詩 「さよならの先へ」
時折横切る風の中
ふとあなたの事を思い出す
香りを運んで来るように
あの日のままを映し出し
懐かしき日々が今ここにある
もう届かぬ言葉は一方通行
それでも呟く空には
忘れることのない記憶の海が広がり
何度でも行き来を繰り返す
思いは溢れ
過る記憶は数多く
真っ新な草原の中で沈黙を貫き
そこから見えたものは
止まることなく前だけを見つめ
めいいっぱい手を振る姿
もう帰らぬ約束と
旅立ちのための決意
さよならが横切ることは
綺麗な淋しさを物語る
言葉にならない文字と
微かに感じた温もりは
深謝だけに包まれた
紗羅
母親が亡くなって1年を過ぎた頃
ある夢を見た。
場所は空の上
少し先へ目を向けると
生前母親が乗っていた車が見え
運転席の窓から
母親はこちらに手を振っている。
運転席へ駆け寄って
手を伸ばそうとすると
一切の拒否
視線も自分には向けなかった。
その時は何故かと思いながら
そのまま車は走り出し
今度はもっと大きく手を振りながら
空を滑り雲の中へ入っていくように
そのまま去っていく。
そこで目は覚めたけど
夢の中で現実だと思っていた自分
夢を通じて母親は
きちんと別れを言いに来たのだと思った。
伝えたい言葉はたくさんあり
「ありがとう」「ごめんなさい」
感謝と謝罪がいっぱいに詰まっている。
今母親と自分は一緒の世界には居ない
母親には何処かゆくべき場所があり
自分にはまだ課せられた場所がある
同じ道ではない別の道
これが生と死を意味するのだろう
そんな事を感じながら
大きく手を振った姿は
「大丈夫だよ」「元気でね」「頑張れ」
そんな思いだと伝わった。
だから今
本当に伝えたい言葉は
「さよなら」と一言
あなたに大きく手を振ります。
