【フランス・アルル国際写真祭OFF】KG+ in Arlesに参加して
この夏、フランス・アルル国際写真祭のOFFプログラム(自主的なサテライトプログラム)として開催されたKG+のグループ展に参加し、南仏アルルで2週間を過ごしてきました。
展示、ポートフォリオレビュー、ワークショップ、連日のヴェルニサージュ。大変実りのある滞在になりました。

アルルは、南仏の「写真の街」。
夏になると、メインプログラムに加えてOFFも含めた膨大な数の展示が街中で開催されます。
KYOTOGRAPHIEも出展しており、日本からもたくさんの写真関係者が訪れる、世界にここしかない街です。アルルは2回目、展示は今回が初めてです。

KG+とは、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭のサテライトイベントです。春の京都では、2026年現在、200を超える展覧会が市内各所で同時開催されており、それを力量のある運営チームが回しています。
そのKG+が、今回はアルルへ。
今回のグループ展には、岸本絢さん、中西宗平さん、鉾井喬さん、渡部さとるさんとともに、5人の作家の一人として参加しました。

アルル写真祭は、基本的にはオープニングウィークにすべてが集中します。
各種ヴェルニサージュ、ポートフォリオレビュー、ワークショップ、トークやパーティー。
世界中から写真関係者が集まるのはこの1週間で、街の密度が一気に上がります。会いたい人に会えるのも、基本的にはこの期間です。
その記録と、これからアルルを目指す方へ向けた実務的なメモを残しておきます。

展示編
展示したもの
出品したのは「COSMO PLASTICS」のシリーズ。
人間が作り出したものを自然の力が変容させ、自然物か人工物かの境界を揺さぶる。
そんなプラスチックの変容を撮影した作品シリーズです。
今回はグループ展のため、シンプルかつ画面がアイコニックなものを中心にセレクトしてみました。

あわせて、小さなインスタレーションも置きました。東條会館写真研究所様からお借りしたフィルム用のレンズを通して、実物の石化したプラスチックを覗ける仕掛け。
写真作品と並んで、ちょっとしたカメラ風の体験ができるコーナーです。

パッキング
私の担当の壁は8メートルほど。ギャラリーの下見ができないため壁の状態がわからず、スーツケースで持ち歩ける最大サイズであるA2の作品を横に並べる構成にしました。
それでも大きいスーツケースにアルミマウントを合計9枚。
海外での展示は、まず「何を、どうやって運べるか」から逆算が始まります。
施工
心配だった壁の穴あけや照明は、KG+運営の方が施工してくださいました。本当にありがたい…!
とはいえ、フランスの石造りの壁は剥がれやすく、扱いの難しさを実感しました。
自分の国のように凝ったことはできませんが、グループ展ということもあり、力を入れすぎず楽しむのが一番かな。
とにかく海外の壁は、取り扱い注意なのです。

来客
会場は、アルルの中心にあるGalerie Shadows。
幸いなことにメインプログラムの会場にも近い良い通りにあり、大きなポスターと表に貼られた写真祭の説明が人々の目を引いて、搬入中から続々と来客がありました。

街中が写真の祭りで大賑わい状態なので、通りがかりでふらっと入ってくださる方がとても多く、お陰様で大勢のお客様にご来場いただけました。

一方で「売る」ことについては、芸術祭という場所の特性上、作品の持ち帰りなどに現実的なハードルがあり、売れやすい場ではないだろうと思っていました。
のですが。
グループ展の仲間の大きい作品は、しっかり売れていました。すごいよね。
搬出
搬入のときは、たくさんの人員でわーわー言いながら楽しく作り上げた展示。
けれど2週間ヨーロッパに滞在できるメンバーは限られていて、搬出は一転、限られた人数でかなり多くの作業をこなすことになりました。
現地ワーホリの子にも手伝っていただき、それでも深夜まで続く猛烈な搬出に。

頭がぼーっと茹でられるような灼熱の夜なのに、やることは山積み。
そんな中、KG+運営の方が朝まで作業し、オーナーとの鍵の受け渡しまで責任を持ってやってくださり、感謝が止まりませんでした!
とにかく展示は、最後まで体力勝負です。
学び編
ポートフォリオレビュー
複数の写真シリーズとダミーブックを持っていき、忌憚なきフィードバックと今後やるとよいことを非常に具体的に教えていただきました。
特にダミーブックについては、さまざまなフィードバックを受けることができました。
あわよくば今後、出版などを見据えたプロジェクトにしたいと考えているので、これが非常に役に立ちました。

