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文学フリマ京都9&広島7で買った本の感想

 こんばんは、稲麻竹葦のネコ好きの方、芦原瑞祥です。
 1/19の文学フリマ京都9、2/9の文学フリマ広島7で買った本を、ぽつぽつと読んでいます。いやあ、書き手の情熱や「好き」が伝わる創作、いいですね! 簡単ですが感想など。


『四海のほとり』遠峰晃

『四海のほとり』

 奈良時代、藤原四兄弟を取り上げた短編集です。京都のWebカタログで見て、絶対買う! と意気込んでいた本。
 四人それぞれをメインに取り上げた短編を読み進めるうちに、「四兄弟」で括られがちな武智麻呂・房前・宇合・麻呂の四人の性格や、お互いをどう思っているかが浮き彫りになって、その微妙なバランスというか危うさというか、一枚岩ではない四人が「藤原の血」で繋がっている様子にいろいろと感じるものがありました。
 四兄弟が長屋王を陥れたとする創作が多いのですが、本作はむしろ彼らは長屋王を好いていて、それなのに勅命が……という葛藤に、読んでいて狂おしい気持ちになりました。宇合の短編が特によかったです。長屋王邸を取り囲んだ宇合と武智麻呂の会話が切ない。「藤原史の──父の血は、修羅の血だ」という言葉がのしかかります。
 修羅の道を生きた四兄弟の短編のあとに、彼らが子どもの頃の話で締めくくっているのがもう! 古代史がお好きな人にはぜひ読んでほしい、というか読んだ者同士で語りたい一冊です。

『続 黄表紙のぞき』大和堂

『続 黄表紙のぞき』

 一巻に引き続き、江戸時代の黄表紙の絵に現代語訳をかぶせ、マンガのようにそのまま楽しめるレイアウトで黄表紙を読めるお得な本。もう表紙からして面白い。「惡」て!
 真面目な商人が悪魂に体を乗っ取られて放蕩したり、心に対して気や手足口がクーデターを起こしてやりたい放題したり、お金がありすぎるから貧乏になろうといろいろしたのにかえってお金が増えてしまったりと、笑える小話にこれまたひょうきんな絵が合わせてある。ダジャレやメタなネタなど、現代とやってることは同じだなあと思ったり。
 今ちょうど、大河ドラマで黄表紙が出てきたので2倍楽しめますよ! 「金々先生栄華夢」は一巻に載っています。本当に「ひゅーひゅー」って書いてある(笑)

『もっとアールグレイが飲みたい ~アールグレイ飲み比べ本2』Strawberry Field

『もっとアールグレイが飲みたい ~アールグレイ飲み比べ本2~』

 アールグレイ飲み比べ本がパワーアップ、67社80銘柄を実際に飲み比べているというすごい本。香り、味、コスパなどをランク付けし、すべてに実飲した感想をつけているのですが、よく考えるとこれってかなりの技術ですよね。私だったら「香り高い」とか「なんか好み」とかしか語彙力がない(笑)。飲んでみたくなるレビューはやはり、アールグレイが好きだからこそ。こういう「好き!」パワー全開の本に出合えるのが、文学フリマのいいところですね。

『現代ホラーアンソロジー 私たちの本当に怖いもの』早高叶

『現代ホラーアンソロジー 私たちの本当に怖いもの』

 現代ホラーアンソロジーとの名の通り、怖そうな、しかも日本の湿度のあるホラーっぽい表紙! 7名の書き手による、いろんなホラー短編を味わえます。
 主宰者である早高叶さんの「夜見の島」は、情念の絡むしっとりとした怖さ、そして読後に残る切なさがよい。補陀落伝説の残る土地、ホウリ島と呼ばれる埋め墓、ある言い伝え。これぞ和製ホラーですね。
 黒住純さんの「キャベツは歌う」、怖い怖い! 丸のままのキャベツが怖くなってしまうではないですか。オチも狂気で、ストレートな感じが好きです。
 三上弥栄さんの「シキミの理由」、誰かに不条理な扱いを受けつつ自分もまた……という構造に闇と因果応報を感じます。働く女性の描写がすごくリアルで、説得力を増しています。
 うえのそら初さん「きいてください」、おおお、オチ! モキュメンタリーかと思いましたがまさか実話?
 青木和先生「後添いの母」、すれ違いから起こる悲劇かと思いきや……。最後、思ってもみなかった方向からガツンときました。これはゾッとします!
 内藤万博さん「コンビニ帰り」、主人公に同情しながら読み進めていくと……。心理ホラーかと思っていたのに、こっち系のホラーとは聞いてないよ!と怖くなりました。
 水無月うららさん「ぱのぱの」、リードに「異色のグルメホラー」とあり、どういうことかと思ったら。初めて味わう種類の怖さでした。こんなの本当にあったらめちゃくちゃ嫌だ!(褒め言葉)

『キーボードなんて何でもいいと思ってた』朱野帰子

『キーボードなんて何でもいいと思ってた』

 『わたし、定時で帰ります。』の朱野先生が、高級キーボードに辿り着くまでのことや、キーボードにこだわりのある人たちへのインタビューをまとめた本。
 文章を書く人なら、興味のある話題ではないでしょうか。私も物書き仲間に勧められて東プレREALFORCEを使い始めたので、やっぱりそこに辿り着くのかぁ、と思いました。他のツールも興味津々で読みました。真似しよう。執筆には環境大事!
 一緒に買った『急な「売れ」に備える作家のためのサバイバル読本』は、「お前が売れることはないやろ」とツッコまれそうですが、単純に興味があったので……。これは「売れ」以外にも、「デビュー目指して公募に出しまくっていたけど、いざ受賞したら全然違う種類の大変さがやってきた!」というのにも似ているなと思いました。

 文学フリマで買った本、まだまだ積んでいるので、感想の続きはまた次回に書きます!

(芦原)


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