年代記)、chronic(慢性的な)、chronological(経時的な)など、すべてが「時の神」クロノスを語源としています。
もしみなさんが手元にロレックスやオメガなどの高級時計をお持ちなら、文字盤を見てください。「Chronometer」の表示があるはずです。自分が書く小説では、「時を超えて物事をつなぐ」を全体を通したテーマで、月と時が結びついています。
今はオランダの大学で研究員をしていますが、ヨーロッパへ来る前は、毎年妻と伊勢の神宮に詣でるのが年中行事でした。僕のお目当ては内宮別宮の「月讀宮」でした。毎年同じ「黄色いお守り」をいただいて、一番丁寧に参拝していました。父の「お月様」から始まって、なんとなく自分の守り神はツキヨミであると感じていました。黄色好きもこのお守りからきたに違いありません。

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テミ先生
月は竹取物語の昔から、人間の好奇心の対象でした。宇宙探査の世界でも、旧ソ連の「ルナ計画」(ルナ= lunar は、月= moon の異形形容詞形)に始まり、米ケネディ大統領時代の「アポロ計画」では、人類が月に降り立ちました。日本の月周回衛星「かぐや」(SELENE)もありますし、最近ではアポロ計画以来の月面への有人着陸を目的とした「アルテミス計画」もありますね。アルテミスはギリシャ神話で月の女神です。
僕も、昔からずっと月が好きだったので、アルテミスから名前を頂いて、自分の小説の重要な人物(学校の先生)を、「テミ先生」と名付けました。思えば、「お月様」の父に頼み込んで小さな天体望遠鏡を買ってもらった時も、飽きずに月を眺めていました。
今でも定期的にお世話になっているカウンセラーの先生には、「トオルさんにとって、月は理想で、テミ先生みたいな人を探してるんでしょうね……」と言われています。テミ先生は昨年9月に投稿して、残念ながら落選に終わった作品にも登場するので、今年夏の「note 創作大賞 2025」でその作品を公開します。
ライティング・リトリート
先日投稿した小説は、集中して書き上げるために、休暇を取ってデンマーク、コペンハーゲンに一週間こもって後半部分を執筆しました。6割ほどを書いたのは特徴あるカフェで、そのカフェも物語中に登場させました。もし(何かの間違いで)あの作品が世に出たら、ぜひみなさんに読んでいただきたいと思います。
一定期間ある場所にこもって執筆作業をするためのイベントに、「ライティング・リトリート」がありますね。いつか小説仲間と、同じ場所で違う物語を一緒に書くライティング・リトリートをやってみたいと思います。先週末には再度コペンハーゲンを訪ねて、作品のレビューをしてくれた友人と一緒にそのカフェで語り合うことができました。至上の喜びでした。
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思えばこんなところにも
そして考えてみれば、高校時代から大好きでずっと応援してきたミュージシャン、谷村有美さんに夢中になったきっかけとなった曲も、「HALF MOON」(半月)という曲でした。「残りの半分は見えていなくても、ちゃんと存在するんだよ」というメッセージは、同じ内容をモチーフとして、彼女が大好きだったサン=テグジュペリ著『星の王子さま』から来ているはずです。そう思うと、昔から好きだったものは、その多くが「月」に関係していたのだな、と今思います。
さて、次の6本目の小説ももちろん、同じ場所で同じ人たちが出てきます。次は9月末締切の、「第131回文學界新人賞」を目指します! 今日は思いっきり自分語り記事になってしまいましたが、「お月様が大好き」と思い切り言いたかったので、いいとしましょう。またいつか、昔父に買ってもらったような望遠鏡でのぞいてみたいです。Fly me to the moon……
応募作品は「完全未発表作品に限る」ですが、個人間で読み合うことは問題ありません。もし「読んでみたいよ」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ下のリンクよりご連絡ください。作品をお送りいたします。
今日もお読みくださって、ありがとうございました🌙
(2025年4月1日:新年度を迎えて)
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