何はともあれおにぎりを #マスクドnote企画_9

いらないと思っても、持って行くんだよ。
旅先での食事を何より楽しみにしていたって。
今時竹の皮で包むとか、田舎じみて恥ずかしいと感じたって。
無事で帰って来られる保証なんか、まるで無かった時代の、安全祈願でもあるんだからね。
手に入るだけの白飯を、三角か、俵の形に握るというのは。
一家の主婦は同時に、おそらくは割と強力な、祈禱師でもあったわけさ。
味付きの海苔なんか高級品で、
自家製の梅干し一粒が関の山。
旬の時期だったらとろろ昆布を巻き付けられる。
ふわふわにやわらかな昆布一枚が、包み込んだ白飯の熱に馴染んで、味が染みた頃合いに、ちょうど食べられた者は仕合わせだよ。
舌に刻まれた味は生涯忘れないから。
それどころか遺伝子にまで残っていくのかもしれない。
▼企画概要はこちら
▼他の皆様の作品は下記マガジンで読めます
いいなと思ったら応援しよう!
本田すのうは皆様からのご支援で活動を続けています。