母に捧げるZINE
「お母さん、本、作ったよ!」
2月上旬。
私は、母に読んでもらうために、ZINEという小冊子を作ることを決めた。中旬から着手し、ついに先日、ZINEが完成。やっと母にZINEを届ける準備ができたのだ。ZINEの内容は、私のnoteの記事で自信のある記事をいくつかピックアップしたもの。本好きの母に喜んで貰えたらと、私の胸は高鳴っていた。
私は母の前で、ひとり、発表会のような面持ちで座っていた。むしろ、通知表を提出していた時のような表情だったかもしれない。ドキドキしていることを悟られまいと、少し母から目を逸らす。視界の隅に母が写った。なんだか妙に恥ずかしい。さながら小学生の頃に戻ったかのような、そんな心持ちだった。

縁起が良さそうでいいでしょ✨️
母は私から渡されたZINEを手に取った。表紙を一瞥してから、ぺらりと表紙をめくる。そして、ペラペラと中身を確認した。

紙は光沢紙
「ああ、これはちゃんと読まないかんやつやね」
その口ぶりは、なんだか少し、ぶっきらぼうな印象を受けた。顔を覗くと、母は小さな文字に目を細めている。「ありがとう」と一言添え、母は手に持っていた薄いZINEを、音もなく静かに棚にしまった。
── もしかしたら読まないかもな。
そんな考えが、一瞬、私の頭をかすめた。
字が小さかったかもしれない。老眼だしなぁ、と。それでも“読む“と受け取ってくれたのだし、感想は期待せず、気長に読んでくれるのを待とう。
その場で感想を貰えなかった私は、少しだけ背を丸め、実家を後にした。
📕📘📙
帰路に着く途中、私は何年か前のことを思い出した。
それは、予告なく実家を訪問した時のことだった。
玄関を開けると、そこには見かけたことのない靴がきちんと揃えられている。お客さんかな? と一瞬、上がることを躊躇した。部屋の奥から「どうぞー」とハキハキとした母の声が投げられる。私はその声に誘われるように、室内へと足を進めた。
「こんにちは〜!あら、娘さん? お姉ちゃんかな? 妹さんかな?」
「こんにちは!お久しぶりです!長女です!」
居間にいたのは、母の親友だった。
「お姉ちゃんよ。今日はどうしたと?」
母は友人に笑顔を向けた後、私に目線を移す。母の表情は、溌剌としていた。いつも私たちに向ける母親の顔とは、少し違うような。なんだか若い。不思議といつもと違う雰囲気の母に少し戸惑いながらも、私は口を開いた。
「お土産持ってきた」
「ありがとう! お茶でも飲んでいく?」
「邪魔しちゃ悪いし、荷物置いたら帰るよ」
私は、手をひらひらと顔の前で振って、笑顔を浮かべた。そして、テーブルに目を落とす。そこには、見た事のあるものが並べられていた。あれは…..?と、私は目を凝らす。
「ああ、これ? よく出来とったけん、ちょっと見せてたんよ」
それは私がだいぶ前に作った、写真と詩を載せた手作りの冊子だった。
なんだか急に顔が熱くなった。
「あ、そうなん」と冷静に答えてはみたものの、心臓の音がトクトクと耳に響く。まさか、人に見せるなんて思わないではないか。表情こそいつもと同じだが、私の心臓は驚きを隠せず、早鐘を打った。
以前、写真を撮ったり詩を綴ることにハマっていた私は、せっかくだから記念にと、製本サービスのサイトで冊子を作っていたのだ。作った時は「うまくできたぞ!」と嬉しくなって、自分用と実家用に2冊印刷し、母親に1冊、あげていたのだった。あの時は、関心がなさそうだなと思ったのに……!
母に読んでもらいたいと思って、今回、初めてZINEを作ったと思っていたけど、あれが初めて作ったZINEだったんだなと、昔の記憶が蘇った。
あの時も、受け取った時はそんなに興味がなさそうだったけど、人に見せびらかすぐらいだから、案外、母は喜んでくれていたのかもしれない。
しかし、突然、友人の子が作った自主制作の冊子を見せられても、きっと感想を述べにくかったことだろう。なんだか母の友人に申し訳ない気持ちを覚え、実家を後にしたのだった。
─ そして、次の日 ─
携帯電話がブルっと震えた。
母からのメッセージ。

昨日渡したZINEを、早速読んだ母が感想を送ってくれたのだ。なんだか胸が熱くなった。
嬉しい! そんなにすぐに読んでくれるなんて!
楽しんでくれたなら、私も嬉しい。
私は「花丸」のスタンプを貰えたような気分になった。
もしかすると母はまた、誰かに私のZINEを見せるかもしれない。それは正直、恥ずかしい。でも、私はまた、ZINEを作って母にプレゼントしようと思う。
↓ ZINEを作ろうと思った経緯や、ZINE作りの際に参考にさせていただいた記事は、こちらでご確認いただけます。
今回は、上記に記載している参照記事を参考に、
◎ 表紙は、Canvaで作成
◎ 本文は、noteの記事を『縦式』のアプリにコピペして、PDF化
◎ ラクスルで印刷

ワクワク!

すまんなラクスルさん

縁が残ってるし右寄りな感じ

紙質など、もうちょっとこだわればよかったかな〜と思っていますが、作成したことに意義がある!と言うことで、初回ZINE作成は、これにて完結。作ってみたいZINEのイメージがいくつかあるので、また作ろうと思います!
地中海性気候さんの企画「あなたの『初めての〇〇』『最後の〇〇』note」に参加しています。
今回、ZINEを初めて作って母にプレゼントした気になってたけど、よく考えると初めてじゃなかった!
しかし、今回のは文章が長いから、人に見せたりはしないと思うけど、人に見せたりしたらちょっと恥ずかしいかもなぁなんて思ってしまった。何が恥ずかしいんだろう? 慣れてきたとはいえ、リアルの知り合いに見られたら恥ずかしいのは、アカウント名かな? やっぱり。誰だよ、猿荻レオンってってなるね。なんか厨二病っぽくない?
