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自然回帰の名曲|『Grantchester Meadows』

ここ数年でやたらとクラシック音楽ばかり聞くようになり、自分も大人になったことを痛感する。人は年を取ると落ち着きや平穏を求める様になるのかもしれない。

平日の朝は今もクラシックを優雅な気持ちで聞いているが、休みの日はたまにロックも聞いている。ただ、ロックと言っても落ち着いた曲を選んでおり、やはり心が平穏を求めているのかもしれない。

最近のお気に入りはPink Floydの『Grantchester Meadows』。この曲を週末が来るたびに何度も何度も聴いている。

アコースティックギターの伴奏に程良く落ち着いた歌声が載り、バックでは鳥のさえずりが終始流れている、心が洗われるような美しい曲だ。

「Grantchester Meadows」は、ケンブリッジ近郊のグランチェスターという村の牧草地をテーマにした牧歌的な曲で、自然への愛情が込められている。

この曲は1969年にリリースされ、当時のサマーオブラブやウッドストックの様なカウンターカルチャー世代の若者に支持された。既存の社会規範や物質主義への反発心が高まっていたからこそ、自然の美しさを表現するこの曲が好まれたのだと思う。

だとしたら、それから数十年が経過した2025年、今も高度に発達した物質社会は更に繁栄すべく社会は動き続けている。だから「Grantchester Meadows」は今でこそ更に美しく響いて、現代に疲れた僕の気持ちを癒してくれているのだ。

でも、ここ数十年で音楽も完全に“産業化”されてしまい、一般的にはこういう音楽はあまり聴かれていない気がする。求められるのは分かりやすいメロディや、一瞬で頭に残るサビばかり、どの曲もスピーディーでタイパを重視するリスナーに合わせて作られている。

あまり現代の音楽批判をするのは良くないかもしれないけれど、速いテンポで回る日常の中で、短い快感を何度も摂取できる音楽を、デジタルコンテンツとして無料で消費しまくっているのが最近の音楽の様に思えることがある。

そんな現代において、あえて「Grantchester Meadows」をじっくり聞くことの快感は計り知れないほど気分がいい。無限に溢れるコンテンツを消費し切れず倍速で動画を観るようになってしまったような人にこそ「Grantchester Meadows」を聞いてみてほしい。じっくりと時間を掛けて、静けさに身を置くのも大切なことだとわかると思う。

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