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台湾有事という間抜けなファンタジー。田岡俊次『台湾有事 日本の選択』佐々木広治の読書随想。

 田岡俊次『台湾有事 日本の選択』。

 非常に参考になる。メディアだとかSNSだとかある種の知識人での言説がいかに誤っているのか、もしくは幼稚なのかがよく判る。台湾有事などまずあり得ないこと。百害あって一理なし。法律でできない。経済的に大打撃。台湾人自身独立を望んではいない。その現実、事実が言及されてゆく。市井の我々が知ることは意味のあること、重要で、必須のこと、と気づかされる。
 中国が台湾に侵攻した場合、西側諸国はウクライナにおけるロシアの立場に中国を重ねるが、台湾問題は米国における南北戦争と同じく「内戦」であり、米国が台湾を助ける為に中国と戦うことは、ウクライナにおけるロシアの立場に置かれると著者は言う。要するに内政干渉ということ。ちなみに日本国では日中共同声明での中国との合意事項がある。「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。 日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」かつ存立危機事態なぞあり得ない。
 在日米軍がいざという時に日本を守ってくれると考えるのは誤りであると指摘される。彼らは米国の安全保障の為に駐留しているのであり、日本を守る為ではない。仮に台湾問題で戦争が発生した場合、日本が矢面になって戦わなければならない。仮に日本国が誰も望まぬのにしゃしゃり出た場合、アメリカが協力した場合、アメリカが中国からの核攻撃の恐れがある。アメリカが自国の民を危険に晒してまで日本を守るだろうか。そんなことはあり得ない。よって核抑止なぞと舌禍を起こしている者があるが、妄言でしかないことが分かる。「非核三原則」(核を持ち込ませず条項)見直しが、いかに核抑止論の初歩すらわかっていない愚論であることなのかも分かる。
 そも中国が自国である台湾を攻撃する理由、メリットがなく、台湾も然り。持ちつ持たれつの関係であるのだし。
 そういうまともな知識と、思考、見方を得られる。いかに偏った無知な人らが大声で喚きたてようと、惑わされずに見てゆくことの助けとなる。真実だとか大事なものは常に、波立つ下にあり、不動で静かな輝きをはなっているもの。それを見られることが、教養というものであるのかもしれない。キーキー、ブーブー吠えたける、あたかもガダラの豚の群にとり憑く悪霊によって、間抜けなファンタジーにとらわれなくて済むだろう。

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