川、こども、いきものの視点。
産の森で「かわにいってくるね!」と言えば
それは、かもがわ、のこと。
かもがわ、というと全国にも有名な川がありますが、
二丈岳から佐波集落全体を寄り添うように流れ
集落の終わりとともに海に流れ込むのが、
私たちの「加茂川」です。
川が好き。
子どもたちは川が好き。
水が流れていくのを見るのが好き。
何かいきものを見つけられるのが好き。
冷たくて好き。
べたべたしなくて好き。(川派?海派?)
遊べるから好き。
そして、何か川に用事があります。
竹で作ったワナをかけてみて、
翌日何か捕まっていないか見に行く。
(ウナギとか魚とかいないかな…。
小さなカニが入っていたりして、
「まだ小さいね」と、リリースする。)
自分で作った釣り竿で
カニが釣れないかと試しに行く。
(一時期産の森でブームとなる。
発端はのじーさんのしぜんの授業。)
畑の帰り、長靴を洗いに寄る。
(ちょっと洗うだけ、と言いつつ、
なんだか盛り上がってしまうこともある。)
田んぼの帰り、体を洗いに寄る。
(これは盛大に洗う。
洗うというより泳いでる?
結果的にきれいになっている。)
じゅずだまを採りに行く。
(川辺に生えている実を夢中で採る。
ポケットにじゃらじゃらたまる。
お茶にしても美味しいらしい(これもしぜんの授業より)。)
産の森から、借りている棚田へ行くには
加茂川を渡らなければいけないこともあり
子どもたちは日常的に川に寄っています。
産の森の子どもたちでさえ、
こんなにいろいろと川に用事があるのだから、
昔からここに住んでいる人たちは
もっと加茂川と暮らしが近かっただろうなぁ。

暮らしのそばに川が流れている
実際、集落の人に聞いてみると、
昔は川で洗濯をしていたとか、
ツガニやウナギをとって食べていたとか、
シロウオもわんさかとれて
もらいに来るよう放送があったとか、
水量ももっと多かったとか、
お話がいきいきとあふれてきます。
加茂川が「あたりまえ」にそこにあり
暮らしのフィールドが今よりもっと広かったんだろうなと思います。
翻って、今。
加茂川で洗濯している人はいません。
(ときどき産の森の子どもがする以外)
加茂川のツガニもウナギもほとんどいなくなっています。
(ゼロではない)
でもやはり加茂川は佐波にあり、
年に一度、草刈り日には
集落中の草刈り機が集まって
ヴンヴンバサバサと川辺をきれいに刈っていきます。
春にはずらりと桜が咲き、
実はアユ釣り愛好家が訪れたりもしています。
そんな加茂川で、
産の森のこどもたちは、
あそび、学んでいます。
加茂川での学び。
それはのじーさんの
しぜんの授業が始まりでした。
川で、学ぶ。
のじーさんは「いきものに詳しい人」。
野島智司(通称のじー)。かたつむり見習い、ネイチャーライター、作家、こどもとしぜんファシリテーター、へんてこファシリテーター、プレイワーカー。
福岡県糸島市を拠点に、自然と関わる遊び場、学び場、居場所など、さまざまな子どもと自然との出会いの場づくりに携わりながら、ネイチャーライターとして執筆活動を行う。アサヒ飲料の体験プログラム「三ツ矢青空たすき」語り部。『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)第3弾以降執筆協力。フリースクール、通信制高校、大学で講師を務める。 著書に『カタツムリの世界の描き方』(三才ブックス)、『マイマイ計画ブック かたつむり生活入門』(P-Vine)、『カタツムリの謎』(誠文堂新光社)、『ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界』(青春出版社)。

産の森設立後2年目くらいから、
子どもたちに産の森周辺の
自然や動植物について授業をしてくれています。
授業はフィールドワークが中心。
草むら、森、海、田んぼ、畑、道ばた、
そして加茂川。
産の森周辺すべてが学びの現場です。
「川にいきものを探しに行こう」という日もあれば、
別のテーマの日に通りかかったら
つい何かを見つけてしまい
それをじっと観察する、なんてこともあり。
(のじーさんの授業には
大事な「脱線」が多くあるのも魅力。)
のじーさんは授業で、
時々は外部向けのワークショップで、
加茂川でいきものを見つけ、観察する
いきもの調査を続けてくれていました。
いきもの調査をすると、
ちょっと見渡せる範囲だけでも
いろんな生きものがいることに驚きます。
しかも、
「エビ」「さかな」「ヤゴ」くらいの認識だったものが
「これはヨコエビやね、テナガエビおらんかなー」とか
「このヤゴは…。なんかいな。本見てみよう」とか
「こういうかげに、おるはず!」とか
解像度が上がっていく。
子どもたちの視点がさらに下がり
いきものの視点で川に入っていくのです。
「視点」が増えると
世界はぐっと膨らんで見える。
それは生きるうえで、とても大切なことだと思います。

子どもたちと同じように
いきものの視点で加茂川を見てみると、
加茂川は確かに面白い川のようです。
水の流れ方、
周囲の木の生え方、
来ているいきものたち、
佐波という一つの集落を縦断しているということ。
(これを教えてくださったのは、清野聡子先生。
(九州大学大学院工学研究院准教授)
加茂川、いい川ですよ!と
次々におもしろポイント(深い学び)を教えてくださる。)
いきものの視点で見ると、
川は家であり
食糧庫であり
命を守る場であり
出産・子育ての場であり…。
なんだかもっと加茂川と向き合いたくなりました。
そして、いきものにとっての川を保っていくには、
人ができることがある
人が考えることがある
と思うようになりました。

そこで、今年度、産の森では、
「みんなの加茂川 うけつぎつなぐプロジェクト」
と題して
いきもの調査、
環境DNA調査、
加茂川についてのインタビューなどを行ってきました。
(TOYOTIREグループ環境保護基金助成事業。感謝。)
フィールドワークをたくさん経験し
いきものをたくさん見て・知って・さわった
「佐波いきもの調査隊」の子どもたち。
生の声、生の記録を、
ぜひたくさんの人と共有したいなと思い、
活動報告会を開きます。
「佐波いきもの調査隊」活動報告会
2025年11月15日(土) 15~17時
産の森学舎にて
参加無料(できるだけ予約をお願いします)
報告者:佐波いきもの調査隊(産の森学舎生徒有志)
野島智司
ゲスト:清野聡子氏(九州大学大学院工学研究院准教授)
子どもたち、
のじーさん、
清野聡子先生、
インタビューを協力してくださった方などのおかげで
またひとつ、私たちの視点が広がること、間違いなし。
聞いて、見て、感じたことを
この場でも対話して
皆で加茂川の今と未来を考えていけたらと思っています。
このほか、ホームページでも
いきもの調査の結果を順次掲載しています。
遠くにいらっしゃる方も
まずはホームページで
加茂川のいきものたちに会いに来てください。

最後はお知らせ続きになってしまいましたが、
これを読んでいる皆さんにも
加茂川を
皆さんの周りのしぜんを
そして、皆さんの中のしぜんを
見つめてもらえると嬉しいです。
皆さんの世界が
ぐぐっと広がりますように!
(大松くみこ)
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