カモっていう鳥はいないしネコジャラシっていう草はない #今年学んだこと
あれは、カモ。

「違うよ、ママ。カモっていう名前の鳥はいない。それは分類であの鳥はキンクロハジロ。」
長男が手袋をはめた手で鳥の本をひらきながら説明してくれる。
子育ては親育てなんて言葉を聞くくらい、子どもに教えられることは多い。それは精神的な部分だけじゃなく、知識だって同じ。
二男が大切に育てている生き物はクワガタで、「クワガタのお世話しようね」と声をかけると今度は二男が言う。
「違うよ、ママ。クワガタじゃなくて、こっちはコクワガタで、こっちはミヤマクワガタ!」
どっちでもいいじゃないかと私は思うのだけれど、そんなことを一言もらそうものならば「コクワガタとミヤマクワガタは全然違う!まず体の大きさも違うし、アゴの形が……」と講釈が入る。ちなみにクワガタにあるのはアゴで、カブトムシの頭から生えているのはツノである。クワガタのツノ、というとまた叱られてしまうので注意が必要。
車の種類や電車の種類もずいぶん詳しくなった。ひとりで電車に揺られながら窓の外を見ていても「あ、マルチプルタイタンパ―。通称、マルタイ。」なんて心の中で自慢したりしている。(※線路を整備する車両)
お散歩中「ネコジャラシ。かわいいね~」と、2歳になる三男とネコジャラシをふりふりする。

そこでふと思った。カモという鳥がいないように、クワガタというクワガタがいないように、ネコジャラシという植物もないんじゃ……?
そう思った私は、帰宅してから植物図鑑を開いてみた。
「ネコジャラシ、ネコジャラシ……。あった。」
【ネコジャラシ→エノコログサ】
夏から秋にかけてつける花穂が、犬の尾に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも「狗(犬)の尾の草」と表記する。ネコジャラシ(猫じゃらし)の俗称は、花穂を猫の視界で振ると、猫がじゃれつくことから。逆に猫をじゃらす、草状のものを「お遊び草」と呼ぶようになった。
これは興味深い。この植物は元々犬のしっぽだったけど、ねこの愛称に変わったようだ。植物の形はそのまま何も変わらないのに、犬からねこへの愛称チェンジ。どちらにせよ、かわいい。
――調べてみてよかった。
子どもの頃に読んだきりで大人になってからは開くことは無かった図鑑。だけど子どもが生まれてからその数はどんどんと増えていった。「あれは何?」「これってどうして?」と聞かれる質問に、大人の方が答えられなくなってきて、それなら一緒に調べたらいいと思い当たったのだ。
そのうちに、図鑑をひらくことが楽しくなってきた。道端の雑草ひとつひとつにも名前があり、誰かが研究して、それぞれに名付け親がいることが分かる。恐竜の図鑑なんて見ているだけでわくわくするし、宇宙の図鑑は眩暈がするほど壮大だ。宇宙と同じ位謎に包まれている深海や、宇宙からきた説すらある昆虫。

どれもただぼんやりと道を歩いていただけじゃ入ってこない、奥深き世界。お皿を洗っているだけじゃ覗き込めない果てしなく広い世界。
私はきっとこれからも子どもたちに学び続ける。
スポンジみたいに色々なことを吸収していく子ども達と一緒に、スポンジをシンクに置いて同じ目線でその世界をのぞいていきたい。
▼國學院大學さんのお題企画は過去に受賞歴があるので思い入れがあります
【追記】
この作品が #今年学んだこと コンテストで受賞しました。
▼ネコジャラシについてはこちらも
いいなと思ったら応援しよう!
本田すのうは皆様からのご支援で活動を続けています。