《第3回》踊りで語るオアハカ|ミス・ゲラゲッツア?トウモロコシの女神さまは何者か?
こんにちは。オアハカ在住のさるです。
このシリーズでは、オアハカ最大の祭り「ゲラゲッツア」を
“踊りを通して文化として読み解く” ことをテーマに書いています。
※このシリーズは連載です。
初回から、ゲラゲッツアは「そもそも何のお祭り?」というところから知りたい方は、
▶ シーズのマガジンをご覧ください。
今回の内容がより立体的に理解できます。
今回は少しライトな回。
オアハカのゲラゲッツア祭りの中でも、ひときわ目を引く存在——
ミス・ゲラゲッツア?的な存在でもある「女神センテオル」 について書いていきたいと思います。
みなさん、見たことはありますか?
ゲラゲッツアの踊りが始まる前。
トウモロコシをモチーフにしたトロフィーを手に、会場の舞台へと上がり、開会の挨拶をする女性。
── そう、彼女こそがその年の 「女神センテオル」 です。


実は、ゲラゲッツアを
「プレ・イスパニコ(先スペイン期)の祭り」と誤解してしまう理由のひとつが、
この “女神センテオルの存在” にあると、私は感じています。
では、女神センテオルとは、いったい何者なのでしょうか。
女神センテオルとは?
■ トウモロコシの神
メソアメリカ文化において、センテオトル(Centeotl) は、
人々の食と生命の根源である トウモロコシの神 です。
※スペイン語の綴りは Centeotl ですが、現地で実際に耳にする発音は
「センテオル」に近いため、本記事ではその表記を使用します。
■ プレ・イスパニコ文化の象徴を取り入れた存在
トウモロコシは、メキシコ文化全体において
生命と豊穣の象徴 とされてきました。
女神センテオルは、そうした価値観を
近代以降に形づくられたゲラゲッツアという祭りの中で、意図的に可視化した存在
だと言えます。
昔から、メキシコの人々にとってトウモロコシは
「生きるために最も大切な食べ物」。
今でも
“No hay maíz, no hay país”
(トウモロコシがなければ、国はない)
という言葉が残るほどです。
なぜ「プレ・イスパニコの祭り」と誤解されるのか
オアハカのゲラゲッツアにおける女神センテオルは、
プレ・イスパニコ期の「トウモロコシの女神」をモチーフにした象徴的存在 です。
生命、豊穣、そして先住民のルーツ。
それらを体現する、とても重要な役割を担っています。
そのため、
「ゲラゲッツアって、プレ・イスパニコの祭りでしょ?」
と誤解されてしまうことが多いのかもしれません。
この「誤解」がどこから生まれ、
なぜ現在のゲラゲッツアの形になったのかについては、
▶ 《第2回》踊りで語るオアハカ|ゲラゲッツアの意味といまの形になった理由
で、もう少し詳しく整理しています。
女神センテオルは「公式プロモーター」
女神センテオルは、
ゲラゲッツアの 公式プロモーター でもあります。
・ゲラゲッツア関連イベント
・観光イベント
・各村のゲラゲッツアへの招待
などに、観光局の関係者と一緒に参加。
とにかく、
あらゆる場所に登場します。
1年間、注目を浴び続ける存在
女神センテオルのコンテストは、
例年 6月中旬〜下旬 に開催されます。
選ばれた女性は、
翌年に次の女神へバトンタッチするまでの 約1年間、
常に注目を浴びる存在に。
名誉ある役割ですが……正直、
あまりの多忙ぶりに「マジで大丈夫かしら?」と思う事も
パレードでもイベントでも
「写真!写真!!」と声をかけられ、
ツーショット撮影に追われる日々。
そのせいか、歴代の女神さまたち、
みなさんどんどん綺麗になっていく のには毎回驚かされます。
👑 美しさだけじゃない
「村への理解と聡明さ」で選ばれる女神
この大会は、いわゆるミスコンとは まったく違います。
容姿は審査対象ではありません。
参加資格は18歳以上。
40歳以上の方が選ばれたこともあります。
各村から選ばれた女性、
およそ 45名(年によって変動) が出場します。





コンテストは2日間にわたって開催され
週末に行われるのが一般的です。
■ 1日目
日常着で登場
■ 2日目
お祝いの正装で登壇
一人あたり約2分。
審査員と多くの観客が見守る中で、
テーマを一つ決め、自分の村への愛と理解 を語ります。
たとえば──
・自分の村の歴史を理解しているか
・村の言葉を話せるか
・文化や風習をきちんと説明できるか
・民族衣装の意味を知っているか
内容は自由。
民間療法について話す人もいれば、
村が抱える問題や想いを熱く語る人もいます。
可能な人は、
自分たちの言葉とスペイン語の両方 で発表します。
つまり、評価されるのはここ。
「自分のルーツ(ふるさと)を、どれだけ理解し、大切にしているか」
どこで見られる?
このコンテストは 誰でも見学可能 です。
ただし、かなりの長丁場。
約3時間半〜4時間 かかります。
会場は PLAZA DE LA DANZA。
オアハカ各村の文化や伝統を一気に学べる、
とても貴重な機会でもあります。
YouTubeにも動画がたくさんあるので、
事前に観て予習するのもおすすめです。
6月中には決定される
今年は、6月にオアハカ沿岸部で大規模な水害が発生し、
日程が変更されました。
それでも、7月1日(ゲラゲッツア開会式)に間に合うよう
6月28日・29日に開催。
その様子は、地元テレビ局で ライブ中継 もされます。
✨ 2025年の女神さまは、パトリシアさん!
2025年の女神センテオルに選ばれたのは、
ウアウトラ・デ・ヒメネス出身
パトリシア・カシアーノさん
マサテコ族の代表として、
村の知恵や伝統を世界に伝える
とても聡明で情熱的な女性です。

今年の初日、スピーチの途中で感極まり涙し、
会場にいたオアハカ市民と審査員の心を一気につかみました。
実は私、ゲラゲッツア関連イベントで
彼女の写真もよく撮っていて、顔見知り。
ある村の祭りの空き時間に、
「SNSのプロフィール写真、いいのないかしら?」
と相談され、
撮影した写真を一瞬だけカバー写真に設定してもらいました。笑


一瞬でも採用してもらえて光栄です。
📝 まとめ
ゲラゲッツアの 「女神センテオル」 は、
単なるお祭りのヒロインではありません。
・トウモロコシへの感謝
・ふるさとの言葉や伝統を忘れない心
・ゲラゲッツアの根底にある文化を伝える役割
この3つを体現し、人々に伝える
とても大切な存在 です。
2026年は、誰が選ばれるのでしょうか。
大きな村では、本選に出るための予選が行われることもあります。
── 次回予告 ──
《第4回》踊りで語るオアハカ|開催日は?公式ゲラゲッツアに行くか?村のゲラゲッツアに行くか?
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※本記事は、オアハカ在住で長年ゲラゲッツアを記録してきた筆者自身の体験と現地資料をもとに構成しています。
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