ええかげんな昔話 第12回 『シンデレラ』
おはようございます。
第12回『ええかげんな昔話』の時間がやってまいりました。
ご案内はこの私、サラミくん(第1回参照)です。
なぜ昔話は現在に至るまで語り継がれているのでしょうか?
それは、お話の中に人生におけるとても大切な教えがあるからかもしれませんし、そんなこと無いかもしれません。
受け取り方は人それぞれですからね。
今日の朗読と解説は妄想大学 心理学部 臨床心理学科のナンシー小早川教授です。
5回目の登場ですね。ではナンシー先生お願い致します。
はぁ~い! お久しぶりね。わたしはナンシー。
最近は良子って呼ばれているの。わたし金髪美人なのに、ちょっと変よね。
今日のお話は『シンデレラ』です。
もちろん皆さん知っているわね。でも一応おさらいしましょうね。
『シンデレラ』
むかしむかし、ある国に継母とその連れ子の姉たちと暮らしている娘がおりました。
娘の名前はシンデレラ。
本当はとても美しいのに、いつも小汚い格好で汚れ仕事をさせられていました。
ある時、お城で王子様の花嫁を選ぶための舞踏会が開かれました。
ハンサムで明るく、社交的な王子様は国中の娘たちの憧れの的です。
継母と姉たちはオシャレに着飾って舞踏会に出掛けてしまい、シンデレラは1人残され泣いていました。すると突然、目の前に怪しい魔法使いのバアさんが現れ、シンデレラに言いました。
「そこの汚い娘、なにを泣いておるのじゃ? やかましいわい!」
「なによババァ! アタシもお城の舞踏会に行きたいのよ!」シンデレラは言い返します。
「行きたきゃ行けばええやないか」とバアさん。
「でも、ドレスや靴が無いし、おまけに馬車も無いのよっ」とシンデレラ。
「なんじゃ、そんなことなら早よ言わんかい!」
バアさんは魔法でその辺のガラクタを次々に変えていきました。
しなびたカボチャを馬車に、ネズミを白馬に、野良イヌや野良ネコを従者に、シンデレラはきれいなドレスと輝くガラスの靴を履いたお姫様に。
「さあ、これでええんやろ? 舞踏会にお行き。ただし、夜の12時までには必ず帰ってくるんやで。ええな、12時を過ぎたら魔法が解けて元に戻ってしまうからな」と言い残して、バアさんは消えてしまいました。
舞踏会の大広間にシンデレラが入って行くと、その美しさに誰もが息を飲みました。
面食いな王子様はすぐにやってきて、シンデレラの手を取って言いました。
「姫! 私と踊ってください」それからの数時間はまるで夢のようで、シンデレラはとても幸せでした。
ふと気がつくと、間もなく夜の12時です。さあ大変、王子様の手を振りほどき、大広間から飛び出しました。慌てて逃げるように帰ったシンデレラは、ガラスの靴を片方落としてしまいました。
シンデレラのことが忘れられない王子様は、ガラスの靴を手掛かりに捜すことにしました。
国中の娘1人1人に履かせてみようと思いましたが、面倒くさいのでやめ、代わりに猟犬を使うことにしました。家来たちに、国中で最も優秀な猟犬を5頭集めさせ、靴の匂いでシンデレラを捜しだすよう命じました。
ところが、ガラスの靴を前にした犬たちは、突然おびえたように暴れだしました。
2頭は鎖をかみちぎって逃げてしまいました。
勇気をだして近づいた別の2頭は泡をふいて失神してしまいました。
最も優秀な最後の1頭は、あきらめ顔でゆっくりとガラスの靴に鼻を寄せました。そして、その輝かしい生涯に静かに幕をおろしました。
不思議に思った王子様は、自らガラスの靴を拾い上げ、そっと鼻に近づけました。
さすがに一国の未来を担う王子様です。顔色ひとつ変えませんでしたが、その手からガラスの靴はポロリと落ちて、床にあたって砕け散ってしまいました。そして、なぜかシンデレラを捜すことをやめてしまいました。
その後、明るく社交的だった王子様は、なぜか無口で引きこもりがちな女嫌いの王子様として有名になりましたとさ。
めでたしめでたし
おしまい
えっ? こんなお話だったかしら? 最後に王子様がシンデレラを見つけて、結婚して幸せに暮らしましたとさって、ハッピーエンドじゃなかった?
まぁいいわ。世の男性諸君、結婚しようと思ったら多少のことには目をつぶらないとね。
いいじゃない、ちょっとくらい足が臭くたって。どんな美人だって1つや2つの欠点は持っているってことよ。我慢、我慢ね、ね、ね。