作品自体は面白いと言っていただけましたが、それをどうするかについて
さまざまな具体的なアドバイスもいただけました。
でも、あとはそれを元に「行動できる人間かどうか」が違いを分けるんだなと思う。
そしてこれに、日本もフランスも関係無いとは思いましたよ。
嬉しかったのは、すでにギャラリーで作品を観てくださっていたレビュワーの方や、レビューのあとにヴェルニサージュへ足を運んでくださったレビュワーがいたこと。
日本という遠く離れた場所の写真祭に興味を示してくださるのは、本当にありがたいことです。

ワークショップ
講義形式のものを、3日間で3つ受けました。写真コンペ向けの書類の作成方法といった実用的なものから、作家たちの制作背景についてのトークまで。

英語で90分なので疲れないこともないですが、フライパンの上にいるような暑さの中で展示巡りをしたりギャラリーで応対するよりは、正直、楽でした…。
世界中から集まったメンバーの積極的なディスカッションは面白く、いくつになっても学びの場には参加していきたいものだと思いました。
ヴェルニサージュ(オープニングパーティー)
あちこちでヴェルニサージュ続きの日々。KG+でもパーティーを主催し、どれくらい人が来るかわからなかったのですが、この暑さの中、大勢の方にお越しいただきました!


中には、KYOTOGRAPHIEでプレスとして取材してくださったフランスの方や、3年前のKG+の展示に来てくださり、その後ご飯に行った方との再会も。
地球は広く、業界は狭い!
パーティー系は誘われないと行けないので、また誘ってほしいところです。

古代劇場と展示巡り
夜は古代劇場で、オープニングやスライドショー、トークが複数日開催されます。去年から続けて観ていますが、作品のクオリティは圧巻。
正直、フランス語のパートも多く、完全に理解しようとすると難解なところもあります。

そして展示巡り。会場が大量にある上に、暑い!
街のあちこちにあるピンクの看板が追い立ててくる。

そして義務感に駆られて、修行のようにほぼ全会場を巡りました。

今年は特に暑く、40度に迫る勢い…。

実務編 これからアルルに行く人へ
宿
会場から徒歩20分ほどの宿を取りました。
オープニングウィークの宿は高騰します。これが一番高かったです!
フランスでは自炊がほぼ必須なので、キッチン付きの宿が要ります。
一人で行くとコスパは悪め。宿は複数人でシェアするのがおすすめ。

良い宿はすぐに埋まるので、アルル行きを決めた方は、なるべく早く押さえましょう。治安は良く、昼も長いですが、真っ暗な道には気をつけて。
航空券と移動
JALのマイルを利用し安く済みました。
行きに成田と羽田を間違え、タクシーをかっ飛ばすことに。
タクシー代は3万5千円ほどでしたが、無事にJALに乗れました!
空港の確認は、みなさま入念に…。
ちなみに、空港に着いて終わりではありません。
パリ→アヴィニョン(TGV)→アルル
と、フランス到着後も大荷物を持って結構な距離を移動します。
体力と、助け合い
現実的な感想として、お金と労力がかかります。
そして今年は酷暑だったこともあり、体力勝負でした。
もうひとつ欠かせないのが、メンバーとの助け合い。幸いなことに皆さま素敵な方々で、無事に展覧会の成功へと導くことができました。KG+の運営の方々には、感謝してもしきれません。
人とのつながりは、今後も大切にしていかねば、と思います。

それから、この活動を続けるうえで、融通の効く働き方をしていることが功を奏していると感じました。
2週間現地にいる必要は必ずしもないとしても、なるべく現場にいられるに越したことはありません。
おわりに
全体として、運営の皆様、そして作家の皆様と共に夏の南仏で過ごし、大変思い出深いヨーロッパの旅となりました。
あと正直なことを言うと、写真を販売することは、これまで考えていませんでした。でも、売り込みに行っていた仲間の作品は、しっかりと売れていたのを見て、素直に感心したり。
私の試行錯誤は今後も続くでしょう。
私はどうしたいんだろう。
一つ確かなことは、今まで以上に、機会をくれた人々や手にしてくれた人々を後悔させないようにしたい。
今後はそれを意識することになりそうです。
それには何年、何十年かかるのかはわかりませんが、気長によろしくお願いします。

なお今回の旅ではその後、ヴェネツィア・ビエンナーレ、そしてスペインにも足を延ばしました。
これまた充実のヨーロッパ行ですが、それはまた別の話…。
またアルルに来られるといいなぁ。
引き続き精進します。
柴田早理

