美容室での一コマ

【日記】
失恋すると女は髪を切るなんて言われていたのは、遠い昔の話かな(苦笑)
昨日、あまりにも伸び過ぎたので(ラーメン丼に髪の毛がポチャンと落ちるくらい 笑)行きつけの美容室へ行って来た。
もう長い付き合いのお兄ちゃんと私は、気楽に話をする仲だ。彼の的確なカット技術と速さが好きで、大型店に居た頃から彼を指名していた。
その間に私の主人は亡くなり、彼の父も癌で亡くなった。出会った頃、独身だった彼は、今は家庭を持ち、二人の子供に恵まれている。
独立して店を構え、新居も建てた。
「いつもと同じでいいですか?」
「うん、いつもより少しだけ短くして。春だからね」
「分かりました」
彼は私の好みを知っているから、髪の毛への注文はそれだけだ。
ジャンプーが終わって鏡の前に座る。
大きなてるてる坊主みたいな格好にさせられて、私は雑誌を手に取る。
「ご家族の皆さんはお元気?」
何気なく聞いたつもりだったのに、想定外の言葉が、彼の口から出てきた。
「それが娘が車に轢かれちゃって⋯」
「えっ?!えーーー!!」
「娘も悪かったんですよ、横断歩道じゃない所を渡っていたから」
「で、でも」
「幸い命に別状はなかったんですけど」
「ほっ」
「轢いた車の人がタカピシャな人で、未だに一言も謝らないんですよ」
「何よ、それ!」
「僕もこういう商売だから怒らないようにしてるんですけど、血を流して倒れている小学生をそのままにして車の中でスマホイジってるのって、どう思います?」
「信じられない!!人として(泣)」
「60過ぎのおばさんだったんですけどね、救急車を呼んでくれてるのかと思ったら、保険屋さんに電話してたんです。その保険屋が来るまで車の外へも出ずに、娘をほったらかしですよ」
「で、お嬢さんの怪我は?入院はしてるの?」(既に泣きそう)
「病院は入院するように言ったんですけど、娘が
怖がって『お家へ帰りたい』って泣くものだから⋯」
「それはそうよね(泣)ねぇ、トラウマにならないかしら?」
「もう、車を怖がって一人で道路を横断出来なくなっちゃいましたね〜」
「可哀想に(泣)」(私は普段は『可哀想』と言う言葉は嫌いで使わない。でもこの時は思わず口をついて出た)
大した怪我じゃなかったのだけは幸いだが、彼の奥様の目の前でお嬢さんは車に轢かれたそうだ。
こんな話をしながらも彼の手は動いていた。
「はい、出来上がりましたよ」
「わぁ〜、別人みたいに綺麗!!ありがとう」
長い付き合いになると人生、色々あるな〜。
私はシャンプー、カットの代金のお釣りは受け取らずに
「少ないけど、お嬢さんにお菓子でも買ってあげて」
と店を出た。

目一杯、精一杯、私なりに生きてみるね。
じゃぬーん♪
