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幽霊、2026年7月の仕事。

2026年7月の仕事はZAITENの連載コラム。

ZAITEN『時代観察者の逆張り思考』

2026年8月号は「書店取次も撤退を示唆する出版文化の黄昏」

「ZAITEN」8月号

第106回。
前回のタイトルが「週刊から撤退する週刊誌と出版文化の黄昏」なので、珍しく連続で同じ話題を扱っているというか、日販とトーハンが取次事業からの撤退を示唆しているとか、そういう出版業界の暗い話。

元々、角川お家騒動で出版業界のゴシップ的観察を始めて、それを同人誌にしたら司書房の編集氏にスカウトされ、本格的にライター稼業を始めた筆者としては、原点の話題というか、文体まで往年の「雑誌事評」に戻っていた。
当時の掲載誌が掲載誌だったので、白夜書房の担当営業で『出版幻想論』『出版現実論』の著者だった藤脇邦夫氏とは、よく取次や書店まわりの話題を話していたのだが、その時点で内情はかなりまずいことになっていたので、よくそれから30年保ったな、というのが正直なところだ。

面白いのは、司書房での仕事を見て「雑誌事評」を依頼してきた編集長と藤脇氏は水と油で、いつも殴り合い寸前の喧嘩になっていた。
似たような問題意識を持っていても人間、仲良くなれるものではないらしい。
部数や配本データのプリントアウト片手に編集部へ乗り込んできて「改善策を考えろ!」と詰め寄られたら、そりゃ喧嘩にもなるか。
(しかし、ゼロ年代に潰れたどっかの同業他社と比べれば、白夜書房の達成条件はかなり緩かった。森下会長が趣味で空きビルを買い漁っていたおかげで自社倉庫が豊富だったからだ)

「雑誌事評」は本当に馬鹿みたいな連載で、当時の雑誌の創刊休刊情報を可能な限り把握して寸評を入れるという、いま考えても月刊誌の連載としてはわけのわからん内容だった。
そんなものをエロ漫画雑誌で8ページも読まされる読者はさぞ首を傾げたものだろう。
後日、一度同人誌にまとめたはずなのだが、いろいろあって元データも含めてすべて紛失してしまった。
90年代の出版業界の貴重な記録ではあるから、もったいないことをしたな、と思っている。
そのあとのカラフルピュアガールの連載は元データを発掘したのだが。

「ZAITEN」8月号目次

附記徒然。

先月も書いたが、長かった手伝い仕事が一段落したのと、コラムで出版業界の話題が続いたので、ネットを覗くとその方向の話題が自然と流れてくるようになっている。
しかし、同時に階級ごとの温度差も強く感じた。
オードリー若林の直木賞候補とか、三宅香帆の校正炎上トラブルとか、自己啓発好きの陽キャと、そうでない陰キャでまったく正反対の反応になっていた。
同じ本好きの世界であっても、このふたつは相容れないのだ。

若林の小説に関しては何も思わないが、芸人としてはこれで(権威を手にして満たされたので)旬を過ぎたな、と考える筆者はどちらかと言えば後者なのだろうが、90年代の悪趣味な面白主義を経由しているから、後者のクラスタの真面目さにも溶け込めない。
90年代の悪趣味な面白主義自体は悪しきものだったが、信じているものも、信じていないものも、等しく相対化しないと気が済まないのだ。
そうでなければ、微妙に不名誉な「時代観察者」を自称しようとも思わないのだが。

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