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風の様に駆け抜けていった二人(岡部長量・波多野正信)①

学習院大学山岳部昭和40年卒 小森泰三

 アルバータ峰の初登頂は、ジャスパーから馬によりアサバスカ河をさかのぼる、山の北面から西面、南面を回って東壁に取り付くという、大迂回によって果たされた。

 しかし、1940年にジャスパー~バンフ(正確にはレイクルイーズ~バンフ)の間の自動車道路が開設されたのを機に、今日では有名な観光名所となったアイスフィールド・パークウェイの途中から支流を詰め、一山越してダイレクトに東壁基部に達するルートが用いられる。

 自動車道路から1日から1日半程度の行程で東壁基部にあるACC(カナダ山岳会)の小さな小屋に届く。 北壁を始めバリエーションルートはいくつも開拓されているようであるが、現在でも槇有恒隊が選んだルートがノーマルルートとして採用されている。 しかしノーマルルート(カナディアン・ロッキーでも非常に高いグレード)を含め、この山に挑むパーティーはそんなに多くはないし、その年のコンディションによっては、1度も登られるないことも珍しくないようだ。

 この山が道路からは全く見えない山であること、アプローチが長めなこと、何よりもカナダにはいくつもの広大な山域に何千と言う数のピークがあり、しかも概して道路からすぐ取り付ける程度の山でも、岩や氷雪を登るかなり熟達したレベルの技術が必要な手ごたえのある山に事欠かない、などの理由で、アルバータが特に突出して人気がある山と言うわけでは無い。 どちらかと言うと知る人ぞ知るという感じだろうか。

 しかし筆者の経験であるが、山都のバンフでも、アルバータ峰に登ったと言うのは、行き交う山仲間にその都度必ず告げるほどの「事件」ではあるようだ。



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