見出し画像

ようこそ、マスクの下の家へ #マスクドnote2 _8





 口は身体の玄関だと思う。
食べ物が入り、言葉が出て、笑顔や怒りまで流れ出る場所。外の世界とやりとりする最初の出入り口だからこそ、私はいつも口元に気を遣っていたいと思う。

 家の玄関が散らかっていたら、どんなに中が綺麗でも「入りたくない」と思うように、口元がだらしないと、どれだけ中身が素敵でも伝わらない。
 逆に、清潔な口元で「こんにちは」と迎えられると、ちょっとだけ心を開いてみたくなる。

 リップを塗るのも、歯を白く保つのも、口臭ケアも、全部玄関掃除。
私は定期的に歯科検診に行く。虫歯はゼロ。
誰が見ていなくても、玄関はきれいにしておきたい。
 それは誰かのためというより、自分の姿勢の問題だと思っている。

 マスクの下が油断だらけでも構わない、という人もいる。
でも私は、そうはなれない。
玄関を整えておくことは、他人をもてなす前に自分をもてなす行為でもあるから。

 だから、咳やくしゃみを手で覆わない人を見ると、私はつい「玄関が開きっぱなしだな」と思ってしまう。
ドアがガタガタ音を立てていたり、靴が脱ぎ散らかっていたり、そんな風景が浮かぶ。

 鍵をかけ忘れる人は、思ったことをすぐ口に出す人。
「あ、それ言う?」っていうデリカシーのなさ。
場にそぐわない冗談や暴言を吐き、
玄関の鍵閉めずに、変な風が吹き込んでるよ?みたいな印象がある。

口元って、見えなくても雰囲気が出る場所だ。
話し方、声の温度、沈黙の使い方。
どんな玄関なのか、じわじわと伝わってくる。

私は今日も、マスクの下で口角をほんの少し上げてみる。誰かが訪ねてきたとき、
「この家、入りやすいな」と思ってもらえるように。



▼企画概要はこちら


▼他の皆様の作品は下記マガジンで読めます


いいなと思ったら応援しよう!

本田すのう 本田すのうは皆様からのご支援で活動を続けています。