おにぎり爆弾処理 #マスクドnote企画_11

サキちゃんと誠と俺は同期の中で特に仲が良い三人だ。
そして、サキちゃんと誠は付き合っている。
ある日の、誠が出張中の昼休み。
「試してみて欲しいの」とサキちゃんが俺に出したのは、男性用の平たい弁当箱だった。
「誠に渡す弁当の試食?俺が食べていいの?」
どんな力作かと期待しながら弁当箱の蓋を開けると、弁当箱いっぱいに大きいおにぎりがひとつあった。おにぎりの中央に海苔が巻かれている。
おにぎりの上には除菌シートが置かれていた。その除菌シートに文字が書かれている。
このおにぎりはバクダンです。
今すぐ解除しないとバクハツします。
サキちゃんをみると、彼女は緊張の面持ちで俺を見ていた。
え?おれ、死ぬの?
「サキちゃん、バクダンって?」
「最近私達、SWATが出てくるドラマにハマってるの。誠はおにぎりが大好きだから、おにぎりに仕掛けをしてみようかなって」
そういや誠もドラマの話をしていたっけ。
サキちゃんが期待の目を俺に向けているので、俺はおにぎり爆弾の解体処理をはじめる事にした。
まずは除菌シートをそっと剥がし、裏返した弁当箱の蓋の上へ優しく置く。
そして割りばしで湿った海苔を掴み、丁寧にはがしていく。
ご飯が崩れてしまった部分を見つけたので、そこから重点的にほぐしていくことにした。
俺がおにぎりをほぐしていく姿をサキちゃんがじっと見つめている。
あくまでもおにぎりをほぐしている。
なにもやましいことなどしていない。
何故か背徳感と高揚感を感じているのはサキちゃんの視線がそうさせているに違いない。
サキちゃんの切実な瞳が俺の箸さばきに熱を持たせる。
ふと、おにぎりの中身に似合わない箸ざわりがあった。箸で摘んで引き出してみると、ラップに包まれた指輪だった。
…………
「私からプロポーズしようかなって思ってるの。おにぎり爆弾の中に指輪があるってサプライズ、どうかな?」
実は誠からも相談を受けていた俺は、双方からの相談で既にお腹いっぱいだ。
「喜ぶと思うよ。でも、俺で予行練習した事は言わない方がいいかな。」
「そっか。でも私、弘樹くんに相談してから実行したかったから。じゃあ、2人の秘密ね」
ウインクをして立ち去るサキちゃんの背中を見ながら健全な2人の秘密を汚したい衝動に駆られたが、いつも通り妄想に留めることに成功した。
さて、おにぎり爆弾の処理を始めるか。
…………
サキちゃんに後で、おかずも詰めておいたほうが良いよって伝えておこう。
(998字)
▼企画概要はこちら
▼他の皆様の作品は下記マガジンで読めます
いいなと思ったら応援しよう!
本田すのうは皆様からのご支援で活動を続けています。