玄関開けたら鈴木のパンツ #マスクドnote2 _1

玄関を開けたら、見覚えのあるパンツが落ちていた。パンツには色とりどりの色が滲んだ浮世絵が描かれている。この個性的な柄をしたパンツを、俺は見たことがある。
あれは、水泳の授業の時だ。親友の鈴木がこのパンツを履いていた。
鈴木は、涼しげな目元にスッと伸びた鼻筋が美しい美少年だ。クラスの女子からは「べらぼうの横浜流星に似てるよねぇ」とか「違うよー。スキンヘッドの市原隼人の方だよぉ」などと噂されていたが、とりあえずイケメン認定されているのが俺的に羨ましかった。
鈴木はいいな。イケメン芸能人に似てるとか言われてさ。
俺なんて人間どころか、カマキリかアメンボに似てるとしか言われたことがない。とりあえず細くて動きが虫っぽいんだろうなぁ、俺は。
鈴木はすっきりした顔立ちだが、空手部というのもあってか、下半身が鉛のようにずっしりしている。俺があいつのパンツ姿をチラ見した時、お尻の肉が僅かにはみ出ているのを確認してドキリとした。
ぱつんと弾けるようなお尻はとても魅力的で、パンツに描かれた葛飾北斎の顔立ちもいつもより優しい表情に見えた。
それにしても……なぜ、鈴木のパンツがここに落ちているのか。
「よお」
すると奥から、上半身しか服を着ていない鈴木があらわれた。
「す、鈴木……なぜここに……」
鈴木のあられもない姿に動揺し、俺は目を右往左往させる。
「ごめんごめん。家に帰る途中で、急にお腹が痛くなっちゃって。トイレ借りたんだわ」
「はぁ?」
「ちょうど鍵も開いてたし、グッドタイミングだったわ」
鈴木、それって……ただの、不法侵入じゃないかぁぁぁぁ!なんでお前堂々としてるんや!
「じゃ、用が済んだから俺帰るわ」
鈴木はさっぱりした顔で「じゃあな」と呟き、俺に向かってウインクした。長くすっと伸びたまつ毛が美しくて、俺はクラクラする。
鈴木が帰った後、俺はトイレに籠る。鼻にガツンと響く臭いにやられて、俺は思わずよろけそうになる。
——あいつ、凄い爆弾をひとんちで発しやがって……。
まったく、しょうがねえ奴だなぁ。俺はニンマリした表情で、もう一度便器に顔を突っ込み「鈴木」の臭いを吸収した。
(おしまい)
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