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 加藤荘(3畳間借り)の思い出⑦

 加藤荘から「こって牛」まで3分足らずの道のりだった。中央大学の学生は、富坂の横断歩道を渡って「こって牛」まで通った。ここで、加藤荘がどんなに便利な所にあったか、位置関係を示しておきたい。こって牛の右隣は喫茶店だった。その角を左手に曲がる通りが富坂である。富坂を150メートルほど下ると春日通りに交差する。交差点根元付近に文京区役所が建っていた。視点を春日通りに移して言えば、文京区役所を左手に見て、西へ向かってゆっくり上っていく坂が富坂である。春日の交差点から東の本郷へと上る坂を真砂坂と言っていた。

私は、富坂から上野広小路行のバスに乗り、真砂坂を通って上野に買い物に出ることがあった。途中本郷三丁目交差点に出くわす。この本郷辺りには東京大学の学生がぞろぞろ歩いていた。

上野広小路で降りてから、よく行ったのが「アメ横」である。物売り、叩き売りの光景を眺めるのが好きだった。上野松坂屋に寄るのも忘れなかった。松坂屋では、20歳の誕生日前にイージーオーダーのストライブ紺色スーツを作った。確か生地、縫製込で28,000円だった。

そのスーツを着て、文京区役所で行われた成人式に参加した。成人式から加藤荘に戻ると、加藤のオバチャンから声をかけられた。お祝いの口上があったあと、オバチャンは
「自治会からお祝いが届いているわよ。」
と言って、祝熨斗の付いた小箱を差し出した。

その小箱をいただいて、2階の3畳間に上り、背広をハンガーにかけた。小さな座卓の上で、その小箱の包を開けた。中には、ブルー系のハンカチが二枚入っていた。

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まつぼっくり(旧フンボルト) ありがとうございます。